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30.控え室


 私はフィル先生に案内されて、会場の控え室まで来た。

 そこには先にハヤト達が待機していて、入室した私を見た瞬間、ミカとユウナは「きゃー」と黄色い声をあげた。


「レア! すっごく可愛いじゃない!」

「とても似合っています! 本物のお姫様みたい……!」


 すぐに囲まれて、沢山褒められる。

 私はどう反応したらいいのか分からなくて「あうあう」って言葉に困った。フィル先生に視線で助けを求めたら何故か満足気な顔をしてて、私の助けには気づいてないみたい。


「レア、本当に綺麗だね」

「ん、ありがと……ハヤト達も、綺麗だと思う」

「あはは、ありがとう。でも、レアに比べたら俺達なんて霞んじゃうだろうね」

「フィル先生が頑張って可愛くしてくれたの。そのおかげ」

「いいえ。私は整えただけです。レア様は元が完璧と言っていいほど可愛らしい顔をされているので、余計な手を加えたらむしろ逆効果になってしまいますからね」


 フィル先生はそう言って謙遜するけれど、私自身が見間違えるほどに綺麗になったから、先生のおかげなのは間違いないと思う。


「レア様の魅力をもっと語りたいところですが……残念ながら時間のようです。私は先に会場で待っていますので、また後程、お会いしましょう」

「ん、ここまでありがとう。またね」

「ええ、また……では失礼いたします」


 フィル先生は部屋を出て行った。

 その背中が見えなくなって寂しくなったけれど、またすぐに会えるから大丈夫。


「……それにしても、こうして四人だけで集まるのは久しぶりよね」

「最近はみんな訓練でずっと忙しかったから、話し合いもできなかったもんね」

「訓練と言えば、レアは順調みたいじゃないか。……魔弾、だっけ? 色々と試行錯誤しているって二人から聞いてるよ」

「ん、的を追いかけたり、数を増やしたり。色々できるようになった」


 その他にも、魔弾とは違う魔法も開発してみようって話が出ている。

 今はフィル先生が色々な案を考えてくれているから、落ち着いたら試してみるつもり。


「魔法かぁ……いいなぁ。俺も使ってみたいんだけど、どんなにやっても魔力を感じることができないんだよね」

「私達が必死に頑張ってようやく出来たんだから、ハヤトが簡単に出来る訳ないでしょ」

「むしろ、これで簡単に使われたら怒りを覚えそうだよ」


 ミカとユウナがすごく頑張っていたのは、私も知ってる。

 もちろんハヤトも剣術を頑張っているみたいだけど、やっぱり知識の差っていうのは大きい。


 二人はマグ……なんとかさんから魔法の知識を学んでいる。

 それに比べてハヤトは魔法について何も知らないから、上手くいってないんだと思う。


「まぁ、まだ時間はたっぷりあるんだ。それまで頑張ってみるよ」

「ん、応援してるね」


 ハヤトの凄いところは、諦めないところだと思ってる。

 どんなに不利でもまずは頑張ろうって行動して、どうしたら上手くできるんだろうって真剣に考える。そんなハヤトだから、私も応援する気持ちになれるんだ。


「勇者様、失礼します。そろそろお時間です」

「あ、分かりました! すぐに行きます!」


 もっとお話ししたかったけれど、もう時間がきちゃったみたい。

 続きはパーティーが終わってから。今度はフィル先生も一緒に、みんなでゆっくりお話ししたいな。


「あ〜! 人前に出るのって緊張するぅ!」

「ん、緊張するね」

「大丈夫ですよ。今日はお披露目パーティーなんですから、変なことをする人なんていませんって」

「そうよそうよ。もし、レアちゃんに変なことをしようとする奴がいたら、私達が追い返してあげるからね!」


 変な人……多分、否定派の人達のことを言っているんだと思う。

 でも、フィル先生から聞いた話によれば、否定派はほとんど参加しないみたいだから、滅多なことは起きないんじゃないかな。


 ……そう思っても、やっぱり緊張するな。

 一度、嫌な目で見られると、初めて会う人もそうなんじゃないかって思っちゃうから。


「ん、三人がいるなら、安心」


 もし私を嫌な目で見てくる人がいても、私を守ってくれる人がいるから大丈夫。

 勇者の三人も、フィル先生も。頼もしい人達だ。


「それじゃあ、行こうか」


 ハヤトを先頭に、私達は部屋を出た。

 案内されるのはパーティー会場。そこで私達のお披露目が始まる。


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