地上7
考えが甘かった。
リナの中でも、みんなで苦難を乗り越えて、この訓練が良い結果に終わればと思っていたのに……
「自分達は、まだ良い方だと思うよ…他の部隊の方は、どうにかしないとって喧嘩になってるかもね」
火内とリナは体力があるからこそ、自分達レベルじゃないと期間までに間に合わないと、この状況が異常だと客観的に見る事も出来るが、他の部隊はそうもいかない。
必死に間に合わせようと無理な行進、自分達が無理難題を押し付けられていると知らずに、喧嘩している可能性がある。
「……これからどうしようか?二人を見捨てて行くというのは無しだよ」
無理難題を押し付けられた事に気付いて、やる気と一緒に自分の体を放り出して、リナも地面に寝転がってしまう。
「まぁ…適当に中央基地に近付いて行くかな……あんまり中央基地から距離があると、それはそれで何をしていたのか言われそうだし」
火内は空を今一度見上げて、日が落ちるまでの時間を計算する。
ミィオと小此木の体力を考えて、どの程度まで中央基地に近付けば良いのか、どのくらい休憩出来るかを考えていると、
「せめて…平坦な道があれば……辿り着けるんだろうけど……今からでも地面を舗装してみない……」
「小此木……そうだよね。平坦な道があれがこんな苦労しないで済むのに……」
小此木のいつもの軽口に冴えが無く、リナも「何を言っているの!!」とツッコめない。
平坦な道路があればというのは小此木だけでなく、ミィオも、この訓練に参加している全員が考えているであろう事。
全員が地面にヘタレ込んで頭を垂れるのだが、
「…………道はあるッス」
「えっ…?」
ミィオが親指と人差し指を広げると、親指を地面に突き立てて、コンパスの様に人差し指で線を円を引く。
「それってどういう?」
三人は重い体を持ち上げて、ミィオが描いた線を覗き込む。
「当たり前の話スけど、中央基地には物資を運ばないといけないッス。もしかしたらこうやって、パワードスーツを着用させた兵士に物資を運ばせているかもしないスけど、普通に考えたら、トラックで運ぶッス」
そう言うとミィオは、中央基地に見立てた真ん中の凹みに人差し指を置いて、外の線に向かって一直線に線を引く。
「元から達成出来ない任務なら、遠慮する必要は無いッス……中央基地に向かって、山の中を上り下りの右往左往するんじゃなくって……」
そこで、ミィオの人差し指が円の上に移り、
「横に円を移動して、道路を見付けて……そこから一気に中央基地に向かうッス」
横に動いた人差し指が、直線に引いた線にぶつかるとその線に乗って、中央基地のあるど真ん中を指差すのであった。