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落ちていた手


 機械の少年シムは、居住区の地下システムを確認していた。


 竜の大地は火山が盛んな地域である。

 その中にある居住区は、地熱発電で稼働していた。


 シムが充電の度に居住区に戻るのもそのためである。


――いつか、この地上で人間や竜人と一緒に住みたい。

 なんて目標もあるが、人間や竜人にとって住みやすいのは火山のない大地である。そうなれば地熱発電はなくなるだろう。


 魔法も使える分、シムはエネルギーの消費が大きい。

 火山もなく地熱発電の恩恵のない地で、シムは存在できるのだろうか?


――まあ、なるようになるだろう。


 その頃にはソーラーパネルがもっと性能のいいものが出来上がるだろう、たぶん。

 楽天的に考えておこう。


 居住区の地下システムに異常はない。今のところ現状を維持していく――




     * * *


 シムは居住区外のゲートの確認をしていた。

 これもいつものシムの日常である。


 ゲートとは、異世界をつなぐ出入り口。

 シムの住む竜の大地にはいくつかゲートが点在していた。



 その日は、ゲートの前にが落ちていた。


 なかなかぞっとする光景だが、そこはさすが機械だけあってシムはものおじしなかった。

 右手だった。手首から指先までの状態だった。

 それは機械の手。

 魔法と科学の技術が融合させてできた魔導メカとも呼ばれるものなのだが、この部品だけではどういう意図で作られた機械なのかは計りかねる。


 その手は、別のアンドロイドの一部分なのか、手が必要な人のための義手なのか――




 ゲートの向こうを確認してみる。


 異世界への空間……何か感じる。

 シムは扉に耳をあてた。

 何か聞こえる。


 持ち主がここに取りに来るだろうか?

 それなら、ここに残した方が親切な気もするが、火山の影響で溶岩に飲まれないとも限らない。


 シムは、手を持って帰ることにした。

 

 ……のだが、手を持ち上げると、その途端ゲートの扉が開いた。


 有無を言わさず、扉の向こうに引きずり込まれる。




 シムは真っ暗な場所にいた。


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