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とある終着駅の出来事

作者: めいこ

「キヨ、おつ~」

「あ、錦さんお疲れ様です!」

「あと30分で終電だな。あ~早く寝て~」


高卒で入社したこの鉄道会社で、俺は駅員として改札に立っている。

現在時刻は23時30分、終電がこの駅に到着すれば今日の仕事は終わり。

コロナで外出自粛が求められているこの夏、そこそこ大きいこの駅でも終電で降りてくる客はほぼいない。


「あち~」

隣にいるのは一年度上の先輩、錦さん。

俺がこの駅に配属されてからずっと面倒を見てくれている大好きな先輩だ。

「この時間、客来ないから怖い話しようぜ」

「いいっすよ」

そうして俺と錦さんは終電までの時間潰しに怪談話を始めた。



「じゃ俺から。これは今車掌やってる先輩の話なんだけど、何年か前にこの改札で終電を待ってたらしいんだよ。

掃除しながらそろそろ終電来るな〜って時、小学生くらいの男の子が走って改札を通り過ぎるのが視界の端に入ったんだ。


夜中に子供が1人でホームに上がっていく訳ないだろ?


しかもいくら自動改札がセンサー式で小さい子供には反応しないとしてもさ、何か音はするはず。

なのに何の音もしなかったらしい。


先輩は何かあったらまずいと思って、焦って男の子が走っていった先を見たら、誰もいない。


でもホームへ続くエスカレーターに…今度は白い服の女がいたらしい。

人を感知して動くはずのエスカレーターの上で動かずに、

ずっとこっちを見てたんだ。

怖くなった先輩は精算所に連絡したんだよ。

そしたら精算所の助役は『落ち着いて聞いてな』って前置きした後、こう言った。


『その人は、もういない人だから』」




「え…それってあのエスカレーターですか?」

俺は改札の奥にある、止まったままのエスカレーターを指さす。

「そ!だから気ぃつけろよ~。次キヨな。」

「気ぃつけろってどうしたら…も~!」


錦さんの笑い声が利用客のいないコンコースに響く。



「じゃあ次俺…この前武内助役に教えてもらった話なんすけど…。


武内さんって前職場は東響駅らしいんですけど、

東響駅って北自由通路はあるのに南自由通路はないじゃないですか。

実はお客さん用の駅構内地図には載ってないけど、従業員専用としてあるっちゃあるらしいっす。


じゃあなぜ公表していないか。


その理由が昔東響駅にたむろしてた戦争孤児達が亡くなると、その南自由通路のあたりに集められて放置されてたらしいっす。


平成になって一時は北自由通路みたいに使う事を検討されたみたいですけど、どんなに清掃しても異臭がするし、人によっては子供の『本日も〇〇鉄道をご利用いただきありがとうございました。』



突然頭上に響き渡るアナウンスに、俺と錦さんは思わずビクッと肩を震わせる。

怪談に夢中になっている間に、今日の終電が到着していたようだ。

「びっくりした…。」

「タイミングな(笑)誰も降りてこないみたいだし、早く改札閉めて寝ようぜ。」

「はい!」



「「お疲れ様です。」」

無事改札の閉め作業を終え、俺と錦さんは内勤で寝室の鍵を借りている。

今日の当直は終電の直前、話題に上がった武内助役だ。

「ご苦労様。錦は101号室、清田は102号室な。


…ところで君達さっきまでずっと話してたね?

何かあったのかと思ってしばらく見ていたよ。」


ドキッとする。


そういえば各改札には不正乗車の証拠を押さえるため監視カメラが設置されていて、内勤ではリアルタイムで改札の様子を見られるようになっている。


俺と錦さんがずっと話してんの、監視カメラで見られてたか…。

怒られるかもしれないとビクビクしながら、武内助役の顔色を伺う。






「結局あの白い服の女性客は何の用だったの?」

実は筆者は駅員をしていた経験があります。

この話は駅で実際に聞いた話を基にしたフィクションです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです♪ その場にいた二人には見えなかったのに、監視カメラ通すと見えていたんですね。 でもきっと、女性は録画にはうつっていないか、録画自体が出来ていなさそう……。 楽しい作品、有り…
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