望み
結局、シムはその場に四日留まることになった。
頭のないアンドロイドは、埋葬したドワーフたちの真ん中に置いた。
守るために作られたアンドロイドのはずだ。
きっと安らかな死を見守るに違いない。シムはそう思った。
機械の手をシムは持って帰った。
「きみの望みを叶えたから、僕の望みも聞いて」
シムの望み。
ドワーフたちがどれほどの技術を持っているのか知りたかった。
この機械の手を調べれば、それなりにどれだけの技術かわかるだろう。
* * *
数日後――
シムは、ゲートの異変に気付いた。
こっちの異常かもしれない。何せ地震やら火山で地上が安定していないのだ。
それだけだろうか? 向こう側の異常のようにも感じる。
かといって向こうにまで出向くのは越権行為な気もするし、向こうの人にすれば余計なお世話かもしれない。だが一回でも自分が行ったことのある地域みたいだし……
迷いはあったが、行ってみることにした。
そこは以前来た雪に覆われた地。
魔法使いの国という場所だ。
ゲート横の端末を確認してみた。
驚くことに、この前のシムがついたその後にも一回ゲートが開いていた。その時は誰かが来たり行ったりした形跡はないようだが。
端末の表示ミスとかそういう可能性も考えた。それを確認している時だった。
「シーザーじゃないのね?」
女の声だった。
「やあ、ここは寒いね」
シムは振り返った。