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白骨少女が逝くVRMMO記  作者:
邪界樹の洞穴
3/96

初戦闘と不名誉

ご高覧いただきありがとうございます。


 無事ダンジョン内部に転送された・・・のかな。相変わらずぼんやりとした視界だからよくわからない。カチャカチャという音が響き、そちらに目を向けると私と同じような色の人の形をした何かが蠢いていた。これが王龍さんが言っていたアンデッドだろうか。音的に私と同族だったりするのかもしれない。こっちから何かしない限りは敵対されないって言ってたし、とりあえず道なりに進んでみよう。

 突き当りを何度か曲がってさらに奥へ進むと六畳くらいの小部屋に出た。すると、部屋の右奥に四角形の緑の魔力の塊が見えた。これは、もしかしなくても“アレ”ではないだろうか。


「でも大丈夫かな、これ。定番だとトラップとかあったりするんじゃ・・・」


 そう言いながらも、私の体は既に宝箱と思しきものに吸い寄せられていた。しかたないじゃん!こういうのはロマンなんだし!それに魔力の色も優しそうだからきっと大丈夫だよ!


「箱の中身はなんじゃろな、っと」


 宝箱を開けると、ものすごく白い色の魔力を持った瓶みたいな形のものが3つ入っていた。とりあえずトラップもなさそうだし、インベントリに入れて詳細を確認してみる。・・・と思ったんだけど、詳細がわからない。王龍さんの時みたく名前が読み取れないとかそういうのではなく、単純に何も表示されない。もしかして、『鑑定』みたいなスキルが必要だったりするんだろうか。でもさっき、王龍さんにステータスのチュートリアルみたいなのを受けてた時には称号もアイテムも詳細を見れたんだけどなあ。

 チュートリアル?そうか、さっきのはあくまでチュートリアルを受けていただけの可能性だってある。私、何の説明もないままとんでもない場所に放り出されたわけだし、教官ポジのNPCがいたっておかしくはない。そう考えると王龍さんがとてつもなくいい人(?)に思えてきた。これからは先生と心の中で呼ぼう。


「ポーションっぽいけど何もわからないし、とりあえず先に進もうかな」


 部屋を見回すと右側に続く通路と正面に進む通路が見える。分かれ道・・・とりあえず正面の道を進もうかな。某緋色の目をした人がこういう時は右のほうがいいよと言っていた気もするが、正直どっちに行っても変わらないと思う。それにお前いつまで船乗ってんだ!


「ここには何があるかな~っと」


 しばらく直進していると、小さい体育館くらいの広さの部屋と20体弱の人型の黄色の魔力がお出迎えしてくれた。お出迎えといってもこっちに攻撃してくるわけでもないので、簡単に通り抜けることができる。


 そういえば、まだ戦闘してないよね私。ここらでいっちょ、戦いというものを学んでもいいのではないだろうか。普通に進めていれば、そろそろ始まりの町周辺の雑魚モンスターを倒していてもおかしくはない。思い立ったが吉日、私は部屋の隅で立ち尽くしている1体の魔物に目をつけ、拳を握り締め力の限りパンチしてみる。


「でりゃあ!」


 決まった。これは腰の入ったいい一撃だ。

 なんて余韻に浸っていると、右腕に違和感を感じる。なんか動かしてる感覚がない。というか体のバランスが取れない。体に目をやると、右肩の付け根から右の脇腹にかけて体がえぐれていた。


「え・・・?」


 カチャリという音がして、音のした方向を見ると、さっき私がグーパンした魔物さんの魔力の色が黄色から赤色へと変わっていく。もしかして信号機的なあれなのだろうか、なんて悠長なことを考えている暇はない。とりあえずどれだけダメージを受けたのか早く確認しないと。


Lv:‐

HP:15/200

MP:15/15


 じゅうご!?私、今の一瞬でHP185ももっていかれたの!?

