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夢うつつ  作者: oyama
6/7

ショッピングモール

   一日目


 今ならこの建物がどこにあるのか分かるほど見覚えのある場所だが、当時は全く身に覚えのない場所だった。

 そこはショッピングモールだった。

 長い通路は、ぐにゃりと曲がっていて、天井を見上げてみても、やはりぐにゃりと曲がっていた。歪んだ景色の中、セピア色の空間の中で、ずっと向こうのほうに、何かがいるようだ。

 まるでゲームが開始されたかの様に走り出す。

 とても人の速さではないような速さで走り、近くの店の中に隠れようと突っ込んだ。そこは可愛らしいグッズや洋服が売られている店だった。その空間は、宇宙空間のような、星空の模様が一面に散りばめられていて、やはり空間は歪んでいて、左右上下もわからなくなりそうなほどだった。

 棚の裏などに隠れても、そいつは店に突っ込んだ。

 黒い塊の様に見えた。クトゥルフ神話に出てくる邪神様のような、かの映画に出てくる森の神様のような、黒い塊。

 僕の他にもう一人誰かいた気がする。もう一人は、店の中から出て、転びながら北道を走って戻っていった。黒い塊は、それを追いかけようとしていたが、僕がそれを好機と踏んで反対がに逃げようとしたので、黒い塊に見つかってしまい、攻撃をされてしまった。手の様な何かではらわれ、僕の体は軽がると宙を舞った。強く床に叩きつけられたが、漫画やアニメのように痛がりつつもすぐに立ち上がり、彼女とは違う方向にひたすら走っていった。

 黒い塊は彼女の方へ向かおうとはせず、やはり僕を狙った。

 時節後ろを振り返りながら、走り続けた。

 随分走った後、大きなガラス扉から外へ出た。

 空はどんよりとしていて、赤紫色の様な不思議な色の空をしていた。地面から生える大きな木のアスレチック。丸太を何個も空へ向かって突き刺し、その上をぴょんぴょんと飛びながら向こう側へ向かう、そんな遊具が、普通であれば小さめの、ひと区分ほどですぐ終わるものだが、目の前にあるのは、ただそれらの群れ、群れ、群れ。人よりも大きい、二倍ほどのサイズ感。

 僕はどうやって登ったのか思い出せない。が、確実にその丸太の上を走っていたのは確かだ。左手奥の方に黒い塊が見える。並走している様にも見えるが、こちらに気付いているのか、気付いていないのか。

 走り続けて、ようやく目が覚めた。


   二日目


 全く別の空間の様に見える。

 建物の構造は、今度は分からなかったが、本屋にいた。

 本屋で、本を抱えて、隣のスペースに向かった。

 人は多くいて、黒や茶色で構成された空間の中で、少女が走り回っていた。少女は本棚の横を通り過ぎて、一人の男性に話しかけた。親しげに話したかと思えば、またどこかへ走っていき、また誰かと話した。

 本屋が二店舗ほどつながっているようだ。そしてその隣に店が繋がっていて、ピアノや楽譜などが売られた店が小さなスペースにあった。少女はそこへも行き、そしてまた本屋へ戻っていった。

 何かを買うのではなく、ただ本を持っていた。ただ走り回っている様だった。

 少女の見た目は曖昧で、思い出せない。視点は少女であったり、少女を映しているようだったりする。

 少女は誰かに呼ばれて、抱えていた本を手身近な本棚に置いて、自分を呼んだ人物の元へ走っていってしまった。

 そこで目が覚めた。


   三日目


 また、あのショッピングモールの通路だ。

 今度は敵は出て来ないようだ。少し歩いてみる。やはり空間は歪んでいるようだが足取りは普通だった。

 きょろきょろと周囲を見渡しながら歩く。前の夢に出てきたもう一人はいない。誰もいない広々とした空間に一人だけ。それほど心細いものはない。

 次の場面には、あいつがいた。

 黒い塊から避けるようにスライディングをして、早々に立ち去る。

 店の中はぐちゃぐちゃに荒らされてしまっていた。だが、命は大事だ。必死に走る。

 また、あの丸太の景色に戻ってきた。

 丸太の上を走った、だがすぐに目が覚めてしまった。


 ショッピングモールの夢は、なぜか定期的に見ていた。だが、見るときはほとんど黒い塊が僕を追ってきた。

 形も、大きさも曖昧で、何もかもが歪んでいた。

 夢から覚めたい。


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