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白骨少女が逝くVRMMO記  作者:
邪界樹の洞穴
20/96

一寸先は闇

ご高覧いただきありがとうございます。



・・・総合評価5000?なんでしょう、これは夢でしょうか?でも頬をつねると痛いです。

冗談はさておき、改めて総合評価5000ありがとうございます。なんだか感覚が麻痺しそうになりますが、1話投稿時にブクマを付けてくださった2人の神と、応援してくださる皆様への感謝の気持ちを忘れずにこれからも精進していきますので、どうか今後ともよろしくお願いいたします。


 お姉さんに手を引かれながら階段を下り始めて多分10分くらい経ったかな。黒い魔力で視界が常に覆われているから、平衡感覚なんてものはこの暗闇の中に置き去りにしてきた。足元も見えないから時々転びそうになる。


「あの、あとどれくらいで着くんですか?」


『そうね、あと少しで折り返しといったところかしら』


 なんとまだ半分以上残っているらしい。骨だからなのかゲームだからなのか、肉体的な疲れはほとんどないに等しいんだけど、何も見えない暗闇の階段をひたすらに下り続けるというのはなかなか精神的にくるものがある。


『ほら、若いんだからしっかりしなさい。それに疲れなんて感じない体でしょう』


「は、はい、すみません。・・・そういえば、さっき私のことを『無礼な娘』って言ってましたけど、なんで性別がわかったんですか?それに今も私が若いって」


 そう、そこが少し気になっていた。前に『吸魔』をくれたおばあさんも私のことを『お嬢さん』って最初呼びかけてたし。誇って言えることではないけど私は骨だ、骨に性別も何もあったもんじゃないと思うんだけど。


『そうねえ、言葉にするのはすごく難しいのよね。精気とでも言えばいいのかしら。魔力とはまた違った力が生き物には宿っているんだけれど、それの違いかしら。そもそもアンデッドに精気は残ってないからディラは傍目から見たらかなり異常よ?角と尻尾の生えた可愛らしい骸骨(スケルトン)が明らかに知能のある動きをしているんだもの』


 だそうだ。私はどうやら普通のアンデッドとはかなり毛色が違うらしい。まあ普通に生きてる人間の精神がただの骨に乗り移ってる状態なんだから、精気とやらがあってもなくても私は変な存在なんだろうけど。それはプレイヤー全員に言えることだろうけどさ。

 というか待って、角?お姉さんいま角って言ったよね?私角なんて生えてたの?慌てて空いている方の手で頭をまさぐってみると、人間でいう耳の後ろに明らかに異物が存在した。まじかあ、尻尾が生えてるのは知ってたけどまさか角まで生えてるなんて。私の体がどんどん人間離れしていく・・・もともと人間じゃないんだけど。これ、人族と遭遇したら絶対討伐対象になるよね。AAOで平穏ライフを送るのはもう無理そう。元からそんなの目指してないけど。


『ディラあなた、自分の姿も把握できてなかったの?その姿じゃ仕方ないとはいえ、目が見えないのって不便ねえ。せっかく可愛らしい姿をしてるのに』


「何も見えないわけではないとはいえ、不便なのは確かです」


『私ならどうにかできるんだけど、さすがにそこまでしてしまうのは過保護というものよね。それじゃあの愚弟と変わりないもの』


「え、この姿ってどうにかできるんですか!?」


 お姉さんが信じられないことを小さく呟いた。なんと、私のこの不便極まりない体をお姉さんならどうにかできるというらしい。AAO楽しくなってきたなあオイ!オイオイオイ!

