19.紅に沈むのは……
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明日も更新します!
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「はぁ〜〜、疲れた……」
お日様も眠っちゃった時間。
目覚めてから一人でやることがなくて、ただボーッとしながらお布団に包まっていたら、私のお部屋の扉が外側から開かれた。
入ってきたのは、シュリ。
シュリは大きな溜め息を吐いて、肩を揉みながら私のベッド端に腰掛ける。
「……おかえりなさい」
「ん? ──あらクレアちゃん! そんなに可愛い格好をしちゃって、本当に癒されるわぁ……」
お布団の中から頭だけを出して、おかえりなさいって言う。
そしたらシュリはすっごく驚いてたけど、すぐに微笑んで頭を撫でてくれた。
「もしかして、起こしちゃった?」
「…………んーん、ちょうど、起きてたの」
「そうだったの。一人にしちゃってごめんなさいね。会議が思ったより長引いちゃって……」
「ん、大丈夫」
最近、みんなは忙しく動き回っている。
そのせいで私は一人で眠ることが多くなった。……少し、さみしいけれど……夜は必ず誰かが戻ってきてくれるから、まだ大丈夫。
「シュリ、疲れてるの?」
「え?」
「さっき、疲れたって、言ってたから……」
シュリは私が寝ていると思って独り言を呟いたんだと思う。
それを指摘するのはダメかなって悩んだけど、シュリが疲れているのを無視したくないって思ったから、聞いてみた。
「正直に言っちゃうと、ね……」
そしたら、シュリは困ったように笑いながら、曖昧にそう答えた。
「あ、でも! それが嫌だとは思ってないわよ! ……ただ、私たち魔物はこういう行事に慣れていないから、新しく覚えることが多くて。今はリリーを中心にお勉強中だけど、まだみんな右往左往で忙しいのよ。もう少しすれば多少は落ち着くと思うわ」
「…………ん、なら……よかった」
リリーちゃんが提案してくれたコロセウムは、人間が作った文化。
普通、魔物はこういうことをしないし、そもそも異なる魔物同士で群れることもしなかった。だから、みんな初めてのことで戸惑っているんだろうな。
本当にリリーちゃんがいてくれて良かった。
魔王軍のみんなが来てくれたおかげで、街の住民はすごく楽しそうで、みんながまた、一つのことに集中して一致団結してくれる。みんな、もっともっと仲良くなる。
それは元々、この街にいた住民だけじゃない。
新しくやってきた魔王軍とも、仲良くなってくれると嬉しいな。
「疲れてるなら、横になって」
お布団から出て、私の隣をポンポンって叩く。
「そうね。疲れたならゆっくり眠らないと……」
「違う」
「……え?」
「いいから、横になって。うつ伏せ」
シュリは困惑しながら、言われた通り私の隣でうつ伏せになった。
「あの、クレアちゃん……これは何っ、をぉ!?」
シュリの上に跨る。
なんか、変な声が聞こえたけれど……気にしない気にしない。
「んしょ、ん、しょ……」
「えっと、その……クレアちゃん? まさかとは思うけれど……これって……」
「ん、マッサージ。これをすると疲れが取れるって、リリーちゃんが言ってたの」
私には力がない。
多分、私と同じくらいの女の子よりも私の力は弱いけど、それでも全身を使えば、こんな私でもマッサージはできると思う。
「で、でも……クレアちゃんにやってもらうなんて……」
「私が、ん……やりたいと思った、から……んしょ、やってるだけ」
「いや、そういう心配じゃなくて、あの、これ以上やられると……」
「……?」
「っ、ごふぉッッッ!」
「ん、どうした──の?」
急にむせ始めたから、どうしたんだろうって顔をあげると────辺り一面が真っ赤に染まっていた。
その中に沈むシュリ。
ビクビクって小さな痙攣しながら、血濡れた手で何かをベッドシーツに書いている。
──幸せの中には『死』が潜んでいる──
……………………ちょっと、なに言ってるのかわからない。
私もクレアちゃんにマッサージしてもらいたい……。
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