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弔い


 そして、帰ってきたシムは、居住区すぐそばのゲートでそれを見つけた。


 あの手だった。

 異世界の間に消え去ったかのように思った手は、またこの竜の大地に舞い戻ってきたのだ。


 シムは手を拾う。

 今度はゲートが突然開くようなことはなかった。

 ゲート横の端末を確認する。

 どこのゲートと繋がったのか記録はなかった。

 ただ、手だけがやってきたのか――


「僕に何か望みがあるの?」

 だが、手は答えない。

「まあ、そうだよね」

 シムは苦笑する。


「待っててね。フル充電するから」



 シムはエネルギーを充電した。

 これで多少の長旅も対応できるだろう。


 そして、機械の手を持って再びドワーフの谷へと行くのだった。今度は手を落とさなかった。



     * * *


 ドワーフの谷はそのままだった。


 遺体の腐乱は思ったほどじゃなかった。

 日の光が当たらない地下だからこそなのかもしれない。


 地形としては谷の底になるようだ。

 洞窟の中でも、谷の裂け目のようになってる場所ではわずかながら日の光が差し込んでいた。


 洞窟の中で、ぼっかり広場のようになってる所を見つけた。シムはそこに遺体を埋葬することにした。掘る道具はあった。



 果たしてドワーフはどうやって仲間たちを弔ってきたのだろう? シムは考えあぐねる。

 

 結局、自分なりの方法で弔うことにした。

 一日では終わらなかった。

 谷から這い上がり、地上で仮眠をとった。

 こうすればエネルギーが切れても、ソーラーパネルで自動充電するからだ。


 洞窟内部の蛍光灯のシステムは活きていたが、ドワーフたちの技術を使うのはなんだか申し訳ない気持ちもあった。

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