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白骨少女が逝くVRMMO記  作者:
邪界樹の洞穴
11/96

強敵との遭遇(n回目)

ご高覧いただきありがとうございます。



な、なんと、総合評価が4桁を突破していました・・・これは現実でしょうか。夢でも見ている気分になります。これもひとえに読んでくださる皆様のおかげです。更新はのんびりですが、必ず完結させますのでどうか最後までお付き合いください。


 まだ魔力の余波が止まない通路を駆けていくと、少し広めの部屋に出た。部屋の中心に1体の魔物さんとそれに向かい合う数体の魔物さんがいた。


「なに?仲間割れ?」


 顔とか見えないからわからないけど、体躯からして似たような魔物だとわかる。さっきものすごい爆発音を響かせたのはどっちの魔物さんなのかな、とりあえず『看破』を・・・


「やっばい!」


 数体で群れてる魔物さんの方に『看破』を使おうとすると、1体だけの魔物さんが手に持ってた杖みたいなものを掲げた。その瞬間、部屋の中にとんでもない量の魔力が渦巻いて魔物さんが掲げた杖っぽいものに凝縮された。さっき聞こえた爆発音の正体がアレっぽい。私は部屋の入口近くで魔物さんから離れているとはいえ、数十メートル離れている通路にまで余波が来るような魔法を撃つそばにいるのはやばい気がする。急いで部屋から離れ、突き当りを曲がった瞬間、さっきと同じような爆発音が周囲に響き渡った。

 なんとかあの魔法からは逃れれたらしい。助かった。ほんとにこのダンジョン化け物が多すぎる。さっき上から落ちてきたのが隊長さんじゃなくて、今の魔物さんだったらと思うと寒気がする。


「もう大丈夫かな・・・?」


 また通路を進み、さっきの部屋に出る。群れていた魔物さんの姿は見えず、1体だけの魔物さんが部屋の中心に立っていた。魔力を見ただけだと他の魔物さんと対して違いは見えないんだけど、どんな魔物さんなんだろう。


◇◆◇◆◇


名前:■?■

種族:死霊(リッチ)


Lv:1??

HP:38?4?/38?4?

MP:?87??/?91??


スキル:「獄炎魔法Ⅷ」「重力魔法Ⅸ」「逾櫁*鬲疲ウⅩ」「死霊術」「呪聖魔術」「杖術」「詠唱破棄」「逧?ク昴?螽」


『死霊術』

効果:葬った者の亡骸に自らの魔力を注ぎ、支配する禁忌の呪術。


『逾櫁*鬲疲ウⅩ』

効果:なし


『呪聖魔術』

効果:???


『詠唱破棄』

効果:魔法の詠唱を破棄して魔法を発動することができるが、威力と範囲が少し落ちる。


◇◆◇◆◇


 情報量情報量。とりあえずやっばい魔物さんに遭遇してしまったことは間違いない。ステータスの数値すら見えないとか何事なんですかねほんと。見える情報だけでも、レベルが100は超えてて、HPも将軍さんと同じくらいにはあって、MPも5桁あるのが確認できる。あとやばそうな魔法と魔術。あの将軍さんですら霞んで見えるとんでもない魔物さんだ。スキルも見たことないのばっかりだし、効果が見えないやつまである!こんなの聞いてないよ王龍さん!


「敵対はしてないみたいだし、早くここから出よう」


 部屋の隅の方に宝箱っぽいものが見えたけど、この状況で呑気に宝箱を漁れるほど私の心臓は毛が生えてない。さらに奥へと続く通路にそそくさと逃げ込む。死霊さんとすれ違ったときに妙に視線を感じたけど、結局何かされることはなかった。なんだったんだろう。

 部屋が見えなくなったあたりで腰を下ろし、一息つく。しかし、とんでもない魔物さんだった。私があんなのになれる頃にはAAO終わってるんじゃないだろうか。そう思えるくらいには遠かった。『看破』を使ったのに見えないってことは、あれが隠蔽されてる状態ってことなのかな。その割にはスキル見えてたけど。


「・・・そう、スキルだよスキル!気になるのがあったんだよ!」


 それは死霊さんが持ってた『詠唱破棄』だ。説明を見る限り、詠唱をしない代わりに魔法の威力が少し下がるって感じだったけど、詠唱がいらないってことは私でも魔法を使えるようになるんじゃない?死霊さんも私に敵対してないところをみるに、アンデッドっぽいし、さっきも詠唱しているようには見えなかった。

 というわけで、ステータスからSPのスキル取得画面に飛び、取得可能スキル一覧を見る。


《『詠唱破棄』消費SP:40》

《SPを40消費してスキル『詠唱破棄』を取得しますか?》

▶YES

▷NO


 あった、しかし高い。金食い虫だね君。 

 しかし、ここでSPを40も使ってしまうと残りがたった3になってしまう。それはどうなんだ東雲理菜、ここで散財したら次にいつSPがゲットできるかわからないんだぞ。いつどこでどんなスキルを見れるかわからないのに、こんなところで大量のSPを使ってしまってもいいのか!?

 なんて葛藤がありはするが、私の手は「YES」を選択していた。


《スキル『詠唱破棄』を取得しました》


 やっちゃった。でも後悔はしてないよ、反省もしない。なんてったって、私は今この時より魔法使いになったんだからね。ふふん。まあステータスの職業欄は相変わらず『‐』の無職状態なんだけど。

 そんなことより、せっかく魔法を使えるようになったんだし、これまであるだけでなんの役にも立ってなかった『闇魔法Ⅰ』を使ってみよう。


「『闇撃』!」


 『闇魔法Ⅰ』に含まれる『闇撃』をダンジョンの壁に向かって放つと、黒い魔力の薄い波が壁にぶつかって霧散した。


「おお・・・」


 威力はわからないけど、そんなものより魔法を撃てたという達成感で胸がいっぱいになる。胸ないけど。・・・貧乳って意味じゃなくて、骨だからってことね?わかってるよね?

