始まる者達1
「でも…どうやってここまで……」
その疑問は当たり前の話。
ここは人類が制圧した土地、周囲を警戒しているのもそうだが、人とかち合えば殺し合いになるのはRLも分かっているはず、それでも、こんな奥地の方まで来たのは理解し難い事。
リナ達は、なんでRLがこんな所まで来たのかと疑問に思っている中、
(ここまで来たのは、風下に立って来たのだろうし……集団じゃなくて一体、一体で侵入して、警戒の目を掻い潜って来たんだろうけど……)
小此木は、自分達を取り囲むRLを数えるように見ながら、
(リナを狙っているのか……)
RLの真意を探る。
(いくら素人集団でも……素人集団だからこそ、自分達よりも遅れている部隊が、RLと接触していたらすぐに救難信号を上げて発煙筒を使ってるはずだし、もしも救難信号を撃つ前に殺されていたとしても、数日間も動かなかったら中央基地で、発信器を見張っている監視人が異変を察知するはず……)
指を曲げてRLを数える。
(それにこいつらは周りを囲っている……風下に立っていきなり奇襲するのでは無くて、取り逃がさないように……こちらに臭いでバレるリスクを冒してまで……これはなんでだ……)
何かしらの意図を持っている……小此木は、赤外線に映るRLが時折、顔を合わせて何かを意思疎通している姿に、どんな会話をしているのかと、聞き耳を立てたくなるが、
「三人は逃げて……」
『カシュン……』
横になっていたリナが、シミュレーションの時と同じように手足だけの装甲を残して、後は脱ぎ捨てると静かに立ち上がった。
「待つッス……」
静かに一人立ち上がったリナを座らせようと、ミィオがリナの手首を掴んだが、
「ごめんねミィオ……それに火内君も……あたしね、ちゃんとしたって訳じゃないけど、軍人見習いみたいなようなものなの」
リナは、ミィオの手を振り払う。
「お母さんが軍人というのもあるんだけどさ……それよりも重大な事があってさ……あたしRLH……レボリューションライフヒューマン……次世代の人間なの……」
「RLH……?それって……」
「RLH」聞いた事の無い言葉に、火内が反応してそれが何なのかと聞くと、
「簡単な事だよ。動物達が次々と進化してこの世界の支配者になろうとしたように、人間もその争いに対抗出来る人間を生み出したんだ」
リナとの付き合いがある小此木が、RLHに付いて説明する。