閑話 とあるギルドの黒兎
「『還らずの街道』……?」
「そうだ。お前にはその調査を頼みたい。他にも、総勢6パーティの冒険者が調査に参加する」
ギルドマスターによると、最近、謎の現象がとある街道に起きているらしい。なんでも、その街道を通った人はみんな生きて帰ってこないとか。
大方、大型の魔獣が縄張りにでもしたんでしょうが、それでも無視する理由にはなりません。
「わかりました。その依頼、お受けします」
「おおっ!《黒兎》が、調査隊に参加だってよ!」
「まじか!これで何があっても安泰だな!」
私が依頼を受ける旨を申し上げると、いきなりギルド内が喧騒に包まれます。正直、恥ずかしいですが、これでもギルド内唯一のBランク冒険者。頼りにされているのでしょう。
「ええい、うるさい!さっさと持ち場に戻れい!!」
「「へーい」」
ギルドマスターが一喝すると、気の抜けた返事をして周りの人たちが持ち場に戻っていきます。それでも、まだそこそこ周りでは嬉しそうな話し声が聞こえます。このアットホームな空気、嫌いじゃないです。
「それで、依頼を受けていただくという事で、よろしいかな?」
「はい。どうぞよろしくおねがいします」
また、ギルドが喧騒に包まれました。口笛吹いてる人も居ます。
「ええい、うるさい!なんとかならんのか、このバカどもは!」
それは、私には無理ですね。
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