8.お勉強……?
『レア』を『クレア』って書いてました……やばいやばい
誤字報告で教えてくれた方、ありがとうございます!
私達用の訓練が決まったけれど、私達がやることは訓練だけじゃない。
実力をつける他にも、この世界の知識も必要だということが決まったみたいで、私達は一般知識のお勉強もすることになった。
でも、ちょっと問題があって……。
「ということがあり、魔王と言っても種族は多種多様。魔族だったり吸血鬼だったり、ただの魔物が異常進化したことで魔王になったこともありますし、多くの魔力を取り込んだ人間が魔王になった事例もあります。なので今回の魔王も種族は何なのか……それを知る必要が────レア様? レア様!」
「んにゃ?」
頬を突かれて、目を覚ます。
「……どうしたの?」
「どうしたの。ではありません。また眠っていましたね?」
「ん、ごめんなさい」
お勉強はつまらない。
だから、眠くなっちゃう。
「もう……他の勇者様方は、すでに我が国の歴史まで進んでいます。第一段階から進められていないのはレア様だけですよ?」
この国の歴史……うわぁ、考えただけで眠くなる。
でも、なるべく頑張ろうと思っているのは本当。
それでも眠くなっちゃうのが現実で、私はお勉強が始まってから一度も、最後まで居眠りせずに乗り切れたことはなかった。
そのせいで私は、他の三人とは別でお勉強をすることになった。
私が居眠りをするせいで授業が進まないのは申し訳ないから、別行動したいって王様にお願いしたんだ。ちゃんと理由を言ったら王様も承諾してくれて、急遽、私のために家庭教師をもう一人用意してくれた。
私の家庭教師は、この国の第一王女。
すごく綺麗なクリーム色のふわふわした髪で、笑顔が柔らかい人。
名前は、たしか…………
「フェルせんせー」
「フィルです」
…………違った。
「フィンレール・レト・ラットベルン。……そろそろ覚えていただきたいのですが」
「ごめんなさい。名前、覚えるの苦手なの」
「ああいえ、謝る必要は……。ゆっくりで大丈夫ですから、覚えられるものから少しずつ覚えていきましょう」
フィル先生は、すごく優しい。
私が何度居眠りしても怒らないし、分からないところは覚えるまで丁寧に教えてくれる。
第一王女だから知識も豊富で、私を下に見ることなく話してくれるから、お話するのが楽しい。それでも寝ちゃうから、そこは本当にごめんなさいって思う。
「では、つまらない話はここまでにして、次からは魔法のお勉強をしましょうか」
「魔法……!」
「ふふっ、レア様は魔法がお好きですか?」
「……好きかは分からないけど……興味は、ある」
ずっと使ってみたいと思っていた。
だから、訓練以外でも魔法のことを勉強できるのは、嬉しい。
「それじゃあ、今後は魔法を主に勉強していきましょう。この世界の知識は最低限でも大丈夫だと思いますし、どうせなら興味のあることを学んだ方がやる気も出るでしょう」
「ん。フィル先生、ありがと……大好き」
「ふぇ!? す、すすす……!」
優しい人と一緒にいるのは楽しい。
クロもシュリも、他のみんなも私に優しくしてくれた。私の大切な眷属で、大好きな人達。
だから、みんなみたいに優しくしてくれるフィル先生も大好きだ。
「す……、だなんてそんな…………私達は女同士ですし、ああ、でも……勇者様の希望を叶えるのが王族の務め……レ、レア様がそれを望むのであれば、私は喜んでこの身を」
「先生? フィルせんせー?」
「はひっ!? な、ななななんでしょう!」
「魔法、早く教えて?」
「…………あ、はい」
なんかちょっと残念そう?
気合いを入れてお勉強のスケジュールを考えたのに、それが無駄になったから落ち込んでいるのかな?
もしそうなら、申し訳ないことをしたかも……。
でも、興味がないことをずっとやっていても無駄だし、あまり多くのことは覚えられない。それなら少しでも興味のある方を勉強したいなって思う。
「それでは、まずは魔法の基礎。六元素を学ぶことから始めましょう。この世界は六つの元素で成り立っています。人の中には必ず魔力が宿っていますが、人によって適した属性は異なり」
「……………………ぐぅ」
「レア様!」
「はっ」
前言撤回。
興味のある授業でも、居眠りはやめられないみたい。
お勉強(するとは言っていない)