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白骨少女が逝くVRMMO記  作者:
王都
55/96

ワールドクエスト

ご高覧いただきありがとうございます。


 翌日、昼前に改めて王都の広場まで行くとまた人だかりが。何やら真ん中に設置されている噴水の前でキッチリとした格好の人がビラをばら撒いていた。その周りには人が殺到していて、騎士さんたちが対応に追われている。

 少し離れた所で様子を見ていると、1人のお爺さんに声をかけられた。


「貴族のお偉いさんも、ああなると型無しじゃな」


「何かあったんですか?」


「お前さん、知らぬのか。昨日から王都は大騒ぎだったというのに」


 一応この事態の当事者のはずなんですけど何も知らないんですよね。おかしいなー。


「王がな、この国に張られている結界を一時的に解除するというのじゃ」


「その結界というのは?」


「結界はこの国の主要となる街や村に張り巡らされているものでな、わしのような無力な人間を魔物どもから守ってくれているものなのじゃ。そしてその結界を張っているのが聖女様というわけじゃ」


 ほへー、なるほど。じゃあ昨日教会の前で住民を静めていたのは聖女さんだったわけだ。

 そんでその民を守る結界を何をとち狂ったのか王が解除してしまうというわけだ。


《規定動作が確認されました》


 ん?なんのアナウンス?


《プレイヤーの手によってワールドクエストが引き起こされました》

《ワールドクエスト『王の乱心』が発生します》

《翌日の正午より全プレイヤーにクエストが発生します》

《詳細は公式サイトよりご確認ください》


 多分だけど私がトリガーになっちゃった・・・ってことでいいのかな。とりあえず私も何も知らないし大人しく公式サイトを・・・


「あ!あいつ例の商人だろ!」


「え」


 なんか広場の奥の方から数人がこっちに迫ってきた。妙なタイミングで面倒なのがきてしまった。全員黙らせてもいいんだけどここじゃ人目がありすぎる・・・え?なんか周りの人みんな私のこと見てるんだけど、もしかして全員プレイヤー?なんでこんなに集まってるんだ。

 なんかやばそうな雰囲気だったからとりあえず広場から逃げたい・・・んだけど、そうこうしている間に囲まれた。ほんっとに面倒くさい。私がNPCだったらどうするつもりなんだお前ら!


「すまないが話を聞きたい。手荒な真似はしない」


 私の正面に立っているスキンヘッドの世紀末の住人みたいな奴が話しかけてきたけど、その見た目で信じられるわけがないだろ!


「ヴィオ!」


「キュウ!」


「なんだ、ドラゴン!?」


 この状況で目立ちたくないとか言っても仕方ないからヴィオに頼んで転移させてもらう。このプレイヤーたちがどういうつもりなのかまるでわからないけど、穏便に済むような雰囲気ではなかったことは確かだ。

 ヴィオにまかせて転移すると、私は宿屋の一室にいた。ここ最近ログインとログアウトに使っている場所だ。宿屋はそれぞれの部屋が完全な隔離空間となっていて魔物さんはおろかプレイヤーやNPCすら入ってくることはできないようになっている。でもヴィオは何故か入れてしまう。テイムした魔物さんも入れないらしいのに君は何で入れているんだか。うりうり。


「とりあえず助かったよ。ありがとね、ヴィオ」


「キュウ!」


「えと、公式サイトって言ってたよね」


 ひとまず落ち着いたし、さっきアナウンスで聞こえていた『詳細は公式サイトを~』というのを実行する。え?ここを出た後?・・・その時の私に任せることにしよう。どうせだし公式サイトを見るついでに私について書かれているような書き込みが無いか探しておいてもいい気がする。


「え~っと、ワールドクエスト、ワールドクエスト・・・あった」


 サイトにはこう書かれていた。


『トゥーリ王国国王、エルサルガ・ギュルヴィ・トゥーリは命じた。「国の結界を解く。国を狙う魔物を殺し尽くすまでは結界の張り直しは認めぬ」と。当然反対する臣下は少なからずいた。しかし王はその意見に耳を貸さないどころか、反対した臣下の悉くをその場で打ち首にした』


