表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/169

地上6

________



「はぁ…はぁ……」



「ひぃ…ふぅ…みぃ……」



「……ここで、一回休憩しようか」



「やあ……でも…こう何度も休憩していたら……」



「いや、ここで休憩しよう」



あれから五日経って、一週間が経とうとしていた。



あの後、同じ時間で眠る事によって、全員の生活リズムはリセットされ、早い段階で足並みを揃えて動けるようになったのは、幸運だったのだが、



「二人共、水を飲んだ方が良い」



「ありがとうッス……」



「喉が…焼けちゃう……」



そこから、身体的な差というのが浮き彫りになる。



RLHであるリナと、身体的に優れている火内は山の中の行軍を耐えていたが、



「ふぅ……」



「生き返る……」



一般的な体力しか持たないミィオと小此木は、限界を超えていた。



「火内君は大丈夫?」



「…………」



「火内君?」



シミュレーションとの違い、アップダウンの激しい山を歩き回るのもそうだが、足元には剥き出しの根っこに石、踏めばへこむ土……それはほんの小さな差異なのだが、足元がおぼつかない。



一歩一歩踏み出す毎に、地面に体力が奪われていく。



これが一日、二日ならパワードスーツのお陰で何とも思わなかったが、三日四日五日……一週間となると、



「はぁ…はぁ……はぁ………」



「芋虫になりたい……」



小さな差異が積み重なって大きな問題となり、ミィオと小此木の二人の口から出て来るのは絶え絶えの息か、絶え絶えの言葉だけになっている。



「火内君、どうしたの?」



「…………」



火内は空を見上げて、まだ空が明るい事を確認しながらも……



「……疲れた」



「えっ?」



「俺も、もう限界」



そう言うと、その場に倒れてしまう。



「火内君!?」



それはリナにとって予想外な状態で、いきなり倒れ込んだ火内の様子を見ようと顔を覗き込むと、



「この行進中に思ったんだけど……これって本当に、クリアできる内容なのかな……」



「クリア……出来る?」



火内の眉間には怪訝そうなシワが浮かんでいた。



「最初さ…十日間の内、一週間で着いて、残りの三日間は予備日みたいな話をしたけどさ……確かに、それは理解出来る理屈だけど逆に考えて、クリアをさせないって考えたらどうかな」



「それって……」



「十日もあって、中央基地にギリギリまでみんな必死に近付く……例え全員が中央基地に辿り着けなかったとしても、間違い無く目と鼻の先には来ているんだから、迎えに行く予備日って必要無いんじゃないんかな?」



「うっ……」



リナも火内の言葉で、これが予めリタイヤを想定しての訓練かもしれないと思って、その場でへたり込んでしまう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