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襲来

6年振りの投稿。多少の設定の見直しをしてます

 翌日、嘉山宗也は早朝5時という時間に起床する。

 この早起きは彼にとって朝にルーチンワークの一つである。朝5時に起き、寝起きの身体を軽く動かして完全に目覚めさせる。そして朝食ができる7時までに日課のランニングとその後のシャワーを済ませる。朝食を食べた後は、登校時間ギリギリまで読書かネット上の小説を漁り、時間になれば面倒と思いながら登校する。

 ここまでが宗也の朝の一連の流れである。


 今日もいつも通りに起床し、その後準備運動の後にランニングを行って自宅に帰ってきた。そして玄関を開け、自宅に入る。そこで違和感に気が付く。

 なにせ、見覚えのない自分と家族のものではない小さいローファーがあったのだから。

 ちなみに、嘉山宗也の家族は大学生の姉と両親のみである。大学生の姉は現在、他の地方の大学に通っているため、現在自宅にはいないので靴はあるはずがない。そして両親に関しても宗也と同じく背も足も大きい。なので見たところ23㎝以下の靴はあるわけなのだ。しかも学生用のローファーなんて以ての外だ。

 そもそもの話、自分がランニングに出る前には影も形もない靴があるのだ、気が付かないはずがない。


 宗也は嫌な予感を左の目の下を痙攣させながら、リビングに向かった。いつもは真っ直ぐ風呂場に向かうのだが、これはなんだと親を問い詰めるため足音を響かせながら向かった。

 そして遂にリビングへの扉の前。その扉を躊躇なく、バンッという激しい音をたてながら勢いよく扉を開け放つ。


「お袋!親父!あの靴は…」

「あら?宗也君おかえり。まだご飯は出来てないからシャワーでも浴びてきたら?」


 開けた扉の先のリビングに居たのは、前日屋上で告白してきたり、投身自殺未遂をしたり、放課後に自分を脅してついてきたあの小柄な少女、美舟雪であった。

 雪はリビングにあるテーブルに肘を掛け、椅子に座り床から離れた足をパタパタと揺らしながら優雅に嘉山家の朝食を待っていた。


「おい、なんでお前がここにいる?」

「ん?ダメだったかしら?」

「ダメに決まってるだろ!そもそも何で俺の家を知ってるんだよ!」

「それはもちろん…ヒ・ミ・ツ」

「…」


 宗也は頭を抱えながら叫び、顔を引きつらせる。当人が言った通り、自宅に彼女が居るのも理解できないし、そもそも場所を知っているのが理解不明である。加えて言うなら親が彼女を家に上げているのが理解を拒む。

 母親は呑気に料理し、父親は気ままに新聞を広げている。それに加えてこの両親は彼女がいることに違和感を覚えていない。それどころか歓迎しているようにも見える。


「お袋、なんでこいつが居るんだよ?」

「まずはただいまでしょ、宗也」


 母、綾子は帰ってきても帰宅の挨拶をしない息子を注意する。もちろん手も持った卵焼きが乗った加熱中のフライパンから目を離さない。


「ただい…いやそんなことよりどうしてこいつがいる!?」

「えー?それはこの子、あなたの彼女なんでしょ?あなたの初めての彼女なんだもの、家に上げないわけにもいかないでしょ」

「そーだそーだ!こんな可愛い彼女を隠してるんなんて聞いてないぞ!」

「は?」


 「彼女」という身に覚えが一切ない言葉を聞いて固まる宗也。目の下の痙攣に加え、器用に眉間に皺を寄せる。

 当の両親らは「?」という表情を浮かべて宗也を見ている。その様子を見て更に表情を歪ませる。


「…こいつが彼女?冗談じゃない…」

「えぇ?酷いっ!宗也君!昨日一緒にデートしたのに!」

「お前が勝手について来ただけだろうが!!しかも脅してくるし!」

「あーあ、うちの息子が可愛い子を泣かせたー」

「こらっ宗也!女の子を泣かせちゃだめよ!」

「なんで俺が責められるんだよ」


 雪は誰が見てもわかるであろう嘘泣きをし、両親から茶化されたり叱られる始末である。一方的に責められた宗也は疲れた表情を作る。


「もういい、とりあえずこいつは彼女でも何でもない。勝手に俺についてくる他人だ」

「ふふ、しょうがないわね。まずは他人からお友達になるところから始めようかしら…と、いうことでお義父さま、お義母さま、彼女として立候補している美舟雪です。今後ともよろしくお願いします」

「あらあら、宗也の彼女立候補ですってお父さん」

「これはこれは、こんな生意気な息子ですがお願いします」

「ええ!墓場まで一緒にいますわ!」


 彼女という関係を超え、墓場まで添い遂げるというなんとも男気がある宣言に嘉山家両親は「おー!」と歓声を上げる。宗也は「もうどうにでもしてくれ」と諦めの深い深いため息をついた。

 この場にいても面倒ごとが続くだけだと判断し、ランニングでかいた汗を落とすために浴室に向かう。


「あ、宗也!今日の朝ごはんは卵焼きに焼き魚ですって!とても楽しみだわ!」

「…お前も食べるのか」


 本日二度目の深いため息をつきながら、トボトボと浴室に向かう。背後に雪と両親の楽しそうな会話が響いてくるの感じながら…


 


来週には続き、あげたいなぁ(希望論)

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