上から来るぞ(ry
ご高覧いただきありがとうございます。
死霊さんの研究室につながる横道があった通路を歩いていると、途中で分かれ道が現れた。
「そういえば、死霊さんについて行ってる途中にこんな道あったね」
少し曲がりくねった道を進むと、途中で通路が3つに分かれていた。こんなに分かれてもらっても私の体は1つしかないんだから困るんだけど。
特に理由もないけどそのまま正面の通路へ進もうとすると、通路が途中で瓦礫で塞がっていた。ありゃ、崩落でもしたのかな。まあ仕方ないね、じゃあ左に行こうかな。・・・と思ったけど、こっちも塞がってるのね。引き返して今度は右の通路を進む。こっちは特に崩落とかはしてないみたいだね、時々道がひび割れてて躓きそうになるけど。
「さっきまではきれいに整った道だったのに何でここだけこんなにボロボロなんだろう。死霊さんが戦った後なのかな」
覚束ない足取りでボロボロの通路をさらに進んでいくと、かなり天井が高い大きめの部屋に出た。体育館くらいの大きさはありそうかも、ここ。何が出てくるかわからないし警戒しながら部屋を見回したけど、特に何もいない。何の部屋なんだろう。特に何もないただの部屋って選択肢もなくはないんだけど、一応部屋の外周をぐるっとしてみた。やっぱり何もない。なーんだ、結局ハズレ部屋か。骨折り損だったね。
そのまま部屋を出ようとすると、通路の前にバラバラと骨が落ちてきた。ここの魔物さんが良く落とす『瘴気に染まりし骨』だ。なんでこんなアイテムが上から落ちてきたんだろう。さっきは何もなかった高い天井をよく見ると、かなり上の方に魔力の反応があった。この距離じゃ『看破』が届かないみたいだし、ちょっと威嚇射撃してみよう。
「『闇撃』!」
微かに魔力が見える方へ闇撃を撃ち、魔力反応の近くに着弾する。どうかな、敵対しちゃったかな。とりあえずもう少し降りてくれると非常に助かるんだけど。今更だけど、あの魔物さん飛んでるね。劣種竜骸以来の人型じゃない魔物さんだ。受け流しの練習にちょうどよさそう。
もう数発追加で『闇撃』を撃つと、ずっと上にいた魔物さんの魔力が赤くなって私目がけて急降下してきた。やば、ちょっとやりすぎたかも。でも、これで『看破』も使えるね。
◇◆◇◆◇
名前:‐
種族:上位竜骸
Lv:47
HP:5510/17070
MP:765/1660
状態:被支配
スキル:「火炎魔法Ⅲ」「竜の吐息」「強靭」「魔装」「呪怨」
『竜の吐息』
効果:竜種専用スキル。魔力を消費せずに属性効果のあるブレスを使用できる。
『強靭』
効果:被ダメージを4/5に軽減。
『魔装』
効果:任意で全身に魔力を纏わせる。
『呪怨』
効果:???
◇◆◇◆◇
・・・あちゃ~、思ったよりヘビーな魔物さんがきてしまった。これ、この魔物さんが万全の状態だったら戦いにすらならなかっただろうね。HPが1/3以下にまで減っちゃってるけど、ここで戦ってたのかな。もしかして、ここまでの通路がボロボロだったのもこの魔物さんが原因なのかな?
なんにせよ、手負いの状態で遭遇できたのはラッキーだ。ここで仕留めて私の糧になってもらおう。細剣を構えて戦闘態勢に入る。まず牽制で『闇撃』を一発撃つ。すると魔物さんが空中で静止して、口元に赤い魔力が集まっていくのが見える。火の魔法でも撃つつもりなのかな。でも下位の魔法なら前回の戦いで受け流しを習得した私には通じないぞ。ふふん。
魔物さんが口から魔法をはな・・・あれ?範囲広すぎない?これ受け流すとかいうレベルじゃないんだけど。
「あっつ!あつくないけど!燃えてる!」
どうやら魔物さんが放ったのは魔法じゃなく、広範囲の火属性のブレスだったようだ。吐息をどう受け流せっていうんだ。そんなことより、超格上の魔物さんの攻撃が直撃してしまった。HPやばそう。
Lv:‐
HP:1472/1880
MP:959/1108
あれ、思ったよりも減ってないかも。それでも400は削られちゃったんだけど。
ちょっと待って、なんか最大HP少なくない?進化したての時って2000は超えてたよね?なんで?心当たりなんて1つもない。意味もなく最大HPが減るわけないし、何か原因があるんだろうけど、今はそれどころじゃない。私がステータスを見てる間に魔物さんがこっちに向かって突進してきた。あんな巨体の突進なんて食らった日には即死亡だよ。
突進を躱してすれ違いざまに『闇撃』を撃つ。入ったダメージは雀の涙ほどだった。やっぱり攻撃力が足りない。ということで『錬成』で魔除を作ろうかなと。素材はさっきの戦闘で手に入れた分と魔物さんが落とした分があるしね。幸いにも魔物さんの動きは直線的だし、ブレスもあれからやってきてないから『錬成』をする余裕はあったりする。
