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星映しの陣  作者: 汐田ますみ
ドラグーン編

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87/122

第87話 言えなかった一言

「怪我良くなったか?」

「てめ…治させる気ねぇだろ」


 事の発端は数分前に遡る。アロマから話があると聞き、大方の予想は付いているが呼び出しを無視するほどでも無いので彼女に会いに行った。アロマは確かに指定した部屋に居たのだが、リオンが扉を開けた瞬間腕を引っ張って説明も無しに何処かへ連れて行った。

 連れて行かれた場所はドラグ家の宗家だった。霊族は既に撤退した後だが一人で乗り込むには少々心細い。そこで護衛役としてリオンが選ばれた訳だ。


 護衛の役目は必要ないと自分を呼び出した訳を早々に聞こうとしたリオンだが、アロマは散乱した木片を拾い上げ彼に命じた。宗家の整頓を。勿論、命じるだけでなく自分も協力しているのだがリオンにして見れば、よく分からない状況下で肉体労働を強いられており不満を口にするのも頷ける。


「結局何の為に呼び出したんだ。態々分家から離れて」

「そんな大した話でもない。……お礼を改めて言おうと思ってね。今回の件で本当に助けられた。ありがとうリオン」

「なら俺は謝った方が良いのか?霊族がドラグ家に狙いを定めたのは俺の所為だ。元はと言えば俺自身が巻いた種で、お前達は傷付いた」


「リオンに助けを求めたのは私の判断だ。君を信じていたからさ。私が重いもの背負ってる君を無理やり連れてきてしまった。それが敵の罠だとも気付かずに」

「俺の判断だ。アロマは当主としての仕事を全うした」

「褒めるくらいなら、礼も素直に受け取りな」

「……受け取っておく」


 最初に霊族で黒鳶のジャックとリゼットが宗家の扉を蹴破った時、アロマは指示を出した。水龍の水晶石とペンダントをカシワに託した。カシワはウィルへ、ウィルはイリヤへ、そうして繋がっていった想いがリオンに届いた。

 譬え霊族の罠だろうと決断したのは本人達の意思だ。アロマは当主としてリオンは水龍の継承者として、其々が抱いた想いだけは霊族の介入出来ないところ。


 平穏に戻った今だからこそ、話せる感謝と謝罪であった。リオンは素直に受け取れない謝意を視線を逸して受け取る。有り難いとも申し訳ないとも思うアロマの心根を察して、居心地が悪くなる彼は程々情に厚い。


「呪いの文様は痛むか?」

「いいや。これは痛みを与えるようなタイプじゃねぇんだ」

「ご先祖様は何を思って呪いを受けたと思う?」

「さぁな。本人の意思かどうかも怪しいが、一つ言える事は……ドラグ家の先祖は相当強かったって事だ」

「霊獣だった頃の双龍をやっつけたんだ。強いに決まってる」


 一頻り、感謝を述べた後アロマの目はリオンの首元に集中した。

 呪いの文様、ドラグ家の先祖に纏わる話だ。神話の時代に悪さをする双龍を退治し、その後に受けた呪いは先祖を蝕んでいき、軈て決断した。開かずの間で療養する事を。

 口伝から絵本へ。受け継がれていく物語りに彼は一節、足した。スコアリーズで得た内容と自身の知る内容を擦り合わせ、当主に告げた。話すつもりは無かったがどうにも口が回る。


「五人の英雄の内の一人として神話戦争を潜り抜けた。……同じ印が合ったって俺はまだ弱い」

(宝玉の力を使い熟し、尚且つ戦争を終わらせた。英雄の名は飾りじゃないって事だな)

「……それ本当?」

「嗚呼。双龍も知ってたんだろうよ」

「…アハッ、アッハッハッ!神話の遺物ってそう言う事?まさかリオンの口からご先祖様の正体が聞けるとは思っても見なかった」

「俺もまさか先祖の話題を二度も聞く事になるとはな」


 風が二人を撫でる。宗家は至るところが損傷しており、アロマとサラ救出時にはリオン大穴を開けた。何処から入って何処から出るのか、風の気紛れに熱が籠もる。

 神話時代に起こった戦争、神話戦争。五大宝玉を五人の人間に宿し神話が終わる。宝玉の秘匿性は勿論、五人の英雄の素性も後世に残ってはいない。唯一、スコアリーズが特異なだけだ。


 宝玉を持つリオンと同様の文様が、ドラグ家の先祖にも在ったと言う事は、かの者もまた宝玉所持者と推測出来る。それが何故ドラグ家に伝わっていないのか、その答えは既に出ている。宝玉を知る老若男女が内戦により淘汰されたスコアリーズの史実が暗に物語っていた。

