地上5
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「ね…眠い……」
「今日は…ちゃんと寝るッス……」
「とりあえず…目標地点に着いたら仮眠しよう……」
結局、小此木の大騒ぎに巻き込まれて、深夜まで起きる羽目になった三人は、日が出てから出立したが、眠気が吹き飛ぶ事は無く、逆に、少しでも気を抜くと意識が吹き飛んでしまいそうになる。
「うぅ…ごめんね」
「小此木……今晩も同じ事やったら……パワーボムで寝かせるから……」
「まぁ…しょうがないッス……部隊で動く以上…足並みを揃える為だと思って……」
「他の部隊も同じようなものかな……緊張で眠れなった者と、トラックの揺れで寝た者と……ここで足並みを揃えられるかどうかも、大事な事だよ」
自分のせいで、みんなまで寝不足にした事に謝る小此木を、リナはこめかみに青筋を立ててキレているが、ミィオと火内はそれに乗っかって怒るのではなく、小此木を庇う。
「それに…これも教官からしたら……想定内の話なんだろうね……」
部隊の中で誰かが不調を起こした時、それをどれだけ仲間でカバーしきれるか、
「うぅ…ねぇ……一度仮眠しない……?」
「頑張るッス……目標地点まで頑張るッス……」
そして、その状況下でも妥協してはいけないラインを、しっかりと見極める事が出来るかを試されている。
今日中に辿り着かないといけない目標地点に向かって、足をふらつかせながら歩くのだが、
「みんな…もう一度目標地点を練り合わせよう……七日で辿り着こうとしないで……最悪でも十日で計算しても良いんだから……」
「ありがとね…火内君……」
「気にしなくて良いよ…みんな、ここで荷物を降ろそう……」
「うん……」
「了解ッス……」
火内が荷物を降ろすのに合わせて、全員荷物を降ろし、地面にへたり込んで、全員がヘルメットを外すと外の空気を吸う。
眠気と歩いて来た疲労で、全員が目をつぶり、
「夜には寝ないといけないから……」
「十三時まで寝ようッス…そこから歩けば、夜に寝るのも丁度良いじゃないんッスかね……」
「賛成……」
「それじゃあ…仮眠しよう……」
「きゅうけ~い……」
眠い状態で歩き続けた四人は相手の顔を見る事無く、声だけで意思疎通をすると、そのまま眠りに付くのであった。