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白骨少女が逝くVRMMO記  作者:
鬼の里
85/96

泥ときどき黄金となるでしょう

ご高覧いただきありがとうございます。


お久しぶりです。本日より更新再開致します。

「速いの!爽快なの!」


「ちょっと、はや、はやすぎですぅ~!」


「レオル!かっ飛ばしていこー!」


 私たちは今、それはもう巨大な虎さんの上に乗って草原を駆けていた。この虎さんもといレオルはマイちゃん曰く「お友達」らしく、戦闘といったものも特になく協力してもらっている。さっきマイちゃんを通して『看破』を使う許可を取ってステータスを覗かせてもらうと、レベルが100に届きそうなやばい方だった。

 そんなレオルはそのステータスを余すことなく活かして私たちを背中に乗せたまま、道中の魔物さんたちを次々と引き潰している。


「ああ、また罪のない兎が……」


「仕方ないの。これもマイのためなの」


「まあ楽ですもんね」


「ディラさんまで!」


 そんな感じで文字通りレオルにおんぶにだっこ状態で鬼の里を目指していると、レオルが急に足を止めた。


「うわっぷ、急ブレーキは事故の元なの」


「レオル?どうしたの?」


「ガル」


 マイちゃんの問いに答えるようにレオルが鼻先で示した先には、なにやら空中に黒い靄が渦巻いていた。この平原を進みだした時に見た『凶衰の根源』とやらに似ている気もする。

 天羅さんと顔を見合わせてお互いに頷くと、2人でレオルの背から飛び降りた。


「2人とも!何をする気ですか!?」


「こういうのは前衛の仕事なの。天目は万が一の時のためにそこにいるの」


 天目さんを押しとどめて2人で黒い靄に近づくと、黒い靄の渦巻く速度が急激に加速しはじめた。

 武器を構えて渦巻き続ける靄から少し距離を取ると、靄の中心から真っ黒の何かがドロリと溢れて地面に落ちた。黒い靄は動きを止めず、続いて2回同じようにヘドロのような何かを吐き出すと黒い靄は霧散していった。


「何なのコレ」


 天羅さんが大剣を肩に担ぎながらヘドロのような何かに近づくと、3つのモノは激しく蠢きだし小さな人型になった。


「スライム……にしては変ですね。核も見当たらないですし」


「言葉も通じなさそうだしこういう時は『鑑定』に限るの」


◇◆◇◆◇


名前:これは■?それは■。あなたは■、わたしも■?それはとても■■■なことね。だってそれはとてもとても■■■■■■■■■■■■■■■■■■

種族:???


Lv:1

HP:1/1

MP:1/1


スキル:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


◇◆◇◆◇


「なん…でしょうか、これ」


「天羅にわかるわけないの」


 『看破』を使ったことで謎のヘドロたちは私たちを敵とみなしたようで、ゆっくりとこちらに向かって進み始めた。


「うわ、こっち来たの」


「とりあえず牽制してみますか。『闇撃(ダークショット)』」


 とりあえず様子見程度でヘドロ1体に向けて『闇撃』を放つ。まとめて倒すなら『闇波(ダークウェイブ)』の方が良かったかもしれないけど、HPが1でスキルがわからないという得体の知れなさもあったから1体だけを狙うことに。

 手のひら大の黒い衝撃波がヘドロに命中すると、べしゃりと音を立てて崩れそのまま地面に溶けていってしまった。その様子を見た天羅さんが落ちていた小さめの石を残りのヘドロに向けて投げつけると、こちらも同じように崩れて溶けていった。


「弱いの」


「ですね」


 あまりにあってなく倒れてしまったヘドロたちの残骸をしげしげと眺めていると、アナウンスが鳴り響いた。


《現在のエネミー『???』の総討伐数は[327]体です》


「天羅さん」


「ん、とりあえず天目のとこに戻るの」


 天目さんのところに戻って起こった事についてのあらましを伝えた。どうやら戦闘に参加していない天目さんもさっきのアナウンスが聞こえたらしく、掲示板を覗くと街に滞在している他のプレイヤーたちにはアナウンスは聞こえなかったようだ。


「まあ間違いなく鬼の里関連のイベントなの」


「おばあちゃん、大丈夫かな…」


「時限イベントかもわからないし、急ぎましょう」


 再びレオルの背中に乗った私たちは、再び平原を駆けだした。


・・・


《現在のエネミー『???』の総討伐数は[3961]体です》


「それにしても歯ごたえが無いの」


「なんの関連スキルもない私の投石でも一撃でしたからねぇ」


 あれから特に代わり映えのない平原を進むこと1時間弱、ようやく遠くにうっすらと物陰が見え始めた。

 定期的に現れるヘドロたちは物理攻撃スキルを持っていない天目さんの軽い物理攻撃でもでもワンパンできるほどで、本当に戦いがいが無いというか何と言うか…という感じだった。かと言って無視して進めるわけでもないらしく、ヘドロの横を通り抜けようとしたプレイヤーがヘドロに飲み込まれる様子が掲示板に載せられていた。


「む、今度は連戦なの」


 これまでは一度に3∼5体のヘドロが靄から出てきて、それを倒したら進めるようになるといった具合だったのだけど、今回はいつの間にか再出現していた靄から新たなヘドロが落ちてきていた。


「今度は1体…ですね」


 急に生じたヘドロの変化に得も言われぬ不安を感じて、『看破』を使おうとした。


「右から何か来たの!警戒!」


 天羅さんの声が響くと同時に軽い地響きが起こり、ドドドド…と音が聞こえてくる。

 慌てて右方向に顔を向けると、レオルと比べても遜色のない体躯の猪が私たち目がけて突進してきていた…ように思ったが、巨大猪は私たちを無視して勢いよくヘドロを踏みつぶした。


「目的は私たちではないみたいですね…」


「ようやく歯ごたえのあるヤツがきたと思ったのに残念…うぇ、あいつあのドロドロ食べだしたの」


 ヘドロを踏みつぶした猪はあろうことか、崩れたヘドロが地面に溶ける前に地面ごと食らいついてしまった。


「どうしましょう、アレは倒した方がいいんですかね」


「様子を見て、襲ってきたらで…ん、アナウンスなの」


《エネミー『???』の総討伐数は[4000]体です》

《お疲れ様でした》

《鬼の里周辺に強敵が現れるようになりました》


 アナウンスが止み、嫌な予感がして3人で顔を見合わせた後にそっと巨大猪へ目をやると、明らかにおかしなことになっていた。


「オオオ…」


 巨大猪の体は黒いヘドロに覆われていて、辛うじて露出している目は焦点が合っていない様子だった。


「あれは…」


「どう見ても…」


「オオオオオオオオ!!!!!!!!」


 巨大猪改めヘドロ猪は、けたたましい雄叫びを上げて私たちに向けて猛然と迫ってきた。


「ドロドロに乗っ取られてますぅ~!!」


「やるしかないの!」


・・・


◇◆◇◆◇


名前:ヒル■■スヴィ■ニ

種族:それは黄金の■。または■■■■。


Lv:■■

HP:29000(+10000)/29000(+10000)

MP:3021/3021


スキル:■■■■■■■■、■■■■■■■■


◇◆◇◆◇

???「柊は投稿を半年以上空けた!何故だ!」

???「坊やだからさ」


ガンダム新作、面白いですね

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― 新着の感想 ―
[一言] やった!更新再開したわーい
[一言] 再開待ってました
[良い点] とんでもねぇ待ってたんだ
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