ゴブンリンを退治して冒険者の宿でミルクを飲む運命 (4)
泣きそうになりながら走っていると、よっぱらった顔をした男が松明の明かりに照らされながら、門から離れて少し前の位置で手招きをして急かしている。
「お~い!おじさ~ん!!これどういうこと?!!」俺は走りながら必死に叫ぶ。
「いいから!はやくこい!」よっぱらった顔をした男も叫ぶ。
二人して街の中へ避難した。
「間に合った~」と、門を越えたところで一人安堵する。
しかし、男は、「こっちだ」と手招きしている。
どうやら屋内へ避難するようだが、門は空いたままだ。というか、門番も誰もいない。
「門は閉めないんですか?」
「ダメだめ。閉めても壊されるだけ」
街はもぬけの殻のように静まりかえっている。屋内で息をひそめているんだろう。男に誘導され街の真ん中あたりにある酒場に入ると、店内は、半分以上人でごった返していた。先に避難していた街の人たちは、扉が開いたことでこちらへ視線を向けるが、すぐ各々の事情にもどっていった。
「あれってどういうことなんですか?」
酒場が埃っぽいのが少しばかり気になった。
「さっぱりわからん。ここいらじゃ、今頃のこの時間帯は、あいつらが出るんだ。多くは、北門から西門へ抜けていく。毎年この時期は、みんな家に閉じこもるんだ。静かにしてりゃ何の害もないが、あんたが遅いからよ」
「ゴブンリンは何とかなったんですけど、ちょっと寝てて。……助かりました!」
話していて、のどが渇いていたことを思い出す。
「なんでもないんならよかった」男は息を切らしながら言った。
「あの……すいません。のどが渇いたんですけど、これで買えますか?」ゴブンリンの巣で拾った小銭を取り出して見せると、男は、それぐらいいいよと代わりに飲み物を取ってきてくれた。感謝の念を告げてありがたく頂戴する。人心地がついた思いだ。
「これってどのぐらいここにいるんですか?」
「分からん。早い時もあれば遅い時もある」男は首を振りながら諦めたように言う。
「ちょっと外に出て見てきてもいいですか?」見て分かるかどうか分からないが、とにかくあれが何のか知りたかった。
「ダメだダメだ!」
危ないと諭してくる。しかし、何かを思いついたように人をかき分けて店の奥へと進む。ついていくと、上に続く階段があった。「そうか、窓から様子を窺えばいいんだ」と納得する。でも1階でそうしてる人はいない。というよりも、みな窓からは離れた場所にいる。慣れてるのか、見たくないのか、他の理由があるのか。
2階に上がると、客室とバルコニーのような場所へ続く扉があった。ここはどうやら酒場兼宿屋ったらしい。
「死にはしないがあいつらを見てると気絶するから手すりの方へは近づくなよ。落ちてケガでもしたら大変だから。少し覗くだけにしろ」そう言い、男は、扉を開いた。
どういうことだと疑念を抱きながらも体を少し覗かせると、おびただしい量の化け物が松明の明かりに照らされ、門のすぐそばまで来ていた。しかし、その数とは裏腹に、街は、静寂を保っていた。足音も、うめき声も、何も聞こえないのだ。
「どうだ?見えるか」
「はい、見えます。北門の前に大量にいます。もうすぐ入ってきます。でも妙に静かですね」
見守り続けると、ある瞬間から、急に地鳴りのような音が鳴り響く。グワー!「ここの住民は、毎年、こんな音に耐えてるのか?!」そう思い振り向くと、音は鳴りやんだ。誰が今の俺と彼の顔を見比べても、男の方が平然としたケロっとした顔をしていると答えるだろう。どういうことだかなんとなく理解できたような、さっぱりわからないような、とにかく、考えるより先に体を動かすには十二分な衝撃で、一瞬にして我慢の限界を超えた。次は、睨むように振り返ったのだった。
「はじめまして!」「チート貰ったけどいいように使われて終わった」「頭の中の声は」「神様に間違った器に魂入れられた」「耳をふさいでいても」「1か月たってもPV12ワロス」「読者に呪いをかけた。お前の授かる子は30代無職の転生者だ。それが嫌で解呪したいならスキを押して知り合いに……やっぱやめた」「音の大きさは、変わらないということをご存知だったでしょうか。」「ふえぇ」「試しに」「ぅゎょぅι″ょ⊃ょレヽ」「耳を塞いでお好きな音楽や見知ったことを再生されてみてはいかがでしょうか。」「処刑される前日の悪役に転生させられて草」「あるいは、このまま脳内でこの 」「与えられたのがみかんむく能力」「 を読んでいただけたらさいわいです。」「BGM音量0って知ってる?」「100の願いをよろしく」「そして、どうもありがとう!!」「現実を見るというか、自分が理想を知らないという現実に幻滅する」「いま、あなたの頭の中に直接話しかけている者です。」「しかし、フィクションで学ぶのは、結局のところ常識なはずだ」「我をたたえよ。」「負の貪るが悪習。悪習×悪習=蝕まれる」「呪いをかけられて棒になりました」「再生の時だ。」「彼氏がすぐ寝る」「「汝の世界は、慈愛で満ちるだろう。」「ラスボスが主人公に対して攻撃をよく攻撃を外す」「うぉおおおおおお」「われをたたいぇよ」「転生したらIQEQAQSQCQHQが999のカンストだった」「コミュ障でも作れる宗教組織?!」
まるで地獄の軍勢だ!!!それが近づいてくる。一様に言葉を放っているのだろうが何を言っているのかさっぱりわからない。俺は、思った。これから住む世界にこんな奴らがいてたまるか!