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白骨少女が逝くVRMMO記  作者:
死者の国
29/96

打倒理不尽

ご高覧いただきありがとうございます。


◇◆◇◆◇


称号:セットなし


名前:ディラ

種族:呪狂(カースドインセイン)竜骸(ワイバーンスケルトン)

職業:‐

所持金:10000ギル


Lv:‐

HP:320/320

MP:8900/8900

SP:88


装備:瘴石英の細剣、瘴気の編み上げ靴、蜀・逡後?鬥夜」セ繧


スキル:「闇魔法Ⅱ」「錬成」「瘴気」「念話(邪)」「看破」「吸魔」「竜の因子」「詠唱破棄」「細剣術・流麗」「細剣術・猛撃」「呪法」「魔装」


パッシブスキル:「冥王の加護」「呪狂竜」


取得称号:『管理繝ウのお気に入り』『艱難辛苦を求めし狂人』『最速の異界人』『邪王龍の友』『超オーバーキル』『弱点克服への一歩(聖)』『暗愚の屍』『卑劣』『冥王の友』『呪いと狂気の二重苦』『物好き』


アイテム:存在進化のスクロール、聖水×9、瘴気に染まりし錆びた長剣、英華の宝玉、回復のポーション・魔除×3


◇◆◇◆◇


「いやいやいや・・・」


 進化で減った分のHPを取り戻せるかもなんて期待した私が悪かったっていうのか。いや、私は悪くないはずだ。だって「進化」って言ったらステータスが全体的に引きあがって見た目もカッコよくなって新しい技を覚えて・・・ってなるはずじゃん。うち2つは達成されてるのかもしれないけど、大事なのは何よりもステータスのはずだ。


「なのに・・・!」


 そのはずなのに私のHPは320しかない。減っているのではなくマックスでこれ。最大値。こんなのってないよ。頑張って魑魅魍魎が跋扈するダンジョンの中を彷徨って無様に自滅して、それでも諦めずに探索を進めて強敵とも何とか渡り合えるようになって。それでこんなクソ寒い中文字通り死にそうになりながら偶然進化の糸口を見つけて2回目の進化にこぎつけてようやく進化したと思ったらコレ。一番最初の何でもない骸骨(スケルトン)とそんなにHP量が変わらないんだけど。

 こんなの『邪界樹の洞穴』の魔物さんでもないその辺の狼さんに噛みつかれただけでも致命傷だよ。熊さんなんてもっての外。なんだろう、ここまでの理不尽を課されると少しモチベーションに支障が出てくるんだけど・・・


「キュウ?」


 うーん、もう少し頑張ってみようかな。せっかく私の子どもになったヴィオをこのまま放置するのも忍びないし、お姉さんや王龍さん、それにおばあさんに恩を返さないと。それまではAAOやめられないね。いくら相手がNPCとはいえ、人として受けた恩は返さないとね。未だに私は骨なんだけど。

 ただ、そんな義務感でゲームしてても楽しいはずがない。今の状況で私が楽しめる手段、即ち目標を立ててやっていこう。もしかしたらその過程で人間に戻ったりできるかもしれない。


 ちょっと待って。ここで1つだけ嫌な未来が見えた。

 それは、『そもそも私は人間になれない』ということだ。どういうことかと言うと、私は常々人間に戻るだのなんだの言ってきたわけだけど、『戻る』ってなんだろう。私が人間なのはあくまでリアルでの話であって、このAAOの世界に降り立ったら私は骸骨だったわけだ。つまり、私の原点はどこまで行っても骸骨なのであって、人間に『戻る』手段がないということもあり得るかもしれない。

 でも、逆を返せば人間に『成る』ことはできるよね。戻ることができないなら進化の目標を人間みたいな肉のある種族にできるかもしれない。ただ、自分で進化先のコントロールなんて今のところできないんだけどね。できたらこんなことにはなってない。


「そろそろ増えたスキルとか見ないとだね」


◇◆◇◆◇


『呪法』

効果:魔力を消費することで自身に内包される呪いを攻撃に纏わせることができ、呪いを纏った攻撃を命中させると、対象に『呪い』の状態異常を付与する。使用者の呪力が大きいほど『呪い』の効果は上昇する。


『魔装』

効果:一定量魔力を消費することで全身を魔力で強化することできる。


『呪狂竜』

効果:スキル所有者の呪力を大幅に上昇させ、正気度を大幅に下げる。


◇◆◇◆◇


《規定動作を確認しました》

《プレイヤー『ディラ』に呪力、正気度のステータスが解放されます》


 突然メッセージウィンドウが現れて変なステータスを私に付与していった。えっと、呪力と正気度だっけ。

 ステータスを開くと呪力と正気度という項目が増えていた。ヘルプを開いてみたら『New!』というマークがついていて説明が書いてあった。


『呪力:呪いを体内に宿す種族に進化すると『呪法』というスキルとともに解放されます。種族によって開始ステータスは異なりますが、数値が増えれば増えるほど相手に与える『呪い』の状態異常の効果が上昇します。呪力は専用のアイテムを使用するか、呪いが濃い場所に滞在すると増えていきます。』


