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プロローグ 「幸せと裏切り」
ーーやばい…
今まで過ごしてきた家の床の感触を直に感じながら自分が倒れていることに気づいた。
全身に力が入らない。
ただ一つだけ、喉につんざけそうな痛みが走る。
ーー痛い…とても痛い…
眼前に見えるのは自分と同じように倒れている人、そしてもう一人は倒れている自分を見てくすくす笑っている人。
「どーおー?くるしーぃ?」
彼女は高らかに笑いながら自分に聞いてくる。
「な………に…を……」
彼はもう終わりそうな自分の命を振り絞り最後の言葉を発した。
「毒を盛ったんだよーぉ。苦しいでしょぉー。」
ーーあぁもう死ぬんだな…
彼はそう最後に思った。
「私も後からいくからね…」
薄れていく意識のなかで彼はそう聞こえた気がした。