地上4
「……アタシ達も休もうっか?」
「……そうだね」
一度背負った荷物を降ろすと、リナと火内も木の根元に座り込む。
任務としては十日以内に、中央基地に辿り着かないといけないが、それは時間ギリギリでは無い。
シミュレーションで最初の頃は、十日ギリギリであったが、最後辺りでは五日くらいで走破していた。
「ミィオの気持ち的には、何日で中央基地に行けると思う?」
「う~ん……地形に気を付けながら動くとしても一週間スかね?リナはどう思うスか?」
「うん、お母さん……教官達も、三日間は予備日みたいなイメージで考えてると思う。十日間ギリギリで全部の部隊に気を張るとなると、万が一の時に動けないから、一週間を過ぎて残っている部隊に対しては、いつでも回収出来る様にしたいと考えていると思うの」
「なるほどッス、さすがユナ教官の娘さんッス」
気に寝そべりながら話をしていると、茜色に世界を染めていた太陽が沈んで、周りが暗闇に染まる。
試しに肩のライトを付けて、バイザーをナイトビジョンにしてみると、確かに周囲は見えるが、奥の方となると遮蔽物の木々のせいで、光が届かない所が暗くなり、見ている所しか見えないような状況が広がる。
次にライトを消して赤外線に変えてみるが、これはこれで同じように、周囲が浮き上がって見えるが、遠くまで見渡せるものではない。
この状態で山道を歩くとなると、危険を伴うのは嫌でも理解させられてしまう。
「これは…歩けないね。ミィオがいてくれて良かった」
「そう言ってくれると嬉しいッス、そろそろ食事にしようッス」
火内から感謝をされつつも、荷物からレーションを取り出すと、それに習って全員がレーションを取り出し、
「火内君の食事と比べたらあれだけど」
「小隊で動くとなったら、これが一番だよ」
大きな緑色の袋から、レトルトパウチや個装されたクッキーみたいなパンを取り出して、使い捨てのプレートに並べていく。
「それじゃあみんな」
「「「いただきます」」」
食事の準備が出来ると、みんなで食事を初めて、
「「「「ごちそうさまでした」」」」
みんなで、同じタイミングで食べ終わり、ガム式の歯磨き粉を口に入れて歯を磨き終えると吐き出し、
「明日、日が登ったら移動で良いよね?」
「それで行こうッス」
「お休み」
明日の予定の確認を終えると、目をつぶって……
「みんな、もっと話をしない?」
「「「…………」」」
目をつぶって眠ろうとしているのに、小此木が話をしようと持ち掛けて来る。
「なんの話をしようっていうの小此木」
「あぁ…僕とリナの馴れ初めとか?」
「ツバメとの馴れ初めの間違いでしょ」
「じゃあミィオと火内君の昔話とか……」
「人の過去を詮索するのは良くないッスよ」
「もう寝るから」
小此木の提案を三人とも蹴っ飛ばすと、小此木に対してそっぽを向く様に背中を向けたが、
「ねぇぇえぇええぇぇぇぇぇぇ~~~~~~~~~~!!!!!!!!」
「トラックの上で寝るからでしょ!!!!」
「あんなの寝ない方が無理だってぇえぇぇぇぇ!!!!」
「寝るのも技術!!!!寝るのも任務!!!!」
「むぅぅうりぃぃいぃ!!!!!!」
「気絶させてあげようか?」
寝れなくてうるさい声を上げる小此木の相手を、リナがするのであった。