 内戦を仕掛けた傍若無人な王族も百年前の戦で清算された。隠し立てする必要が無くなった。アロマはきょとんと目を丸くした後、言葉の意味を理解し思わず吹き出した。


「……リオン旅を続けるのも良いけど、そろそろ地に足付ける頃合いだろう」

「やるべき事が残ってる。ドラグ家の言う呪いの文様ってやつが俺の中に在る限り、停戦中の国で立ち止まれる訳がねぇ」

「それもそうだ。リオンは落ち着くって感じじゃないね」


(霊族が復活して、リオンもカグヤもアレンも死んだって聞かされて……今は君だけが此処に居る。…しかしまぁ何と言うか)

「君は何時も人に囲まれてるね」

「そうか?」

「今だってほら」

「あー…アイツらか」


 リオンの年齢は270歳、此の世界では子供の一人や二人居ても可笑しくない年齢なのだ。にも関わらずリオンは旅を続けている。アロマはお節介だと思いながらも彼を心配し地に足を、と言ったのだが効果が無かったようだ。

 心地良い雪山の空気を吸い込み、アロマは一層楽しく笑った。ドラグ家当主としてでも1児の子を持つ母親としてでもなく、五姉妹の長女としての微笑みだった。


 中途半端に言葉を切り、アロマは視線だけ背後に送る。リオンも視線の先を睨み、やれやれと溜息を付く。二人とも最初から気付いていた。気付いた上で敢えて無視していたのだが、そろそろ会話もお開きと言うところで盗み見の彼等に声を掛けた。


「バレちゃった」

「バレちゃったね」

「リオン……ごめんなさい」

「天音ちゃんは悪くないよ〜、オレの興味本位に付き合ってもらっただけ」

「私は用事があるから。…あと話し掛けづらい雰囲気だったし」


「テオ、サラ……イリヤまで」

「天音、スタファノ…何回盗み見してんだ」

「何回でもやるよ〜」


 物陰からおずおずと顔を出したのは計五人。テオドーナと父親に抱っこされたサラと柱の影に言い訳するイリヤのドラグ組。これでもかと目を泳がせる天音と調子の変わらないスタファノのリオン組。

 バレてしまっては仕方無いと開き直って皆はリオンとアロマに合流する。聞かれて不味い事など有りはしないがこうもアッサリ出て来られると此方も肩を竦めたくなる。


「お母さんがカッコいい人に取られないかドキドキした」

「取られないよ。て言うかカッコいい人って…」

「ってお父さんが」

「サラ…それは言わない約束だろ!?」

「アハッ。変なの。……リオン私達はそろそろ戻るよ。此処を出る時は一言頂戴」


「おー。で、天音は何してんだ」

「リオンってホント乙女心知らないね〜」

「知るか」

「ひっど〜い。じゃオレは戻るから」

「お前も何しに来たんだよ……」


 アロマの元に最初に駆け付けたのは父親に地面に降ろされたサラだった。母親の近くに行くなりコソコソと耳元で囁く。カッコいい人と言うのは勿論、リオンの事だ。サラは救出された時に彼の格好良さを知ったのだが、実際に心配していたのはテオドーナだった。夫としては間違いが起きないか、ドキドキな事だろう。起きる筈もないと確信する一方で今は少しでも家族と一緒に居たいと手を差し出せばアロマは笑って受け入れた。


 当主一家が分家へ戻るのを見送りつつスタファノはリオンにダメ出しする。彼が此処に来た理由は本当に単なる気紛れだ。天音を送り届けると言う役目を終えた彼はぐるりと踵を返した。

 さて、そんな天音が何をしているかと言うとイリヤと共に柱から出れずにいた。出るタイミングを失い、益々影に隠れる。


「カシワ達は気付いてないけど雪崩を止めたのは天音、だよね」

「へ?!それはその、えー…と」

「強いね」

「!」

「天音なら……」

「イリヤさん?」

「ううん。何でも無い。天音なら私が言えなかった一言も言えるんだろうなって思ったらまた嫉妬してしまっただけ」

「り、リオンの事ですか……?イリヤさん私、リオンの事が!!」

「知ってる。それは本人に言うべきだ」

「……っ」

「私はもう二度も振られてる」

「…諦めてしまったんですか……」

「諦めないよ。この気持ちは生半可な感情じゃない。だから、今からするのは私の最初で最後の我儘……許して」

「はいっ。私も一度振られましたから…!」


 雪崩を止めたのが天音だとイリヤは確信していた。目の前の小さくて凍えてしまいそうな少女、常識的に考えて有り得ないと誰もが話すだろう。されどもイリヤは天音が止めてくれたと解っていた。

 ココで自分が雪崩を止めたと言ってしまったら既に大方バレかけてる正体に王手を掛けてしまう。イリヤの手前、真実を曝け出したい欲を抑え言い淀む天音。そんな彼女にイリヤは安心させるよう笑い掛けた。


