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白骨少女が逝くVRMMO記  作者:
邪界樹の洞穴
10/96

スルースキルは大切

ご高覧いただきありがとうございます。


 奥へ進むと、通路が右と正面に続く分かれ道があった。特に迷うこともなく、正面に続く道を歩く。なんで頑なに右へ行かないかって?気分だよ、気分。どうせ隅々まで探索することになりそうだし、どこに私が強くなれる要素が潜んでいるかわかんないからね。

 そのまま歩いていると、ガコンという機械的な音と何かを踏んだ感覚があった。細剣を構え、咄嗟に身構えるも、何も起きない。


「なんだったんだろう」


 警戒を解き、先へ進もうとするとボトリと何かが落ちる音が私の背後から聞こえた。アイテムでも落ちてきたのかと思って振り返ると、真っ赤な魔力の魔物さんが私に向かって大きめの武器を振るっていた。


「うわあ!誰!?」


 慌てて細剣を取り出し、魔物さんが横薙ぎに払った武器を受け止める。しかし、私の力がないのかもしくは武器の差なのか、武器を受け止めた衝撃に耐えきれずよろけてしまった。その隙を逃さずに魔物さんはまだ体勢が整わない私に向かって追撃を振るう。体勢を直すことを諦め腰を落としてなんとか魔物さんの攻撃から逃れる。こういう力では敵わない敵には攻撃を受け流す『パリィ』とかが有効なんだろうけど、そんなスキルもないし、自主的な運動をほとんどしないもやしっ娘な私にPSなんてものがあるわけがない。

 攻撃がもう来ないことを確認して魔物さんから距離をとり、看破を使う。


◇◆◇◆◇


名前:‐

種族:骸骨隊長(スケルトンキャプテン)


Lv:36

HP:6790/6790

MP:355/355


スキル:「統率」「激励」「招集」「剣術」「馬術」


『統率』

効果:支配下の魔物を一挙に操ることができる。


『激励』

効果:味方を激励し、能力を伸ばす。


『招集』

効果:支配下の魔物を呼び寄せる。


◇◆◇◆◇


 隊長さんね、騎士さんの上司かな?お宅の部下さん、遠い所へ帰ってしまわれましたよ。なんて冗談めかしてはいるが、『招集』というスキルを使われると非常にまずい。隊長さんだけでも手に負えないというのに、騎士さんクラスの魔物さんが押し寄せてきたら勝ち目はない。綱渡りではあるけど、私は味方を呼ばなくても勝てる相手だと思わせて、私の剣の練習相手になってもらうしかない。そうしないと勝ち目なさそうだし。

 そのためにも、攻撃を受け止め続けて防戦一方感を演出する。いや、ほんとに防戦一方ではあるんだけどね。この隊長さんめっちゃ強い。


・・・


 どれだけ時間が経ったのだろうか。体感では優に1時間は経過した気がする。でも、それだけやった成果はあった。斬り合ってる最中、突然『細剣の心得』というスキルをゲットできた。熟練度的な何かが貯まったんだと思う。そして『細剣の心得』をゲットした途端に攻撃を受けるのが楽になった。これまで両手で細剣の柄を握りしめてなんとか攻撃を受け止めていたんだけど、『細剣の心得』をゲットしたら片手だけでも攻撃を受け止められるようになった。スキルさまさまだね。

 かなり戦闘に余裕ができてきたから、攻撃を受け流す動きも加えてみる。剣が頭上から振り下ろされたら細剣を横向きに構えて剣の軌道をずらす。そんな感じのことを繰り返していると頭の中にメッセージが流れてきた。


《スキル『細剣の心得』の特殊熟練度が規定値に達しました》

《スキル『細剣の心得』がスキル『細剣術・流麗』に進化しました》


 どうやら『細剣の心得』が進化したみたい。早くない?どれだけ斬り合ってたんだ私。今はスキルを確認する暇はないから確かめることはできないけど、これまで取ってきた行動からして受け流しに特化したスキルっぽい。魑魅魍魎が跋扈するこの最下層を踏破するにはうってつけのスキルかもしれない、やったぜ。

 そうだ、『吸魔』の検証もしたかったしここで隊長さんには私の実験体となってもらおう。懲りずに振り下ろされる剣を躱して、隊長さんのボディに蹴りを叩き込む。すると隊長さんは大きく仰け反り、隙ができる。


「『吸魔』!」


 空いた左手を隊長さんにかざして『吸魔』を発動する。発動中に隊長さんが体勢を立て直してこっちに向かって剣を振り下ろすが、それを受け流し『吸魔』を続行する。持続限界の15秒が経過して『吸魔』の効果が切れたのを確認したらすかさず『看破』を使用する。



Lv:36

HP:4832/6790

MP:285/355



 思ったよりも減ってた。やっぱり『吸魔』って壊れスキルなんじゃないだろうか。これをデメリットとか回数制限なしで打てるのやばすぎるよ運営さん。下方修正されても私が困るから何も報告はしませんけど。うふふ。

 そこそこに削れたとはいえ、私には決め手が欠けている。普通に攻撃したところでたかが知れてるし、変にHP削って『招集』を使われたら一巻の終わりだ。そうならないためにも、なにか攻撃手段が欲しいんだけど、となるともうアレしかない。そう、魔除だ。戦いながら魔除を錬成して隊長さんに浴びせるくらいしか一気に隊長さんを倒す方法がない。今は隊長さんと距離をとってて少し余裕があるからとりあえず1個魔除を錬成する。そういえば、前は詳細見ずに使ったけど魔除の効果ってどんなものなんだろう。


◇◆◇◆◇


回復のポーション・魔除(まよけ)

