第9話 ゴブリンの異常
この小説の更新は久しぶりですね。
「やけにゴブリンが多いな………」
「もともと、その調査に来たんですし……」
「でも〜、これは異常かな〜?」
会話が一区切りついた頃(一応、会話中もゴブリンを殺す事はやめなかった)、カエデ氏が呟いた。それに、マスター達も反応します。
確かに、ここには調査に来ました。
女性冒険者が嫌がるお陰で、村がよく襲われるという話は既にしましたが、実はこれだけではマスター達が対処する案件にはなり得ないのです。最低でもワイバーンでも持ってこないとBランク冒険者の足は動かせない、との事でして。
ですが、そんな事関係なくギルドマスターがマスター達に依頼を寄越したのは、その〝村を襲われる頻度〟が異常だったからなのです。基本、冒険者の調査依頼というのは、何があってもおかしくない為、依頼の暫定予想ランクより高ランクの冒険者に依頼が出されます。
そのため、基本的にランクに合わない実入りの少ない依頼として、冒険者からは避けられているようです。まぁ、金銭に余裕のある冒険者は善意で依頼をやってくれる人もいるし、不足の事態が起きれば手当も出るので、なんとか回ってるらしいのですが。
それでも、Bランク冒険者をゴブリン退治に、というのは可笑しな話でしょう。ですが、ギルドマスターが言うには〝嫌な予感〟がする、という事で私たちに依頼したそうです。
本来なら一笑に伏す所ですが、マスター達自身が依頼を受けると言うなら文句を出す訳にはいきません。私は所詮、マスターの武器ですから。
___そして、そのギルドマスターの直感は正しかったようですね。
「ッ……みんな、避けろ!!」
「「_____!!」」
カエデ氏のいきなりの警告に、信頼感を感じさせる疾さでマスターとファルル氏がその場から飛び上がって離脱する。
瞬間、さっきまで居た場所に巨大な棍棒が叩きつけられ、轟音とともに地面が割れました。
「無事か、みんな!?」
「ええ、ですがこれは……」
「……ちょっと〜、面倒くさい相手に出会ったみたいだね〜」
無事かどうか確認するカエデ氏の言葉に、二人は言葉を返す事で無事を知らせる。その目は、攻撃が来た場所に向かっていた。
そこに居たのは、明らかにゴブリンの規格を逸脱した巨大な肉体を誇る鬼。姿からして威圧感がすごい。
___それが、30体程。
「……ホブゴブリンが、こんなに、ですか……!」
『歓喜。経験値に期待できます』
「バッカ、逃げるんだよ!!」
「流石に、範囲攻撃の無い私たちにこの数を殲滅するのは難しいですね〜」
『なんと………』
そして、私たちは包囲される前に全速力で逃げ出した。
経験値………。