誰も教えてくれない
麗奈は小さい頃から何事も続かなかった。
何かと理由をつけては、嫌になってすぐ投げ出してしまっていた。
バレエは「先生の爪が痛い」
学童は「おやつがおいしくない」
プールは「寒い」
ピアノは「先生が嫌い」
習字もそろばんも「ただ行きたくない」
イラストレーターの通信教材を買ってもらったが、1回も提出できずに終わってしまった。
そうやって、親の気を引きたかったのかもしれない。
なんでもすぐ飽きてしまう。
それは人間関係においても同じだった。
とにかく面倒臭くなってしまう。
平気で相手を傷付けることを言ってしまう。
双子の妹は小中学校の同窓会に参加しているが、私は誘われもしない。それこそ、その存在を知ったのは28歳になってからだった。
私は嫌われ者なんだ、と改めて思い知った。
相手の気を引きたくて、言わなくて良いことまで言ってしまう。
オーバーリアクションしてしまう。
とりあえず笑ってごまかそうとする。
寂しかった。
笑うしかなかった。
でも、心から笑ってることは少なかった。
それが相手にも伝わっていたんだろうな。
どうしたら この寂しさは埋まるんだろう・・・
愛されたい・・・
愛を知らない麗奈には、愛され方も愛し方も分からなかった。
分からないまま、男に貪欲になっていった。