17.魔法を見せる
前回の話で100話だったみたいですね。
(感想で教えてくれた方、ありがとうございます)
今後も頑張っていくので、どうか応援よろしくお願いいたします!
私はマグノリアさんに嫌われているから、魔法の勉強が出来ないと諦めていた。
でも、フィル先生が代わりに教えてくれるって言ってくれた。
どうしてだろう。
マグノリアさんは魔法師団長で凄く強いんだろうけど、フィル先生に教えてもらえることの方が嬉しいって思う。
……信頼してるから、なのかな。
この国に来て一番、私に優しくしてくれた人だからなのかな。
でも、先生は人間の王族で、私は正体を隠した吸血鬼。
私の本当の種族を知ったら、きっと今までみたいに話すことはできなくなる。
だから、いつか来る時まで……この時間が続くといいな。
「まずは、今までの成果を見せていただけますか?」
私が魔力を上手に使えることを、フィル先生は知っている。
だから、今何ができるかを把握しておきたいんだって。
「ん、分かった」
私なりに考えた今日の成果。
と言っても、ただ魔力を集めて撃ち出すだけだけど……。
「……えい」
目標物は、木で出来たお人形。
そっちに手を向けて、しっかりと狙いをつけて魔力を撃ち出す。
──ボガッ。
当たった。
外したらどうしようって不安だったから、一安心。
「先生、できた。…………先生?」
反応が気になって後ろを振り返ると、先生はすごく真剣な表情で、木っ端微塵になったお人形を見つめていた。
「魔力を撃ち出す。しかし、あの威力は? 威力だけなら中級魔法を……いや、先程のは詠唱を必要としていなかった。ありえない。無詠唱だなんて……それこそ上級以上の」
「先生、フィル先生」
「っ、は、はい! ……ごめんなさい。少し考え事を」
考えごとにしては、少し怖かった。
ぶつぶつ言ってて全部は聞こえなかったけれど、普通じゃなかったことだけは分かる。
……もしかして、何か変なことしちゃったかな。
「レア様。先程のを撃ち出す際、何か考えていたことはありますか?」
「考えていたこと……?」
当たってほしいとは思ったけれど、それ以外は特に何も考えてなかった。
正直にそう答えると、先生は頭を抱えちゃった。
──あ、もしかして、そのせいで変になったのかな?
もっと色々考えないとダメだったのかも。
それをしなかったから、先生は頭を抱えちゃったのかも。
「先生、えっと……ごめんなさい。私、もっと頑張って覚えるから……だから、嫌にならないで?」
「…………あぁ、いえ……嫌になった訳じゃありません。だから、その……お願いですから、そんな寂しそうな顔をしないでください。こっちが申し訳なくなってしまいます」
先生はそう言って、私から目を逸らした。
それから数秒。
溜め息を吐き出した先生は、「いいですか?」って私の目を見てきた。
「レア様は先程のを、ただ魔力を撃ち出しただけだと言っていましたが、それは大きな間違いです」
「……そうなの?」
「はい。あれはすでに魔法と言える域にあります。それに加えて無詠唱、木人を破壊する威力も考慮すれば……上級魔法は間違いないでしょう」
……。
…………。
……………………。
「無詠唱? 上級魔法? ……なにそれ?」
正直にそう言うと、先生は頭を抱えた。
……さっきも見たやつだ。