機械仕掛け
シムはの建物を指さす。指さしたその建物が、おそらくシームァやシーザーを生み出した施設なのだろう。
「あの建物のガラス越しに僕の体温が見えていたんでしょ?」
「え…えぇ」
シームァは否定しなかった。
シムはじっとシームァを観察した。自分で抑えてるのか、それとも自覚してないのか、なかなか強い魔力を持っている。
今はムリかもしれないけど、シームァの目なら異世界の出来事も見通せるかもしれない。
「こっちの世界は火山が盛んで、温度センサーがあてにならないんだ。竜の大地では地震がすごくてね、あっちこっちの世界からゲートが繋がって確認してたとこなんだ」
「その辺の事情はよくわからないわね」
「まあ、そうだよね。こっちの都合言ってもよくわからないよね」
そうは言ってもこっちの事情をある程度説明しておけば、いずれシームァには理解できる日が来るかもしれない。
「あっちのゲートがぱかぱか開くけど、こっちのゲートも不具合が起きてるっぽいね」
「そう?」
「メンテナンス、よろしく」
「え? 私に言われても……?」
「放っておくとまた異世界の誰かが来るよ」
「それは大問題かもしれないわね」
そういうシームァは本当によくわかってないようだった。
「じゃあ、僕はこれで」
シムは、シームァがここのゲートの管理人に適任じゃないかと思った。
手の問題さえクリアできれば……
* * *
眠る前。
シムは、ドワーフの谷で拾った機械の手を見ていた。
この手はゲートの端末を操作できる。
ドワーフたちは、ゲートの管理人を機械で作りたかったのだろうか? シムのように。
だが、結局は憶測でしかない。
ある程度、ドワーフたちの技術は推測できた。
シムは、機械の手を部品入れにしまっておくことにした。
終