狂戦士
ご高覧いただきありがとうございます。
11/30 誤字報告ありがとうございます。
◇◆◇◆◇
名前:‐
種族:骸骨竜騎士
Lv:89
HP:58400/58400
MP:7670/7670
スキル:「使役」「呼声」「魔装」「柔双剣術」「英雄」「逧?ク昴?螽」
◇◆◇◆◇
これはやばすぎる。王龍さんが気をつけろって言ってた魔物さんの1体だ。ステータスが見える分まだ死霊さんよりはマシに感じるけど、それでもやばい。どう足掻いても私じゃ勝てるビジョンが見えない。攻撃を受け流してどうこうとかいうレベルを超えてる。そもそも受け流せるかもわかんないし。
どうにか見逃してくれないかな~なんて甘ったれた考えが通る道理もなく、竜騎士さんは腰に携えていた立派な双剣を手に取って私に向かって構えた。すぐに攻撃が飛んでくると思ったけど、竜騎士さんは双剣を地面に突き刺して双剣に魔力を注ぎ始めた。ほんとはすぐに止めたいんだけど、あれに割って入ったところですぐに反撃されるのが目に見えてるから迂闊に手を出せない。
すると、地面に巨大な魔方陣が浮かび上がって竜騎士さんの頭上の空間が大きく揺らいで、周囲に突風が吹き荒れる。
「なんなのこれ・・・!」
突風に耐えながらなんとか顔を上げると、竜騎士さんの頭上にはさっきの上位竜骸よりも一回り大きい、巨大な魔物さんがいた。なんだあれ、でっか。
◇◆◇◆◇
名前:‐
種族:氷竜骸
Lv:70
HP:44900/44900
MP:6510/6810
状態:被支配
スキル:「氷結魔法Ⅷ」「竜の吐息」「強靭」「魔装」「怨嗟」「変形」
『怨嗟』
効果:自身が倒された際に、ランダムで状態異常を5個付与する。
『変形』
効果:???
◇◆◇◆◇
あー、無理だねこれ。この方たち、2人合わせてHPが6桁を越えていらっしゃる。それにレベルもとんでもなく高い。この組み合わせだとここで1番強いんじゃない?知らないけど。こっちが連戦続きなのをいいことに寄ってたかっていじめやがって!全快でも勝てる気しないけどさ!
とにかくここで戦うなんて馬鹿な選択はしない。どうやって生き延びるか、それだけを念頭に置いて行動すればもしかしたら運よく逃れられるかもしれない。
とりあえずここから早く逃げ出したいんだけど、背を向けて走り出すのはNGだ。私はそこまで足が速いわけじゃないし、足が速くなるようなスキルを持っているわけでもないから、すぐに追いつかれて死ぬのがオチだろう。でも、幸いにも部屋の出口はそこまで遠くはないから多少後ずさりながら戦えばすぐに逃げ出せるかもしれない。魔物さんは体が大きいから通路は通れないだろうし。でも、私程度が少しでも竜騎士さんと打ち合えるのかわからない・・・どうにかして竜騎士さんを足止め出来たらいいんだけど。
何かないかとインベントリを探ると、3本の魔除があった。そうだ、まだ魔除が余ってるんだ。どうにかしてこれを竜騎士さんに浴びせるかなにかをして怯ませられればワンチャンある気がする。
なんて考えてる間も竜騎士さんは何故か待っていてくれた。こっちの出方を窺ってるとかそんなところかな。このうだうだ考えてる間に逃げ出せばなんとかなったりしたんだろうか。やらかしたかもしれない。
過ぎたことを悔やんでも仕方ないから、潔く逃走の準備をする。インベントリから魔除を取り出して前方に思い切り投げる。そこに『闇撃』を撃って魔除の入った瓶を割って中身を周りに散らせる。私にもかかりそうになった、危ない。HPが1500を切ってるから魔除が当たるとそのまま死んでしまう。もう自滅はおなかいっぱいなんだよね。
なんだかんだ言って竜騎士さんもアンデッドなことに変わりないから多少は怯むと思ったんだけど、竜騎士さんは魔除の雨を気にも留めず、とんでもない早さで私の方へ駆けてきている。そうですか、膨大なHPの前では1500なんてかすり傷にもならないですか。
「あっ」
細剣をしまって逃げ出す準備をしていた私は、受け流しにチャレンジすることもできずにお腹辺りを斬られて体を上下に真っ二つにされた。ああ、さすがに死んだな・・・
Lv:‐
HP:2/1880
MP:956/1108
・・・なんか生きてる。いやでもここからどうしろっていうのさ。もう動けないし。
《称号『艱難辛苦を求めし狂人』の所有者のHPの大幅な減少を確認しました》
《称号『艱難辛苦を求めし狂人』の効果により、プレイヤー『ディラ』にパッシブスキル『狂化』を付与します》
《パッシブスキル『狂化』はHPの回復、または枯渇で解除されます》
というメッセージウィンドウが現れたと思ったら、私の体が勝手に動き出した。私が動かそうとしても全く動かず、まるで体の所有権を奪い取られたみたいだ。視界も私の思った通りに動かせないからあっちこっちに揺れる視界で酔いそうになる。
なんか竜騎士さんに向かって私が突撃してるんだけどどうやって動いてるの?まさか腕だけで前に進んでる感じ?テケテケじゃん、怖っ。
どうにもできないことを悟った私は、荒れ狂う自分の視界をボーっと眺めていると、私が竜騎士さんの腰のあたりに噛みついて体の一部を嚙みちぎった。すごいね、まさに『狂化』って感じの動きしてる。人じゃなくて獣だよこんなの。元から人でもないけど。噛みついた勢いで私が転んだ隙に今まで出てきただけで空気だった魔物さんがブレスを吐いてきた。まずいぞ私!このままじゃ死んでしまうぞ!
なんて応援も空しく、私の体は凍り付いて残り僅かだったなけなしのHPも0になってしまった。
「次は勝つからなー・・・」
私の視界は黒く塗りつぶされていった。
《プレイヤー『ディラ』のHPの枯渇を確認》
《スキル『狂化』を解除します》
《スキル『狂化』の発動を確認しました》
《『存在進化のスクロール』の所持を確認。スキル『狂化』の発動により、存在進化ルートが解放されました。現在解放されている進化先は通常進化先の骸骨騎士のみです。存在進化『???』の解放には最大HPを減少させる必要があります》
《現在 1880/1500》
《また、存在進化『???』の解放には上位竜骸の角が必要となります》
《・・・》
《上位竜骸の呪角、呪われた仙骨の所持を確認しました》
《新たに存在進化ルートが解放されました》
《存在進化『蜻ェ迢■ォ憺?ク』の解放には最大HPを減少させる必要があります》
《現在 1880/1000》
《以上の情報は条件達成まで、プレイヤー『ディラ』に開示されません》
・・・
「おお、思いのほか順調じゃの。感心感心」
というわけで戦闘に区切りがつきました。
覚えている人がほぼいないであろうあのスキルがようやく日の目を見ました。でもスキルが発動したからと言って竜騎士さんに勝てるほど甘くはないです。
今回、今後の展開の都合でいつもより短くなってしまいました。申し訳ないです。流石にこれ以上負け確の戦闘を長引かせるのは投稿者の文才では限界がありました・・・
ここで問題だ!このボロボロの体でどうやってこの化け物から逃げるか?
3択-ひとつだけ選びなさい
答え①キュートな理菜は突如反撃のアイデアがひらめく
答え②仲間がきて助けてくれる
答え③逃げられない。現実は非常である。
本文に入れようと思ったけど何とか思いとどまったやつです。供養しておきます。