 いや今まで楽しくなかったのかと聞かれれば全くそんなことはなくて、むしろ逆境を楽しんでた節もあるんだけど、この曇ったサーモグラフィみたいな視界がどうにかなるとなれば話は違う。勝ちです、優勝です。対戦ありがとうございました。


『まあできるといえばできるわ。どこまで元の姿に近づけるかはディラ次第だけれど』


「え、具体的に何をすれば・・・」


『いったん落ち着きなさい。まだ私が何かすると決まったわけではないわよ。あなただってただ施しを受け続けるのは嫌でしょう。どうせ既に弟から念話以外ももらっているんでしょうし』


 別に嫌なわけではないけど、確かに人の力だけで強くなるっていうのはゲーマーを自称しているからには避けたいところではあるかもしれない。でも、私ここまで割と頑張ってきたよ?もう少しくらい甘えさせてくれたっていいと思うんですよ。

 ・・・なんてことを馬鹿正直に口に出してしまえば、お姉さんに手を離されてこの暗闇をさまよい続ける羽目になるのは目に見えてるから絶対に言わない。死ぬのはもう御免だ。


「わかりました、なるべく期待はしないようにしておきます」


『・・・なんだかカチンとくるわねその言い方。別に私だってその不便そうな体をどうにかするのはやぶさかではないのよ?ただ、そんな理由であれもこれもしていたらディラのためにならないじゃない。私はこれでもあなたの実力を買っているわ。いくら向こうが本領を発揮していないかったとはいえ圧倒的格上の骸骨隊長(スケルトンキャプテン)を相手に数時間斬り合うなんて並みの精神じゃできないわ。まあ最初にポーションを頭から浴びた時は気でも狂ったのかと思ったけれど』


「それは忘れてください・・・」


 どうやらここでしていたことを全部お姉さんに見られていたらしい。・・・あの最悪の自滅シーンまで。うう、恥ずかしい。穴があったら入りたいよ。

 それにしても、お姉さんは思った以上に私のことを気にかけてくれているらしい。あの王龍さんの親族だからどうせ性格がどこか歪んでいるんだろうと思っていたんだけど、どうやらお姉さんはかなりの常識人のようだ。これは反省しなければ。


『ふふふ、あれは面白かったわよ。っと、ここから少しの間冷えるけれど、我慢して』


「いや、私は寒さなんて・・・寒ッ!?」


 痛みすら感じない体だから寒いも暑いもないと思ってたんだけど、あるんだ、そういう感覚。とことん不便だねこの体。


『ここで階段から外れると氷獄(二ヴルヘイム)という場所に出るわ。ここに放り込まれる連中は普通の寒さじゃびくともしないから魂が凍る冷気が常に吹き荒れているのよ。階段ならそこまで影響はないけれど、今のディラじゃ気を抜いたらすぐに凍ってしまうから気をつけなさい』


「そ。そうなんですね。気を付けます。そういえば、さっき炎獄(ムスペルヘイム)っていう場所もあるって言ってましたけど、どういう場所なんですか?」


『うーん、そうね。簡単に言えば氷と炎の牢獄よ。明確に何をすればどっちに入れられるというのは私もよくわかってないけれど、余程のことじゃなければディラが入ることはないわ。そもそもここに入る者はお母様が選別しているもの。まあ私たちの敵になるというのなら話は別だけれど』


 お姉さんがそう言うと、ないはずの鳥肌が立ったような気がした。宣誓!私は生涯お姉さんに逆らいません!死にたくないので!

 なんてふざけていると寒さが収まった。ほんとに寒かった、末端冷え性にはつらいよ。


『氷獄を抜けたわね。あと少しよ』


 そのまま引き続きお姉さんに手を引かれながら真っ暗な階段を下りていると、突然視界が開けて目の前に大きな門が現れた。


『私よ、開けてちょうだい』


 お姉さんがそう言うと、ギギギという重い音を立てて門が開いていく。その先には綺麗に整備された城下町のようなものが見えた。


『ヘルヘイムへようこそ、ディラ。歓迎するわ』

お姉さんとおててを繋いでお話回でした。

というわけで、『邪界樹の洞穴』編はいったんここで終わりです。ここから物語とかAAOの色々が加速していく予定なので、ゲーム的要素が見たい方はどうぞご期待ください。


次回に掲示板回を挟んで2章が始まりますが、明日は掲示板回のみになる可能性が高いです。申し訳ございません。皆様により良い作品を届けるために投稿者頑張りますので、本編は明後日までお待ちください。

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― 新着の感想 ―
[一言] 某銃撃戦のピンクの悪魔や絶対防御のラスボス主人公な作品も掲示板話をわりと楽しんでいるので期待して待ってます!
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