始まる者達2
「人類の至宝、人類の希望……それがRLHのリナだよ」
「ふぅ……」
試合前の、会場を盛り上げるかのような前口上にリナは軽く息を漏らすが、それは小此木の言葉がおふざけに聞こえての溜息ではない。
「あたしやるよ……」
自分という存在が、今日という日の為に存在していた事……RLHとして、真価を問われる時が来たからだ。
息を吸っては吐いて……自分をRLHにしていく。
人類の存亡を担う者として覚醒していく。
「それじゃあ、僕達は邪魔にならないように行こうか。こっちへ……」
「でも、リナだけを置いて……」
小此木はリナの価値を知っているからこそ、ここは任せて自分達は逃げようというが、RLHの価値が分からない火内は待ったを掛けるが、
「自分達がここにいたら、邪魔になるッス……」
一度はリナの手を引いたミィオは、意外にも聞き訳が良い。
「リナ……これが何の気休めになるか分からないスけど……実は自分とアネキは地上育ちなんス」
「…………」
「それも前線の基地で育ったんス……軍人だったお母さんが、必死になって溜めた功績で都市で暮らせるようになったんス……でも、RLに襲撃されてみんな奪われちゃって……その後に、鳥かごにいた人が自分達を保護してくれたんスけど、その人が教えてくれたんッス……RLHは、人類がRLに対抗する為に生んだ存在だって……」
小此木に、肩を叩かれて行くよと合図されると、少しずつ後退りしながら、
「RLの恐さを知っているッス…でも、RLHなら……リナなら勝てるッス……」
リナなら勝てると思いを伝えると、
「ありがとう」
リナは小さく頷く。
森の中に隠れてるRL達は、小此木達がそろそろと逃げ出しているのに気付て、それに合わせてそろそろと動くのだが、
「うおぅぉぉおぉおおぉぉぉぉぉおぉ!!!!!!!!!!!!」
『『『『…………!!!!!!!!』』』』
その気配を感じ取ったリナが咆哮を上げて、
「お前達の相手はあたしだ!!!!掛かって来い!!!!」
RLHの方へと突っ込むのであった。
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「至急!!至急!!こちら訓練生、部隊アルファ!!RLに襲撃されている!!早急な救援を願う!!部隊アルファ、早急な救援を求む!!」
リナを置いて逃げ出した小此木達であったが、
『『『『グゥオォオォ!!!!!!』』』』
それでも、RLに追われていた。