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第一章
「透―!一緒に帰ろうぜー!」
放課後の教室に暑苦しい声が響く。声の主はもちろん隼だ。
「何、今日はサッカー部練習ねえの?」
「土日試合で今日はオフ!帰りラーメンでも食って帰ろうや!」
福岡は食の街として有名だ。もつ鍋や水炊き、明太子など美味しいものがたくさんある。その中でもラーメンは福岡県民の中でも飛びぬけて人気で、もはや生活の一部に溶け込んでいるといっても過言ではない。学校帰りに食べにいくこともしばしばだ。
「悪いな、隼。秀島先生に呼ばれててな。職員室に行かなきゃなんだ」
「お?説教か?透、遅刻魔だからなぁ」
「遅刻したくてしてるわけじゃないんだけどな…。まあそういうことだから先帰っててくれ」
隼は「OK!また明日な!」と言ってサッカー部のやつらのもとに走っていった。
さて、俺も行くか。
教室を出て職員室に向かおうとしたその時。
後ろから視線を感じた。
後ろを振り返ってみると、こちらを見ている人はいなかった。
気のせいか。
俺はもう一度職員室へと歩き出すのだった。