『遥か昔、トゥーリ王国が発足するよりも昔に、1つの国が消えた。かの国は戦争続きだった大陸を1つにまとめ上げ、大陸統一を成し遂げた。しかし消えた。戦争による滅亡、吸収合併などではなく、文字通り消えてしまった。当時を知る者は皆語ることを恐れ、ただ一言「神の怒りを買った」と零すばかりであった。それからトゥーリ王国が建国され現在に至るまで、トゥーリ王国の結界が絶やされたことはなかった。結界を張る役目には高い聖属性の適性を持った聖女が選ばれ、結界には防壁としての役目だけではなく魔物を寄せ付けない効果もあった。そして歴代の王たちはまるで何かから身を守るように結界を張ることを命じ続けた』


『そして現在、古来より受け継がれてきた文書を信じる者は減り、魔物を根絶やしにするという方針を取る者も少なくはなかった。「魔物を狩り尽くすべきだ」と主張する王はまるで何かに取りつかれていたかのようだったという』


 ・・・だそうだ。


「ほんとに乱心って感じだね」


 書いてあることを見た感じスタンピートでも起こるのかな。結界には魔除の効果があるらしいし、魔物さんたちが押し寄せてくるから王都や他の街を守る・・・みたいな感じになりそう。それだとどっちかと言うとタワーディフェンスかな?

 それとトゥーリ王国の歴史みたいなものも書いてあるけど、なーんか聞いたことがあるんだよね。勘違いじゃないなら多分死霊さんが話してくれたミズガルズとかいう国のことっぽい。現時点ではまだ歴史としてしか出てきてないけど、本格的にストーリーに絡んできたりするのかな。

 ミズガルズの情報はこれが初出なんだろうけど、私は知ってしまっているから今後面倒事が起きるのが確定してないかなこれ。頼むから私のことはほっといてほしい。


「今日は掲示板眺めて終わりかな」


 あんなことが起きた後に平然と王都を歩けるほど私の心臓には毛が生えていない。よって今日は掲示板にて私の情報を集めることとする!・・・自分で言ってて訳が分からないけど私は今から掲示板で私の情報を集めないといけない。だって見たでしょ、私を見るなり詰め寄ってきたあのガラの悪い集団。どんな情報流れてたらあんな連中が絡んでくるのって話だよ。今後の身の振り方を考え直すためにも、私の置かれている状況を把握しないといけないってわけ。


「初めて私の情報が出たのは~・・・ここ?」


・・・


「・・・まさか捜索のためのスレッドまで作られてるとは」


 なんか私のための専用スレッドまで建てられてた。解せぬ。

 でもいくらか情報は手に入った。どうやらAAOにおける私の通称は『商人』のようで、ヴィオがお腹に穴を開けた女の子がいるパーティから情報が広がったっぽい。その時に売った魔除と『錬成』のスキルがどうやら今の進行状況ではありえない物らしく、その情報を求めて私を追いかけてくるらしい。やっぱあのパーティに売ったの失敗だったか。破邪ポとか市場に流したらどうなるんだろう。

 それとこれは予想通りではあるけど、私はNPCだと勘違いされている。これはまあ幸いと言うか、これ以上変な状況になりそうにないからそのままでいい。けど、いつかプレイヤーだとバレた時が怖い。別に明確に悪いことしてるわけじゃないのに何とも言えない気分になる。アレだ、定期テストの結果が振るわなかったときに親から隠してる感じ。


「明日が楽しみやら怖いやら」

というわけでワールドクエスト説明回でした。

これまで散々匂わせた全プレイヤー巻き込みイベントがいよいよスタートします。どうやら王様はご乱心のようでまともな臣下の首をチョンパしてしまったようです。お姫様が心配ですね。

理菜が先行して入手した情報も出てきましたし、ここからストーリーはどう動いていくのでしょうか。


なんか投稿者が知らない間に「いいね」とかいう機能が追加されていたため、折角なのでONにしてみました。ぜってぇふぁぼってくれよな(某野菜人)

それと感想ですが、ちょっと見れていないので今度時間が出来次第まとめて返信します。無視してるわけじゃないんです!未読状態なんです!

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― 新着の感想 ―
[一言] 囲んでる時点で信用に値しないよねw
[一言] ふぁぼってやってみましたので続いてほしいな
[一言] 面白くなってきたー
2022/02/09 06:37 サカサカナ
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