 二人が揃えば、次に話題に上がるのは必然的に想い人について。同じ人に落ちた、天音の未熟だった情の変化に逸早く察したイリヤはズルズルと膝を曲げ、彼女と目線を合わせる。悲しげに振られたと話すが諦める気はさらさらなく、新たな決意で水晶石に顔を映した。

 スクっと膝を伸ばした先は手が早かった。天音の向きを逆方向へ変えると彼女に帰宅を促す。最初で最後の我儘を許して。


「イリヤ、やっと来たか」

「お待たせしました…。要件は水晶石へ入りたい、そうだね?」

「嗚呼。水龍に文句言ってくる」

(これは私にしか出来ない繋ぐ力……)

「アレンと火龍は仲良かったって聞いてたけど、コッチは正反対だね。それとも喧嘩するほど仲が良いってやつ?」

「別に何でもいいだろ……」

「そうやって照れてる方が平和で良いな」

「ん?何か言ったか」

「何でもない。準備に入るから少し離れてて」


 先般治療中だったリオンは近くに居たイリヤに頼み事をした。再度水晶石入りを望む彼の頼みに応えるべく彼女は此処へ来た。二人っきりになれる最後の時間を噛み締め二人は前へ進む。小話も程々に何時もの小屋の前へ到着した。小屋も随分派手に崩壊したものだ。役目を終えた残骸が霊族の痕跡を色濃く残す。


「ドラグ・ドラグーン呼応せよ水晶石の地。〈法術 ブルー・インパクト〉」

「行ってくるかッ!エトワール、頼んだぞ」

「!……昔は本当に良かった。何もかも楽しくてキラキラしてて最強だった。余計な世界を見ずに済んだ。知らなくて良い事情を知らずに済んだ」


 水龍用ペンダントを掛け、水晶石一投げすれば短い詠唱が光を放つ。生き生きと青色ショートヘアを揺らすイリヤにリオンはエトワールを託す。水晶石入りする為にはエトワールは此方側置いていかなければならない、目の前には一人しか居ない。イリヤの手に渡るのは必至の事であったが、彼女は特別な感情を抱いた。

 抱いたまま、昔を思い起こす。子供の頃の世界が楽しい思い出一辺倒と言うつもりはないが、彼女にとってはリオン達と過ごした時間は何事にも変え難い大切な時間だ。独り言に近い呟きを拾って、リオンは返した。


「確かに昔は最強だった。けど最強を生きた俺等のが何百倍も最強だろ!」

「ー…!」


 ニカッと少年の様な笑みを向けられ、少年の頃の彼の面影が過る。何一つ変わってない性格のリオンの、水晶石入りをイリヤは見送った。


「ありがとう。大好きな人」


―――――― ―――

 ポチャっと雫が落ちる。三度目ともなれば水晶石入りする感覚も慣れるというもの。前回より神妙な面持ちでリオンは進む。


「水龍ー!どうせ聞こえてるんだろ」

「……生意気な小僧め」

「今回は静かだな」

「来い。火龍」

「火龍も居たのか」

「わしゃあ存在感なさ過ぎるのぉ」

「小僧」

「おう」

「帰れ!!!!」

「!?!テメェが来いって行ったんだろッ!煩えノリは良いんだよ!約束通り邪な連中はドラグ家を去った。…言いたい事があんだろ」

「チィッ!」


 地平線まで続く景色を暫く進んだところで、リオンは足を止め水龍の名を呼ぶ。大方何処かで聞いているのだろうと、投げやりに声を飛ばせば何時ものように背後からキャッチした。

 出会って直ぐに叫び散らかしていた水龍は今回に限り冷静な様子だったが、数秒後態度を改める。のそっと出てきた火龍を放ったらかし水龍はリオンに敵意を向け、傍迷惑な叫声を上げた。


「童リオン、わしゃあから説明してやる。ドラグ一族と双龍と宝玉の関係性について。水龍が怒っておるのは宝玉を未熟な状態で暴走させたからだ。水龍はお前と似て気が短いからのぉ」

「「おい!」」

「気が短いだと〜〜ぉお!?!もういっぺん言ってみろ!!」

「気が短い」

「何だと〜〜!?」

「話が進まねぇんだが?!」


 逐一煽り文句を入れないと気が済まない双龍は余計な一言を随所に入れ、一触即発の喧嘩に発展する。それだけなら勝手に喧嘩の一つや二つすれば良いのだがリオンの時間は有限だ。必要な事実だけ聞ければ良い、早く進めろと言いたげな目で…最早口に出しているが兎にも角にも言葉を促す。