 これはまずい。完全に喧嘩を売る相手を間違えてしまった。絶対敵対しただろうからもう見逃してもらえないだろう。けど、負け戦だと決まってても初戦闘だ。ただで死んでやるつもりはさらさらない。けど抵抗するにしたって、とりあえずこのボロボロのHPをどうにかしないといけない。

 そういえば、さっきポーションみたいなの拾ったっけ。効力はわかんないけど、それくらいしか打つ手がない。インベントリからポーションらしきものを取り出し、覚悟を決める。


「ええい!ままよ!」


 ポーションらしきものを頭からかぶると、全身が燃えるような感覚に襲われ、意識が暗くなった。


《称号『超オーバーキル』を取得しました。》

《称号『弱点克服への一歩(聖)』を取得しました》

《称号『暗愚の屍』を取得しました》

 

 ・・・


『何をしておるのだ、お主は』


 あれ?なんで王龍さんが目の前にいるんだろう。もしかして、私の危機を察知して駆けつけてくれたんだろうか。王龍さんは先生じゃなくて白馬に乗った王子様なのかもしれない。

 じゃなくて、なんで私は王龍さんのところにいるんだろう。私は魔物さんに致命傷を負わされてポーションらしきものを頭からかぶったはずなんだけど。


『態々自分で破邪のポーションを浴びるとは。お主には興味が尽きぬな』


「破邪のポーション・・・?なんですか、それ」


『お主が力尽きる直前に頭からかぶった液体の名だ。正式名称は《回復のポーション・破邪》という。アンデッドの魔物が浴びると、とんでもないダメージを受ける代物だ』


 なんてことだ。私はそんなものを全身に浴びたというのか。そりゃあ死んでも仕方ないね。というか私、死んだのか。AAO初めてのデスが自滅かあ・・・仕方のないこととはいえ、何とも言えない気持ちになる。しかも王龍さんに一部始終見られてたっぽい。シンプルに恥ずかしい。


『何故破邪のポーションを自ら浴びたのかと思ったがお主、鑑定を持っておらんのだな。ならば破邪のポーションを浴びたのにも一応の理由ができるな。得体の知れぬものを頭からかぶるのもどうかと思うが』


「うぅ・・・」


 ぐうの音も出ないとはまさにこのことか。


『・・・まあ、ここまで面倒を見ているのだから、これしきで問題にもなるまい』


《邪ナル王龍『繝ィ繝ォ■?繝ウ繧ャ繝>繝』が、ディラにスキル『鑑定』を譲渡しようとしています。受け取りますか?》

▶YES

▷NO


「え、いいんですか。こんなことしてたら王龍さんのスキルが・・・」


『よい、他に似たようなスキルがある。それに、お主は他人を気にしていられるような状況でもなかろう』


《『鑑定』を受け取りました》


 なんで王龍さんはここまで私によくしてくれるのだろう。裏に何かあるんじゃないかと疑ってしまうくらいには優しい。私が骨じゃなかったら惚れてるよこれ。


「ありがとうございます!それじゃあまた行ってきますね!」


『そう事を急くな。今戻ってもさっきお主を仕留めた魔物に瞬殺されてしまうのがオチだ。奴の怒りが冷めるまで、我がお主にこの世界について教えてやろう』


 やっぱりチュートリアルじゃないか。

 しかし、早くログインしたくて碌にAAOの設定資料を読んでいないのも確かだし、まだあの魔物さんは怒っているらしいからここは王龍さんのお言葉に甘えるとしよう。


・・・


『超オーバーキル』

効果:敵の体力を大幅に超過するダメージを与えて倒した際の取得経験値量が増加する(微)

条件:敵に体力の10倍以上のダメージを与えて倒す、または自身の体力の10倍以上のダメージを受けて死亡する


死体蹴りはバッドマナーです。


『弱点克服への一歩(聖)』

効果:聖属性ダメージを軽減する(微)

条件:一定以上弱点属性のダメージを受ける


いつかはやりたい日光浴。


『暗愚の屍』

効果:なし

条件:回復のポーションを使用し、死亡する


自ら死を選択した屍の証。ジャパニーズハラキリ。


回復のポーション・破邪

効果:使用者のHPを200回復する。アンデッドに使用した場合、3000ダメージを与えるが回復のポーション・破邪の効果で敵が死亡した場合、使用者に経験値は入らない

称号は取得した時点で効果が発動します。ステータスにある称号欄は、他プレイヤーから見える称号を設定するだけのものです。やはり鑑定は偉大だった。


宝箱開封時にとあるネタをぶち込もうか迷いましたが、くどくなりそうなのでやめました。メト〇イドたのしい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公の行動と対応、あんまりゲーマーっぽくないな
[一言] 某やりたい放題競馬実況者「軽くて強いダンボール、箱の中身はなんじゃろな」
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