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ぼくの詩集

すぐに慣れるよ

作者: 桜井あんじ

すぐに慣れるよ

あのひとは 言った


もう慣れっこさ

あのひとも 言った


そうか 慣れるのか

このせかいの初心者で 新人の

ぼくは おもった



やあ 

もう 慣れたかい

ひさしぶりに会う あのひとは

そうたずねた


これくらい 慣れれば平気さ

そう言って あのひとは

明るく笑う


そうか 慣れるのか

どうにも吐き気を おさえられない

ぼくは おもった



慣れてまで

うまくやっていこうと おもわない

ぼくがそう言うと

彼らは目をまんまるにして

ぼくをみた

ぼくはあわてて

笑って ごまかした



いいかげん 慣れなさい

あのひとは 言った


そこでぼくは 試しに 声に出してみる

せえの

「もう 慣れたよ」


ああそうか ぼくは 慣れたのか

ぼくは ほっと溜息をつく


だけど


こころのなかに

あの開かない窓から

ぼんやりと 空を見上げている ぼくが

慣れることの できなかった もうひとりの ぼくが

いまも いるのです



慣れれば なんてことないさ

あのひとは 俯いて つぶやいた

まるでぼくなんて そこにいないみたいに


慣れてるさ いつものことさ 世の中そういうもんさ

あのひとは 唱える

まるで呪文みたいに

なんども なんども


そして

あのひとはもう

なにも言ってくれなかった

慣れているのだと

その瞳が語っていた



そんなもんだよ

すぐになれるよ

今では ぼくも言う



あなたはもう

慣れましたか


まだまだ知らないことが山ほどある はずの

この世界に

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