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児童虐待は人生に大きな影を落とす ⑦

 宏美は恭平の方に一瞬だけ顔を向けたが、すぐにまた、目をそらして背を向けた。

「でも私、人との顔を見ない方が素直に話ができるのよ。対面恐怖症なの。だからラジオのDJという仕事を選んだのよ」

「宏美…」

 恭平が、また宏美に近づこうとしたが、気配を感じた宏美は逃げるように、恭平のたたんだ洗濯物に近づいていった。

「あーあ、汗でびっしょり。着替えるわ」

 この話は終わり…という様子で洗濯物に手を伸ばした宏美は、急に咳き込み始めた。

「ゴホンゴホン、なによこれ。タバコの臭いがするじゃない。あなた私のためにタバコを止めたんじゃないの」

「え! 僕は知らないよ。たぶん下の階のアキちゃんのお父さんがベランダでタバコを吸ったんじゃないかな。アキちゃんが言ってたよ。『お母さんがタバコ嫌いだから、毎日、ウチのお父ちゃん、ベランダで蛍族してる』て」

 しかし、宏美は、まるで警視庁科学捜査研究所の研究員かのように、洗濯物から自分のブラジャーを手に取って冷静に嗅ぐと、眼光鋭く断言した。

「やっぱり犯人はあなたよ」

「どうして! 」

「バナナの匂いがするわ・・・あなた、覚えている。初めて喫茶店に入ったときのことを…」

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