『正気度:狂の属性を持つ種族に進化した際に解放されます。正気度は100がMAXで、数値が下がれば下がるほど理性が失われていきます。理性が0になると自身の体の所有権を()()()に奪われ、操作が効かなくなります。この状態に陥ると、HPが0になるまで解放されません。正気度の増減はプレイヤーの感じている負荷によって変わります。』


 なるほど、呪力はそのまんま『呪い』という状態異常に関する数値で、正気度はSAN値のようなものだろうか。しかし、この正気度が0になった状態って私が『狂気』とかいうパッシブスキルを付与された時と全く同じじゃない?つまり瀕死以外にも『狂気』が発動する可能性が増えたってこと?これデメリットでしょ。


◇◆◇◆◇


『呪いと狂気の二重苦』

効果:呪力、正気度のステータスが解放されている場合、称号所有者の魔力消費を4/5にする

条件:呪いと狂気を宿す種族に進化する


汝はもう正道へ戻ることは決してない。心して邪道を進むがよい。


『物好き』

効果:なし

条件:この世界に存在しない種族に進化する


この世には我々には理解できない趣味嗜好があるものだ。


◇◆◇◆◇


 称号はこんな感じ。誰が物好きだ!好きでこうなったんじゃないやい!しかも効果がない記念称号だし。レアな称号なら『レア素材のドロップ率上昇』とかあってもいいのに。

 それで『呪いと狂気の二重苦』とかいう称号。称号の名前とかフレーバーテキストとかいろいろ気になるけど、そこら辺を除けば割と優秀な効果を持ってる。進化によって強制的にMPを多用するような感じにされたから、消費MP軽減は結構大きい。


「それで種族名・・・呪狂(カースドインセイン)竜骸(ワイバーンスケルトン)ねえ」


 とんでもなく物騒な種族になったものだ。まさにこの種族のためみたいなパッシブスキルも貰ってるし、称号のフレーバーテキストに書いてあった通りもう人間ルートは途絶えたのかもしれない。まだお姉さんという最大にして最高の伝手はあるけど、お姉さんの言ってた強くなるってこの方向であってるのかなあ。見方によっては弱体化してるんだけど。もうなるようになれって感じだよね。

 まあでも、考え方によってはあれだよね、「当たらなければどうということはない」を地でいけばHPなんて気にならない・・・と思ったけど当たらなければどうということはないのは全プレイヤー共通だった。『細剣術・流麗』を持ってるからアドバンテージと言えばそうだけど、他のプレイヤーがどんなスキルを持ってるかなんてわかんないし。考えるだけ無駄かな、私は私のできることをしよう。それがいい。


「お姉さーん、聞こえますかー?」


 一通り確認できたし、お姉さんに転送してもらおう。


『・・・あ、お姉さんって私?そんな風に呼んでたのね』


「しょうがないじゃないですか、お姉さんの名前聞き取れないんですから」


『それもそうね。で?こうして話しかけてきたってことは根っこは見つかったのね?』


「はい。その他にもいろいろと」


『そう、じゃあ階段の傍まで送るけどいいかしら?』


「あ、あのもう1人というか1匹連れていきたいんですけど大丈夫ですか・・・?」


『まあ、それくらいなら問題ないけれど。じゃあ転送するわよ』


「そっちに着いたら紹介します。ヴィオ、私につかまってて」


「キュ!」


 少し久しぶりの転送の感覚から覚めると、私とヴィオは真っ暗の階段に立っていた。


・・・


《『英華の宝珠』に呪力が溜まりました》

《現在 711/1000》

《以上の情報は、『繧ィ繝ォ繝■?繧ケ』の意志により、秘匿されます》

というわけで進化回終わりです。

理菜はあまりの理不尽に少し萎え気味です。仕方ないね。でもヴィオがいたおかげで引退は何とか防ぐことができました。ヴィオえらい。

そして呪力と正気度というステータスが追加されましたね。TRPGは始まりません。

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― 新着の感想 ―
[一言] 最終的にHPのくびきから解き放たれるんやろなあ MMOのプレイヤーとしてそれはアリなのか?w
[一言] 振り向けば貴方の背後に這い寄るスケルトン _('ω'_ )_ )))
[良い点] 一気読みしちゃいました。続きが早く読みたい!!面白いです!
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