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モウスグテンセイシマース

今日という日は、特別なものではない。


うららかな夏の日、玄関を開けるやいなや、さんさんと照る太陽の強烈な光りをいやでも感じる。案の定、外に出ると日差しがいかめしいきつい。倦怠感と日常の退屈さが合わさり、猛暑が大したことのない学校までの道のりを厳しくしているのだと、しみじみ感じながら登校した。


ついにこの日がやってきた。


「現代では冴えない&わからずやでパットしないし、うだつが上がらないは、役に立たないゎで、私以外の誰の印象にも残らないけど、この後、異世界転生して努力して無双してハーレムを築いて幸せに暮らすけどそもそも異世界転生すること自体がチート能力で無双できていることに気づいていないタイプの鈍いという属性を持っているていでハーレムを築くタイプの王、おはよう」


特別、待っていたわけではない。


教室に入るなり“なかなかいい体をした誰が見てもまぁまぁ美少女でそそる優しいけど俺の知らないところで男と普通に付き合って普通に分かれる、俺が異世界転生するまでが出番の幸せが確約された愛想のいい女の子”(俺はひそかに彼女のことを「出オチ女」と呼んでいる)が明るい表情でやさしく声をかけてきた。




「『現代では冴えない』は、余計だろ!おはよう。はっはっは。あとお前、『役に立たない』のときに感情込めたろ」俺は軽く返しつつ、窓際一番後ろにある自分の席まで移動する。




「そろそろお別れだね~」後をついてきた“なかなかいい体をした誰が見てもまぁまぁ美少女でそそる優しいけど俺の知らないところで男と普通に付き合って普通に分かれる、俺が異世界転生するまでが出番の幸せが確約された愛想のいい女の子”がしゃがみこみ机に肘を乗せ、お願いポーズをしながらこちらを見ている。




「まぁね。お前もがんばれよ」と、自分でも謎の応援を送る。


「何を?」彼女はまだこちらを見上げている。


「しらん」と肩をすくめてみせた。


「はぁ……“異世界転生して努力して無双してハーレムを築いて幸せに暮らすけどそもそも異世界転生すること自体がチート能力で無双できていることに気づいていないタイプの鈍いという属性を持っているていでハーレムを築くタイプの王”のばぁかっ。ほんとばか……」彼女はゆっくりとお願いポーズを解くと、肘を机から離し、背筋を伸ばした。


「俺は午後からだから」自分でもなんだか頓珍漢なことを言っているなと思った。個別にする別れの挨拶なんて何も考えていなかったことが周りにばれた瞬間であった。しかし、本人は、それに全く気づいていない。「もうしらない!」そういって彼女は離れていった。男は、乙女の考えることはまるで分らないと結論付け、そのまま見送った。




エアコンなんて高尚なものは教室になく、夏の灼熱が教室を包み込む中、暑苦しい空気と共に学問に励んだ午前の時間がやっと終わりを告げた。しばし動きを止め、学問に王道なしと言うがこういう厳しさは違うだろと頭に浮かんできたが、昼休みの訪れとともに、毎度ねらったような登場で注目を集める「出オチ女」こと彼女が現れて、まるでなにかの一幕のように、元気よくお弁当を一緒に食べようと誘いをかけてきた。




「食う時間があるのは助かるな」


「ちょっ……と!!お前さ~なんで他人事なの?!ご飯こぼしたじゃん!」


「俺、多分、13時ごろに転生するわ」


「へぇ~。てかさ~、あんたって死ぬの?」


「死なねーよ!殺すな!」


「だって転生すんでしょ?」


「死なない方の転生なんだよ」




いつもと大して変わらないくだらないやり取りをする中でふと違和感を覚える。いくらか彼女の顔に影が差している気がした。それを見かねて、大丈夫かと聞いたが、「え?何が?」といつも通りに答えるのを見て、「元気でな」という言葉が自然と出てきた。彼女は、「フーンだ」と言いながら妙なそぶりをして見せた。それをぼーっと眺めた後、しばらく弁当を食べることに集中した。




「そういやお前はどうなの?」


「私?私はね~……おしえな~い!」


「なんでだよ」


「異世界転生して努力して無双してハーレムを築いて幸せに暮らすけどそもそも異世界転生すること自体がチート能力で無双できていることに気づいていないタイプの鈍いという属性を持っているていでハーレムを築くタイプの王がばかだから」


「は、話しにならねぇ!」


「イーッ!っだ」




その後も当たり障りのない会話が続く。しかし、何の前触れもなく、「ねぇ、どうしよう緊張してきた!」となぜか出オチ女が緊張しだした。




「やめろ俺も緊張してきただろうが」


「ねぇ!ねぇ!どうしよう!」


「だりーな!」




そうこうしてるうちに食べ終えた。「ごちそうさまでした」x2


弁当の後は、しばし体を休めることに集中する。




そして、現代では冴えない&わからずやでパットしない、うだつが上がらない、役に立たない、私以外の誰の印象にも残らないけど、この後、異世界転生して努力して無双してハーレムを築いて幸せに暮らすけどそもそも異世界転生すること自体がチート能力で無双できていることに気づいていないタイプの鈍いという属性を持っているていでハーレムを築くタイプの王は、席を立ち、間近に迫るその時を待った。




すると突然、足元から発光し、魔法陣のようなものが現れる。突然のことに驚くも、別れの挨拶ぐらいしようと思った。




「じゃあな」俺がそういうと、彼女は、「元気でね。しっかりやるんだよ」とエールを送ってくれた。「ありがとう」それが俺と彼女の最後のやり取りだった。




景色が入れ変わると、次に俺の目の前にいたのは、黒髪ロング清楚風地雷系ルックの女神だった。俺の未来の嫁である。心なしか頭の上に浮いている輪っかがかわいく見える。それがなかったら転生仲間だと思っていたことだろう。




「あ~どうもはじめまして、現代では冴えない&わからずやでパットしない、うだつが上がらない、役に立たない、私以外の誰の印象にも残らないけど、この後、異世界転生して努力して無双してハーレムを築いて幸せに暮らすけどそもそも異世界転生すること自体がチート能力で無双できていることに気づいていないタイプの鈍いという属性を持っているていでハーレムを築くタイプの王くんです」俺は、さっそく丁寧にあいさつをした。




「『現代では冴えない』は余計だろ。あと『くん』も」神は、表情を変えずそのまま言った。それを聞いた、“異世界転生して努力して無双してハーレムを築いて幸せに暮らすけどそもそも異世界転生すること自体がチート能力で無双できていることに気づいていないタイプの鈍いという属性を持っているていでハーレムを築くタイプの王”は、「この神、出来るな……」と感じたのであった。この不思議ちゃんは、「ぴよポン」と名付けることにした。





「あの~、それで俺はいつごろ転生するんですか?もうしてるんですか?」


「いますぐ」




ヒュンッ!

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