地上9
その音は微かに聞こえ、一定のリズムで鳴っている。
こんな夜に鳴くのは、フクロウだろうか?
でも、この九日間で初めて聞く音、目を開けてみんなに声を掛けてみようとかと、少し目を開いた所で、
『緊急、緊急、至急起床せよ』
バイザーが目覚まし時計となって、起きるようにと鳴り響く。
「なんスぁ?」
「訓練…終わったぁ?」
「いや…緊急だって……あの音と関係あるのかな?」
「火内君も聞こえたの?」
眠っている所を起こされて、眠そうにするミィオと小此木に対して、火内もあの遠くに聞こえた音で眠気から覚醒していたらしい。
「音…音スかぁ……聞こえるスかねぇ」
「言われたら聞こえるかなぁ……」
しかしミィオと小此木は何の話やらと、二人に話を合わせるようにして会話すると、その場で猫のようにうずくまって、再び寝ようとするのだが、
『訓練は中止、訓練は中止、これより君達を迎えに行くので、その場から動かず発煙筒の準備をするように。近くに着いたら通信をするので、発煙筒を使用せよ』
「訓練の中止…スか……」
「これで帰れる……の?」
猫のように丸まって寝ようとしていた二人も体を起こすと、バイザーから流れる情報に耳を傾ける。
なぜ、訓練が中止になるのか、なにが起きたのかは一切教えてくれないが、
『繰り返す、これは訓練では無い。訓練は中止、訓練は中止、迎えが来るまでその場で待機して待つように』
これが訓練では無いと、繰り返される連絡が、異常な事態が起きていると教え、
「RL……」
「RL?」
「RLが来たのかも……」
それが、一つの答えに辿り着かせる。
「それって大丈夫何スか!?」
何の説明もしないのは、生徒達を不安がらせない為だったが、遠くに聞こえる警報の音を聞いて「RL」が来たと勘付いたリナの言葉で、ミィオが血相を変えてしまうが、
「……みんな、落ち着こう。警報が聞こえたというのなら、迎撃をしっかりと始めているという証拠だよ。それにもう中央基地の近くまで来ているから……トラックで迎えに来てくれるなら、朝になるまで待たされるという事は無いよ」
「……そうスか」
「……とは言っても不安は不安だから、二い二で見張りはしようか、迎えが来た時に、すぐに対応出来るように」
小此木が淡々と、ミィオが感じているであろう不安を取り除いてくれる。
「それじゃあ僕とダーリンが、最初は見張るから二人は寝ててよ」
「うん……何かあったら起こしてね」
「遠慮無く寝かして貰うッス……」
「ゆっくり休んで」
リナとミィオが眠りに付き、火内と小此木は木に背中を預けて、念の為の警戒を始めるのであった。