王の乱心‐15
ご高覧いただきありがとうございます。
今回は話の都合上短いです。
スルトは妖精みたいなのが開いた裂け目に向かって歩みを進めていた。もしあの裂け目の先に見える王都が本物だったら、冗談抜きで王都が焼き払われる。
「ヴィオ、止めるよ!」
「ギュア!」
身を翻してスルトを止めに行こうとしたその瞬間、私に合わせて横で飛んでいたヴィオが突然眠ったかのように目を閉じて真下に落下していってしまった。
「ヴィオ!?」
慌てて急降下してヴィオの体を受け止める。完全に意識はないみたいで、何度呼びかけても反応はない。
「どうして・・・」
『アハハ、悪いけどニーズヘッグには眠ってもらったよ。スルトを止められるとこっちとしてもちょっと困っちゃうんだ』
「・・・貴方は誰なの」
スルトに引っ付いていた妖精らしきものが私の目の前に足を組んでプカプカと浮かんでいた。
『僕はどこにでもいるしがない奇術師さ。そんな君はその赤ちゃんトカゲのママだね?いいねぇ親子愛、例え血は繋がってなくても絆は本物ってやつだ!うーんロマンチック。僕そういうの大好きなんだ!僕にも義理の兄弟がいてね・・・』
『まあそれはいいや。で、その赤ちゃんトカゲには本来の役目を果たしてもらわないといけないんだ。だから君はね?』
妖精の姿が消えたかと思ったら、いつの間にか私の眼前まで迫ってきていた。まるで瞬間移動したみたいに・・・
『邪魔、かなって』
妖精がニッコリと深い笑みを浮かべて、私の瞳を覗いてきた。
その瞬間、体の奥底からゾワゾワとした感覚がせりあがってきて、体全体が激しく痙攣しだして感じることはないはずの動悸すら激しくなっていく。
「な、なに、これ」
『ありゃ、耐えちゃった。流石繧ィ繝?繝悶Λのお手付きってことか。まああんまり時間もないし、君はいらないや。じゃね』
妖精がそう言うと、右の掌を私の額にかざして・・・きた手は妖精の体ごと、どこからともなく伸びてきた手に鷲掴みにされた。
「そこまでじゃ、羽虫が」
『あちゃ~、間に合っちゃうかぁ。それよりも久しぶりだね繧ィ繝?繝悶Λ!元気にしていたかい?』
「業腹じゃが、貴様の力のおかげでな」
『うんうん、その様子だと僕の力も十全に掌握できてるみたいだね!ところでアイツは元気かい?なんて言ったっけ、アスクだっけ?君の旦那の・・・痛い痛い、潰れちゃうよ』
「そろそろ黙れ」
『まあ君が来た時点で今回は退くことにするさ!スルトはかわいそうだけど犠牲になってもらうことにするよ』
「そうか、では消えろ」
エラさんが妖精を掴んだ手をグッと握って、グチャリという音と共に妖精はただの肉塊になった。
『あ~あ、酷いなぁ。そんな肉体だって作るのに力を結構消費するのにさ。じゃあまた会おうね繧ィ繝?繝悶Λ。それにそこの骨の君も』
『僕は邪界樹にいるから、いつでも遊びに来てね~』
妖精だった肉塊は色を失って、砂の山が風に吹かれるようにサラサラと崩れていった。
「ディラ、聞きたいことはあるだろうが今はあのデカブツを止めるぞ」
「・・・わかりました。でもこれだけ聞かせてください。エラさんは、私たちの味方・・・でいいんですか?」
「あぁ、儂は決してお主らに敵対はしない。では、行くぞ」
というわけでイベント回第15話目でした。
エラさんきた!これで勝つる!そして変なのは退場です。久しぶりに邪界樹って言葉聞きましたね。
そうそう、先日Twitter開設しました。投稿者のプロフィールから飛べばリンクがあります。あと活動報告の方にもリンク置いておきました。




