発症と奇跡
コロナのパンデミックが続くある年の7月中旬、私が新型コロナに感染。
翌日には妻にも感染。
この感染、妻が7月初旬に受精卵を戻すことをおこなっていた後での発生だった。
尚、この受精卵はコロナ前に採卵したもので遺伝子検査はしていない状態。
戻した時に何をしてるんだと言われそうだが、とにかく感染した以上、普段ならば
薬を飲む形になるが、妻は妊娠の可能性を考えある決断をした。
薬を飲まない。
普段なら暴挙と言われても仕方ない。ただ、処方された薬は一般的なカゼ薬。
初期妊婦には妊娠に多大な影響を与え、流産が発生してしまう。
そのため、飲まずに治すことを妻は決意した。本来なら夫である私が飲んでと
強く言うべきだが、待望の子供がいるかもしれないと思うと言えなかった。
幸いにも薬なしで妻は快方に向かった。私も重くならず快方に向かった。
そして、判定日。今まで全く妊娠の気配はなく、これまでも失敗だけだった。
妻から病院での判定結果がメールで送ってきた。
妊娠していた。
薬を飲まない判断は正しかった。
そして何より何年も不妊治療をおこないようやくつかんだ夢の一歩であった。
嬉しかった。
スマホのメールを見て妻から嬉しい事が文だけでもはっきり伝わってくる。
自分もメールを見て涙が止まらなかった。
ただ、嬉しいばかりではない。この後にもまだまだすることは
山のようにある。まだ妊娠してると分かっただけ。妊娠一カ月という
非常に不安定な状態。妻の年齢は46歳。しかも初めての妊娠。
当然、リスクは相当ある。初産の高齢出産と言われてる35より10以上も
上の年齢なのだから。がそれでも体外受精の場合は大抵同じことをする。
まず、激しい運動は禁止、酒も禁止。たばこも禁止。
これら妻はしていないため、何も問題なく解決した。
次に妊娠初期のホルモン補充のため妻は膣剤を入れることを医者がやめて
良いというまで入れることに。妻にとっては膣の入り口が大きくはれ上がり
入れるたびに激痛。しかし、入れないと子は流産してしまう。だから妻は痛いのを
覚悟しながらの1カ月間1日3回入れ続けた。
そして、妊娠2ヶ月の時に再度妊娠状態を確認する。この時は私も同席していた。
問診のあと妻が状態確認のため、診察室にはいる。その後、私も呼ばれた。
不思議だった。普段なら診察室にはいる必要が男はないからだ。通院4年目、初めてだった。
部屋にはいるとモニターがあり、妻の嬉しそうな顔。
医者にモニター見てと言われ見たモニターには
素人でも分かる我が子の心拍が定期的にしっかりと動いてるのが確認できたのだ。
そう、子供は心臓を形成して脈拍がはっきりと確認できたのだ。
ようやく、一般的な妊娠になったことが確認でき2人とも嬉しくて仕方なかった。
診察した医者も疲労の中にやったという笑顔がこぼれていた。
不妊治療は初期妊娠状態となり、次のステップにすすむことになった。
ここで、高齢時の妊娠確率と流産について記載する。
正直、書くのもきつい内容であるが不妊治療をする以上、これはつきまとうもの。
妊娠確率、40代前半で確率は8%程度。もうこの時点で奇跡になっている。
40代後半だと更に低いと思われる。
次に流産、妻の年齢だと60%前後といわれる。
妊娠と合わせるなら8%×40%=3.2%の確率。
この数値はある意味非情でもある。
一般的に流産は20~30%と言われ35歳をすぎると
飛躍的にあがっていき、妻の年齢だと先に書いたように60%前後となる。
流産理由は様々だが、遺伝子エラーのある受精卵は残念ながらもし妊娠しても
二ヶ月辺りで心拍がない、もしくは非常に弱い状態で
残念な結果になってしまうことが多い。
更に生まれることができると言われる22週目超える前に
この遺伝エラーにより、この時期がくる前に流産になってしまう可能性もある。
ずっとこの恐れを抱えていくしかない状態。
この事実を知っているからこそお互い不安がどこまでもついてきた。
初めに書いたように遺伝子検査をしていないのだから。
ただ、妊娠したのは事実。その事は2人にとって非常に嬉しかった。