 魔法を撃てるのが楽しいのと、『闇撃』の消費MPが少ないのもあってなんの意味もないのに無駄に『闇撃』をそこら中に撃ってしまう。だって楽しいんだもん。まさか魔法が撃てるようになるなんて思わなかったし、しかも詠唱なしでだなんて。こんなの楽しくないわけがないでしょ。くそー!魔法がどうなってるのか肉眼で見たい!こんな体にしたクソAIへのヘイトが止まらない。


 そうだ、あれからまた少し時間が経ったけど王龍さんはそろそろお返事をくれるだろうか。まだ探索をする元気はあるけど、王龍さんに聞きたいこともたくさんできたし、そろそろ帰りたい。あと話す相手がいなくてさみしい。そんなわけで王龍さんに念話で呼びかけてみる。


『・・・む?おお、ディラか。どうした、こちらまで帰るか?』


 話が早いようで助かる。心なしか王龍さんの声が疲れているように聞こえる。どうしたんだろう。


「はい、お願いします」


『お主の場所は・・・わかった。では、転送するぞ』


 王龍さんがそう言うと、重力が反対になったような感覚に襲われる。あ、この感覚ちょっと懐かしいかも。


・・・


『ふむ、ここを出る前と比べたら成長したな。しかし面白い種族に進化したものだ』


「劣種竜骸兵を知ってるんですか?」


『ああ、このダンジョンにも数体いるぞ。だが、進化先などは教えぬぞ?我の楽しみが減ってしまうのでな』


 どうやら私の同族がここにいるらしい。お話してみたいけど無理だろうなあ・・・ここにいる魔物さんたち、みんな知性なんてなさそうだし。王龍さんが何気にひどいことを言ってくるが、どうやら私はまだ進化できるみたい。隠し種族を解放して進化したはいいけどここで進化は打ち止めです、なんてことになってたらこのゲーム引退だよ。


「そういえば、ここに戻る直前に死霊って魔物さんに会ったんですけど、なんなんですかあれ。『看破』を使ってもステータスすら満足に見れなかったんですよ」


『・・・お主、死霊に遭遇したのか。なぜ生きているのだ』


 何故も何も、敵対されなかったからとしか言いようがない。そもそも私は骨なんだし、アンデッドの魔物さんからは敵対されないしね。王龍さんやっぱり疲れてる?


『死霊というのは、肉体のある生物すべてを憎み妬み嫉み羨み、霊の側に引き入れるまで執拗に攻撃を仕掛けてくる厄介な魔物なのだぞ。使う魔法は個体によって異なり、どれも並みの戦士などでは歯が立たないような奴なのだが・・・』


 なんだそれ。私の遭遇した死霊さんは生物を襲うどころかお仲間であろう魔物さんにとんでもない魔法ぶっぱなしてたけど。こんなところにいるんだし、特殊な魔物さんなのかもね。


『まあ、お主が特殊なのは今に始まったことではないか』


 死霊さんが変なのではなく私が変ということになってしまった。失礼な。自分が変という自覚がないわけではないけど、骨だし。


『ん?お主、妙な石を持っておるな。見せてみろ』


「あ、はい」


 瘴石英をインベントリから取り出すと、王龍さんの方へとふわりと浮かんでいった。なにそれ、私もそれやってみたい。いいなあ。


『ほう、ほう、瘴気に染まった水晶か。強度も申し分なし、量も十分なのだが、なぜこれを使っておらぬのだ。お主自身の強化につながるぞ、これは』


「え!?」


『これをお主が腰にぶら下げておる剣に使えば良い物に仕上がるのだぞ。その程度ならばできるだろう』


「でも使うって言っても私鍛冶なんてできないし・・・」


『本当に分かっておらぬのだな。お主の『錬成』は何のためにあるのだ』


 ゑ、『錬成』って調合だけじゃなくて武器の強化までできるの?そんなの知らないし聞いたこともない。ちょっと運営さん、スキルの説明文足りないんじゃないですか?

 しかしそんなことができるなら、それは願ったり叶ったりだ。隊長さんとの打ち合いで細剣の耐久が怪しいラインまできていたからね。拾い物とはいえ、あれだけ使えば多少は愛着が湧くものだ。

 というわけで、王龍さんに瘴石英も返してもらってボロボロになった瘴鉄の細剣に瘴石英を近づけ、『錬成』を発動する。


《「瘴鉄の細剣」と「瘴石英」で『瘴石英の細剣』を作成できます》

《MP70と素材を消費して『瘴石英の細剣』を作成します》


 細剣と瘴石英が宙に浮かび、水色の魔力を放出しながら混ざり合った。


《『瘴石英の細剣』を作成しました》

《称号『鍛冶屋泣かせ』を取得しました》

未知との遭遇回です。

皆様はダイパリメイク買いましたか?投稿者はシャイニングパールを買いました。今はとりあえず殿堂入りを済ませてなぞのばしょ探してます。リメイク前が世代ど真ん中だったこともあって懐かしい気持ちでプレイできました。相棒はドダイトスです。


明日は本編を2話投稿する予定です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公の暴言はとてもとてもとても多いよね、理不尽の。 ゲーマーらしいです。
[一言] 普通にやってたら詠唱破棄はどのくらいで手に入ったのやら。序盤だと魔法が使い物になってないみたいだし詠唱破棄必須なバランスだとしたら案外最初からとれるのかもしれない…?序盤にしてはSP消費重い…
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