「ところで童、宝玉の成り立ちは知ってると話していたな」

「嗚呼。俺が知ってんのはドラグ家の先祖が宝玉持ちで五人の英雄の内の一人だって事だ。…ソイツが最期、何処に向かったのかも」


「ワシらを落とした人物……名を"梶の葉"と言う」

「梶の葉の強さは人間が云う神話の時代でも群を抜いていた。霊獣相手に引けを取らぬぐらいになガッカッカァ!梶の葉は生意気にもわしゃあと水龍に目を付けて退治した」

「人間如きが生意気に霊獣に楯突くなぞ阿呆にも程があるとワシは梶の葉を睨んだ」


「結局、やられて此処に居るんだよな」

「やられておらんッッ!!!と言いたいところだが百戦しても勝てなかった。梶の葉に敵う人間は居りはせんよ」


 双龍は漸く語る。鋭利な牙を持ち上げ口を開くと、永年閉ざした名を告げた。ドラグ家、双龍の一族、リオンと意図せず繋がりを持った女性の名は"梶の葉"。

 自分の髪色を先祖返りしたとイリヤは話していた。先祖である梶の葉も青系統の髪色の持ち主なのだろうと想像に足る。


 自分が認めた水龍が百戦百敗した、梶の葉とは如何なる強者が間接的に知ったリオンは唾を飲み込み、次なる言葉を待つ。


「水晶石に封じ、ワシらに何を言うたと思う!?人と繋がれだ!!!梶の葉の盟約を仕方無く受け容れた!!良いか!仕方無くだ!」

「……その先は?」

「戦で薄気味悪い力を得たと言った。わしゃあは梶の葉以外興味が無くてな、無視してたがそうも言ってられん事態になった」


 無駄に声のデカイ双龍は態と声量を荒げて爪を立てる。人間にとって害のある声量に逐一指摘しようにも話の腰をリオンには折れない。折ったが最後、曲がりに曲がって元に戻せなくなると察していたからだ。梶の葉に骨抜きにされたらしい双龍は遠くを見つめ、口を揃えて言葉を発した。


「「"開闢の歪"」」

「梶の葉は薄気味悪い人間由来の力、宝玉の所為でかの地から消え去った。だからアヤツの盟約を結ぶなど嫌だと言ったッッッ!!」

「梶の葉は人間臭くて敵わん」

「お前等が宝玉に対して邪険を抱いてるのは解った。だが宝玉の力は…今は俺のもんだ。文句は言わせねぇ」


「「文句言うに決まっとる!!!」」

「はぁ!?」


 まるで幼子が駄々をこねるような勢いで、受け入れ難い現実に地団駄を踏む。双龍が幼いと云う意味では無い、何処まで広がる澄み切った大空のような純粋さを持ち合わせていると云う事だ。事実、双龍は嘯かず己の心の内を曝け出している。


 双龍のペースに乗っ取られぬようにリオンも強気な姿勢を崩さないが、ズズッと巨体を寄せ余りにも大きな声で叫ばれ、さしものリオンも一歩身を引く。


「宝玉の枷は外れてんだぞ」

「小僧の力じゃないわい!」

「うっ……それはそうだが」

「宝玉と己のアストが反発し合って結果、坩堝に嵌る。カッーカッカァ!!鯔のつまり小僧には才能も器も無い!!!理解したら宝玉なぞ吐き出せ!ワシが砕いてやる」

「宝玉の生まれも経緯も知った。だが、手放す気はねぇぞ。この国を変える為に俺は使い捨てた神話の遺物を使うんだ!」


「いーーーや!小僧には扱えん。お前がお前で在る限りソレは決まっている。大方、宝玉を取り込む際の術が未熟だったのだろう」

「童、一度目の枷は確かに外れた。然しなぁ枷が外れたと言う事は何時また暴走しても可笑しくないと言う事だ。ソレを抑える術を童は持っていない。認めろ!」

「……」


 宝玉が何故暴走を誘発するのか、双龍の見解は単純明快なもので、取り込まれた異物を体内のアストが排斥しようと攻撃しているのだ。身近な例えを上げるなら、歯に挟まった小骨を取り除こうとする行動とでも言っておこう。

 如何に双龍が威圧してもリオンは動じず、己の信念だけを貫き通す。双龍も一切妥協させる気がなく、含みのある言葉でリオンを威嚇する。神話時代から生きてきた双龍の言葉は重い鉛で殴られているような気分だった。


 事実も真実も、とっ散らかる中で唯一信じられるのは死する者の遺言。大切な人が宝玉の所為で消えてしまう悲憤慷慨を火龍も水龍も……リオンも味わった。



「カグヤが最期に遺した、俺に託した力が易い訳ねぇ……ッ。カグヤは覚悟してた。なのに俺は……!」


 二度と煌々とした月が姿を現さなかったら人は現し世で哀しむのだろう。見えない光を頼りに夜道を歩くのは些か心許ない。夜道は嘸や淋しかろう―――。

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