訳あり…?
ご高覧いただきありがとうございます。
今回は展開の都合で少し短めです。
『…何者だ』
声が頭に響いてきた。少しだけ懐かしい感覚、「念話」だ。
「私は通りすがりの旅の者です。今しがた、この子たちに導かれてこの場に参りました」
かつてお姉さんと交わした言葉を思い出しながら言葉を紡いだ。私の予想が正しければこの声の主は王龍さんやお姉さんと同格、もしくはそれ以上の可能性が高い。
そして今聞こえたアナウンス。この声の主こそがエラさんの言っていた『神喰』その人なんだろう。
『…余、いや、我らの言葉を理解するか』
暫定『神喰』さんが溜め息交じりにそう零すと、穴の中から見える赤い光が消えた。
「っ!?」
刹那、周囲一帯に暴風が吹き荒れた。静かだった水面は波立ち、木々がざわざわと姦しく音を立てる。体が吹き飛ばされそうになるところを何とか耐えて、暴風が止むまで耐える。
10秒も経たないうちに風は止み、私が来た時と同じような静かな森に戻った。敢えて違いを上げるとするならば、どこにも生き物の気配を感じないことだろうか。ふと空を見上げると、光ポリゴン状のものが空に浮かび上がり消えていった。なんだろう、どこかで見たことある気がする。
『…済まぬな。そちのことを尾けていた無作法者を力ずくで排除した』
なんと。私は誰かに後をつけられていたらしい。索敵系のスキルも持っていた方がいいのかもしれない。ああ、ここにきて欲しいスキルが次から次へと出てくる。
『善い善い。この程度、造作もない』
…おや、私は今言葉を発しただろうか?
『それよりも、だ。我が子らに導かれてきたというのは…』
また暗闇の中で赤い光が揺れる。今度は何かと身構えると、2匹のワンちゃんが私の前に出てきてキャンキャンと吠えだした。片方のワンちゃんは私の胸辺りまでよじ登ってきて、ギュ~っと抱きしめてくれている。庇ってくれてるのかもしれないのかもしれないんだけど、あの、爪が痛くてですね、HPがデスネ…
『…ふむ、あ奴らの庇護の元…という訳…か…ガハ…ックッ…』
「キャウ!!」
ドサッと重たい音が聞こえる。それと同時にワンちゃんたちが横穴の中へ駆けだした。どうしたらいいかわからないけど、とりあえずワンちゃんたちについていく。
穴の中に入り、最奥へと目を向ける。そこには、レオルよりも一回り小さい白銀の毛を持つ狼が横たわっていた。よく見ると体のあちこちに血が滲んでおり、地面には浅い血だまりが作られていた。
『…来るな!』
「でも、怪我が」
『…そちがこの場に現れたのは、あのまがい物の差し金であろう…ならば、如何なる理由があろうとも余は…助けなど…』
それだけ言うと、辛うじて上げていた顔を伏せてしまった。もうこれ以上話す気はないという意思表示なのかと思ったけど、どうやら完全に気を失ってしまったようだ。
『神喰』さんの体をよく見ると、背中に何かが刺さっているのが見えた。矢にしては大きいようにも見える。これだけなら『看破』使っても大丈夫かな?
◇◆◇◆◇
既定未来の選定矢
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◇◆◇◆◇
「なんじゃこりゃ」
毒とかがあるならそれがわかればいいなと思ってたんだけど、情報がほとんどない。なにこれバグ?辛うじてアイテム名だけは無事だけど、それもよくわからない。
「キュ…」
『神喰』さんの体に刺さっているものを観察していると、傍にいるワンちゃんが悲しげな声で鳴いて外套の裾を引っ張ってきた。
「…これ、抜いてあげたいよね」
「ガウ」
私の言葉にワンちゃんズは首肯する。現状、『神喰』さんへの心情はあまり良くはないけど、怪我している人(?)は放っておけないし何よりもワンちゃんズが悲しそうなのは私が耐えられない。
ここに怪我人を放置しておくのは怖いけど、今は静かに寝息を立てているしそう簡単に力尽きることはないと思う。死にかけなら指先1つ動かさずにあんな暴風を起こせるはずがないだろうし。
「これって…あ、切れた」
何かの助けになればと思って、『神喰』さんの体に刺さっているものの先を少しだけ切っておいた。『看破』の結果も…大丈夫そうだ。
ただこのまま放置というのも後味が悪いから、近くに生えていた薬草と滝の水を使って「錬金」でポーションを作って細やかな怪我は治しておいた。謎の矢が刺さっている場所は怖くて触れなかったから、地面の血だまりを綺麗にして柔らかい草で簡易的なベッドも作った。
「ふう、これでいいかな」
それにしても「錬成」を久しぶりに使った気がする。このスキルも「闇魔法」や「細剣術」のように成長するのならどんどん使っていかないと。目指せエクストラ。
「いざ、世界樹の賢者を求めて」
『神喰』を救うためワンちゃんズと軽く旅へ。
次回掲示板回予定です。




