恋愛脳
「俺、イファナに・・・というか、ラックル以外に、異世界から来たって事言ってないぞ?」
俺がそう言うと、ラックルが憎々し気に言う。
「猫人は恋愛脳だからね・・・思い詰めたら鼻が利くんだ。直感で、リョータが異世界から来たって見抜いたんだと思う」
おやまあ。
ラックルが俺の肩を持って続ける。
「良いかい?この世界には、異世界から来たキミを利用しようって輩がいっぱいいるんだ。キミはもっと警戒すべきだよ。所持スキルも凄いし・・・所持スキル、イファナに教えてないよね?」
ラックル問いに、答える。
「それは大丈夫」
ラックルが鑑定教えるなって言ったから、色欲増魔と異世界言語理解しか教えてない。
俺は学習するおっさんだからな。
「とにかく、知らない事を言われたらまず疑って。他種族の習性とか文化って言われたからって、無条件に信じ過ぎだよ」
・・・確かに、注意すべきだな。
「そういえば、ラックル」
ふと思い出して尋ねる。
「何?」
ラックルがきょとん、として小首を傾げる。
「エルフって、普通に男性でも王様になれるって聞いたぞ?今回がたまたま女王様ってだけで。地位的にも、男女平等だって」
ラックルは溜息をつくと、
「あのね。他種族は本当の習性とかって分からないの。男性が立場弱いとか、王様になれないのは、王家の秘密だね。他種族には伏せてる。実際、先代は男性だけど、実際には女王が陰で統治してたしね」
・・・あれ、さっき猫人の話を凄い勢いで否定していたような?
それに・・・
「でもさ、それだとラックルは仮初めの王にはなるんじゃないのか?」
ラックルは影のある表情で答える。
「僕は産まれた事さえ秘匿されてるからね」
俺が更に尋ねる。
「ラックル、普通に集落歩いているし、王女様って慕われてるよな?」
ラックルはそっと視線を逸らすと、
「・・・リーンと混同され・・・は流石に無理が」
そりゃ、同時に2人いたら、混乱するだろうしね。
「・・・もう、キミはいい加減気づいてよ!」
ラックルが涙目で逆ギレして来た。
おやまあ・・・
とりあえず、騙されないようには気をつけよう。
ぽんぽん、とラックルの頭を撫でる。
「まあ、俺も馬鹿じゃない。色々気をつけるよ」
--
猫人の集落。
イファナと共に、捕虜のいる施設に。
ラックルもついてきている。
イファナは、猫人の王女様だ。
背は低め、大きな目、ショートカットのピンク色の髪。
幼い印象を与える顔立ち。
一方で、大きな胸、女性らしい身体つき・・・アンバランスな魅力がある。
服装も、色気のある服装で、実に良い。
猫人の集落でも襲撃者を捕まえているので、ラックルがイファナに勧め、山羊さんに契約を見てもらうらしい。
途中、娼館の横を通ったのだけど、電気も消え、看板も外されている。
働いてた娘はどこに行ったのか・・・あ、いた。
宿屋の娘さんだったり、店の娘さんだったり色々らしい。
手を振ると笑顔で手を振り返してくれる。




