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創世記
かつて世界は混沌だった。
個や群という概念すらなく、あらゆるものが混ざり合った世界。
均質な液体のような固体のようなそれが、ただあった。
時を感じるものもなく、無限のまどろみがすべてだった。
どれほどの時をたったのか、あるいは一瞬だったのか。
いずれにせよ世界に光が射した。
光は影をもたらし、渾然一体としていた星に偏りが生まれた。
大地はうごめき、山と谷がうまれた。
水は低きにながれ海となった。
あるとき海の中に小さきものが現れた。
それは数を増やし姿を変え、やがて陸にも広がった。
時が経つうちに、小さきものは意思を持ち集団で暮らすようになった。
とくに木々を友とするものたちが集まる大森林は、緑の王国と呼ばれるようになった。