魔物さんの残りHP分の魔除を作ったはいいものの、突進を躱し続けてたから魔物さんが降りてきてくれなくなっちゃった。精一杯の挑発のつもりで『闇撃』を数発撃つも、お返しと言わんばかりにブレスが返ってきた。いけない、このままじゃジリ貧で負ける。といっても私にできることはそんなにないからめげずに『闇撃』を撃ち続ける。
《プレイヤー『ディラ』のスキル『闇魔法Ⅰ』の熟練度が規定値に達したため、『闇魔法Ⅰ』が『闇魔法Ⅱ』へと進化します》
《スキル『闇魔法Ⅱ』を確認しました》
《『闇波』が解放されました》
おお、スキルが進化した。なんて都合のいいタイミングなんだ。
早速解放された『闇波』を魔物さんに使ってみると、剣先に黒い魔力が集まって横に伸びて三日月の形になって飛んで行った。飛距離は十分あって、空を飛んでる魔物さんに余裕で届いた。でもこれ、『闇波』というよりは『闇刃』なんじゃないかな。ちなみに威力の方はそこそこだった。
『闇波』で空の魔物さんを狙い撃ちしてると、1発が魔物さんの頭に直撃した。別に頭の中に何か入ってるわけじゃないから頭に当てたところでうまみはないんだけどね。嗚呼、そろそろ生身の魔物さんとも戦ってみたい・・・。
「なんか落ちてきた」
それから魔物さんの頭に『闇波』を数発撃っていると、魔力の欠片が落ちてきた。なんだろうこれ。
◇◆◇◆◇
上位竜骸の呪角
効果:所有者に瘴気の状態異常(永続)
上位の竜の角に瘴気が溜まり、呪いへと昇華したもの。誇り高き竜が骸に堕ちた無念は計り知れない。
◇◆◇◆◇
角だ、しかもただの角じゃない。1度持ったら永遠に瘴気に纏わりつかれる呪いの一品。あんまり持ちたくないけど私には瘴気効かないしいいか。しかしこのゲーム、部位破壊でドロップなんてシステムもあるんだね、芸が細かい。流石世界のNEXT社。
すると、角を折られた魔物さんはどこから出してるのか理解に苦しむ悍ましい唸り声を漏らしながら、私に向かってすごい勢いで突進してきた。地面に激突するのもおかまいなしにひたすらに私を狙って突撃してくる。魔力の色は赤からさらに濃くなった深紅になっていて、魔物さんの怒りの深さが伺える。
「しかし、どうしたもんかなこれ・・・!」
魔物さんが暴れだしてからというもの、攻撃が突進ばかりになったものの動きが早いし軌道もめちゃくちゃで受け流して反撃なんてする暇もない。
「じゃあ、反撃しなきゃいいのか」
そこで私が思いついたのは、無理に反撃しようとするんじゃなくて攻撃を予め置いておいてそこに魔物さんを誘導すること。罠ってほどいいものじゃないけど、怒りで私しか見えなくなっている魔物さんには有効だと思う。
懲りずに突進してくる魔物さんを躱して、細剣を横向きに構える。また空に飛びあがって私に狙いをつける魔物さんを迎え撃つ。
「ここ!」
私目がけて地面スレスレで突進してくる魔物さんに敢えて向かって行って、当たる少し前で『闇波』を魔物さんの顔面に直撃させて、私はジャンプをして魔物さんの羽の付け根を細剣で斬る。普通に斬ったんじゃ私の力ではとても歯が立たないけど、魔物さんの突進の推進力を利用する。羽の付け根とぶつかった細剣は少し嫌な音を立てながらも魔物さんと羽を分断した。
私は飛び上がった勢いでそのまま地面に激突して転がったけど、それは向こうも同じようなことになってるし、何なら魔物さんの方がダメージはかなり大きい。羽を斬ったからか、もう飛ぶ素振りを見せない魔物さんはまだ突進を続けてくるけど、こうなってしまえば私に負ける要素はない。それに怒りに任せて無茶な攻撃を繰り返したせいで魔物さんは瀕死だ。
勢いが落ちた突進を受け流して、インベントリから魔除を取り出して魔物さんに浴びせると、魔物さんはさっきとは違ったどこか悲しい声を上げながら消えていった。
「ふう、勝てたね」
いくら手負いだったとはいえ、あのクラスの魔物を相手取って倒せてしまった。私、もしかして強い?いやー、この調子で死霊さんの依頼もクリアしちゃおうかな?
なんて調子にのったことを考えていると、部屋の真ん中あたりの魔力が揺らいで1体の魔物さんが出てきた。連戦かあ、ちょっとしんどいけど人型の剣士っぽいしなんとかなるかな。ていうか今ワープしてきた?
◇◆◇◆◇
名前:‐
種族:骸骨竜騎士
Lv:89
HP:58400/58400
MP:7670/7670
スキル:「使役」「呼声」「魔装」「柔双剣術」「英雄」「逧?ク昴?螽」
『使役』
効果:魔物を屈服させ、従えることができる。
『呼声』
効果:使役した魔物を呼び寄せる。また、魔物側からの声も聞こえるようになり、任意で魔物の場所へと転移できる。
◇◆◇◆◇
「もしかして、飼い主の方ですか・・・?」
またまた戦闘回でした。
まあ人様のペット殺したらそりゃあ飼い主の方も怒りますよね。魔物の状態はよく見ておこう(戒め)
探索が進んで文章だけではこんがらがりそうになってきたし、読んでくださる方も増えてきたのでダンジョンマップみたいなものを公開すべきか悩んでます。こういう場合って活動報告に載せればいいんでしょうか。