効果:使用者のHPを150回復する。アンデッドに使用した場合、1500ダメージを与えるが回復のポーション・魔除の効果で敵が死亡した場合、使用者に経験値は入らない


◇◆◇◆◇


 威力は破邪ポの半分だけどこれでも十分すぎるくらいに強い。隊長さんの残りHPだと4個浴びせれば倒せる。作った魔除をインベントリに仕舞い、隊長さんの攻撃を受けながら残りの魔除を錬成していく。しかしここで劣種竜骸の骨の在庫が切れてしまった。さっき拾った骨じゃ素材として不十分みたいだし、魔除を3個浴びせて『招集』を使われる前に隊長さんを削り切るしかない。

 まず隊長さんの攻撃がくるのを待って、攻撃がくるタイミングで魔除を浴びせて隊長さんの動揺を誘う。まんまと魔除をかぶった隊長さんは、驚いて動きが鈍る。その隙にもう1個魔除を浴びせる。すると隊長さんは素早く後退して腕を上に挙げると、その腕に魔力が集中しているのが見えた。


「スキルは使わせないよ!」


 それが『招集』の予備動作だと判断した私は、後退して少し離れた隊長さんに急いで詰め寄り魔除を隊長さんにぶん投げる。そしてぶん投げた魔除が隊長さんに当たる寸前に魔除の入った瓶を隊長さんごと細剣で貫き、魔除と細剣の分のダメージを一気に与える。


「これでどうだ!」


 だが、細剣に貫かれた隊長さんの体が消えることはなく、腕に集まっていた魔力が貯まり切っていた。


「やばい!『吸魔』!」


 このままでは『招集』を使われてしまうため、クールタイムをとっくに終えて全裸待機状態の『吸魔』を咄嗟に発動する。そして『吸魔』を発動して4秒ほどで隊長さんの魔力が霧散していく。なんとか倒せたみたい。

 はー疲れた。今回はスキルの恩恵で有利に戦いを進められてたから多少は余裕があると思ってたのに、なんで最後はいつもギリギリになっちゃうんだろう。やっぱりそういうスキルでもついてるんじゃないだろうか。あのクソAIならやりかねない。

 しかし、私の攻撃では魔除を3個使った満身創痍の敵すら一撃じゃ倒せないのか。細剣が手数武器で、一発一発の威力が低いとしても、渾身の突きでHP300ちょっとすら持っていけないのは切ない。物理火力は諦めたほうがいいのかも。


「そうだ、隊長さんは何か落としたかな」


 隊長さんのいた場所を見ると、水色の魔力をした水晶みたいな形のものが落ちていた


◇◆◇◆◇


瘴石英

効果:所持者に瘴気の状態異常を付与


瘴気を吸い込んだ石英。特殊な魔力を帯びており、多少の傷ならば自動で直る。


◇◆◇◆◇


 自動回復効果が付いた鉱物のようだ。持ってる人には害があるみたいだけど。しかしどいつもこいつも瘴気にまみれてて嫌になってしまう。こんなところにいるとまともなアイテムが欲しくなっちゃう。とりあえずこれはインベントリにしまっておこう。何も考えずにインベントリに入れちゃったけど、瘴気ってどんな状態異常なんだろう。今瘴石英を持ってるからステータスから『看破』でチェックしよう。

 あれ、ない。ステータスを見たけど、状態異常になってるようには見えない。私はいたって健康のようだ。十中八九、この『瘴気』とかいう今までスルーしてきたスキルが原因だろうね。


◇◆◇◆◇


『瘴気』

効果:体から瘴気が溢れ出る。瘴気に触れた者に瘴気の状態異常を付与し、瘴気の状態異常を無効化する。

条件:なし


「なんかこの辺臭くない?」


◇◆◇◆◇


 なんて嫌なフレーバーテキストなんだ。このスキル手放したくなってきた。私は断じて臭くない。臭くないもん!

 ・・・まあ、私に瘴気が効かない原因も特定できたから良しとしよう。気分は最悪だけどね。


 通路の隅で休憩していると、突然凄まじい爆発音が通路の奥から響いてきた。


「っ!?なんの音!?」


 私がいる通路にも魔力の余波が見える。どれだけとんでもない魔法が使われたんだろう。

 その爆発音と魔力に引き寄せられるように、私は奥の部屋へと駆け出した。


・・・


◇◆◇◆◇


称号:セットなし

名前:ディラ

種族:劣種竜(レッサーワイバーン)骸兵(スケルトンソルジャー)

職業:‐

所持金:10000ギル


Lv:‐

HP:1960/1960

MP:911/911

SP:43


装備:瘴鉄の細剣


スキル:「闇魔法Ⅰ」「錬成」「瘴気」「念話(邪)」「看破」「吸魔」「竜の因子」「細剣術・流麗」

パッシブスキル:なし


取得称号:『管理者のお気に入り』『艱難辛苦を求めし狂人』『最速の異界人』『邪王龍の友』『超オーバーキル』『弱点克服への一歩(聖)』『暗愚の屍』


アイテム:存在進化のスクロール、聖水×13、瘴気に染まりし錆びた長剣、瘴石英


◇◆◇◆◇

隊長さんとのランデブー回です。

あまりリアルの時間経過とか持ち出すのは無粋な気がして意図的に書いてきませんでしたが、理菜は隊長さんと2時間ほど斬り合ってます。ゲーム内で何時間とかは個々の想像にお任せします。

激励で部下の能力を上げれる隊長さん、超いい人なのでは・・・?


理菜お前、HPが・・・

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― 新着の感想 ―
[一言] ん?最後のHP上限減ってない??
[一言] HPどこまで減るんだろ?0になって詰みは流石に無さそうだけど…一人用ゲームならともかくとしても。まあ1で止まるのが順当かな?HP上限0で特殊進化があっても面白そうだけどどうなるやら
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