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Elsaleo ~世界を巡る風~  作者: 馬鷹
第七章 『表裏』
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第八十七話




 魔王の話を聞き終えたイヴは、ある条件をレオとエルザが飲むのならマリアに協力すると約束をした。その条件とは二人が戦うことと、レオが精霊魔法を使うということ。

 サラサが精霊に頼んで造らせた、周囲から見えない巨大な壁に包まれた決闘場で、元魔王と元巫女が幾度目かの対峙をする。


「この間の模擬戦以来だな」

「そうだね」


 二人が言う通り、模擬戦自体はリカルド達の前でやったばかりである。

 しかし、この間とは戦う前の空気が違う。軽口を叩き合うでもなく、ピリピリとした緊張感は競技や大会とは比べ物にならず、実戦のように時折エルザから殺気が漏れてレオに叩きつけられている。


「……まあ、いいか」


 エルザは考えがまとまっていないのか、レオに文句を言ったり批判をするわけでもなく、かと言って笑いあうでもなく、ただ闘気を練り上げる。それは明らかに実戦レベル。調整する気がないのか、上手く出来ないのか、白滝の森で戦ったナザリオに見せた闘気の爆発と同じほど。


「ちょっとむしゃくしゃしてるから、手加減出来ないよ」

「好きにすれば良い。戦うと決まった以上、俺も勝つために手を尽くすからな」


 左手の甲に右指で術印を描き、詠唱を行って正式にフェアルレイを発動。その瞬間、レオは魔力を多く込めることで、魔法の効果を上げる。これによって普通に使うよりも格段に身体能力は上がった。


 そして、エルザが見繕った剣、ニーベルを抜くと切っ先をエルザに向けて構える。


「行くよ」

「来い」


 正面から小細工なしにエルザが襲い掛かった。その速度はレオにとって余りにも速い。

 だが、普段なら巨大な闘気を見せた後で小さく抑え、気配が消えたように感じさせるのが、エルザの戦術の一つである。しかし、今は闘気を抑えているつもりだろうが、完全には抑えきれていない。


 エルザの動きを完全に見切れていないレオだが、空気の流れや闘気の動きで予測をしながら対処する。エルザが避けると信じているからこそ、襲い来る彼女に対して切っ先を向けて待ち構えていた。


「ハアアァ――ッ」


 だが、避ける自信のあるエルザは、身体を微かに動かして剣先からずれると、一撃を食らわせようと更に踏み込む。しかし、その動きにも対応され剣先を向けられては、一旦離れることを選択したのだった。


「へぇー、変化まで追えるとは思わなかった。やっぱ強くなったね、リカルドさんのお陰かな」

「それはお互い様だな。ミレイユさんとの戦いで思ったが、外から見ているのと実際に戦うのとでは段違いだ」


 互いに成長を褒めている内容だが、エルザが感情を表さずに淡々と口にするだけでは、本当にそう思っているのか疑わしく感じるだろう。しかし、エルザは普段通りに振舞うことが出来ないだけで、素直に感心していたのだ。


 ただ、レオが反応して見せたとは言え、それは手首を動かして剣の切っ先を動かしただけ。エルザが紙一重で避けようとしたから付いて行けただけで、レオが完全に反応しきれていないと確信したエルザは、レオの周りを歩きながら隙を窺う。

 当然レオも常にエルザを正面に入れ、隙を作るようなことはしない。


「……ッ」


 先に動いたのはレオ。攻め込まれれば不利になるのが分かっている以上、先手先手を取る必要があったのだ。

 ただ、先に動いたからといって、それが攻撃ということではない。懐から白い棒を取り出すと、ニーベルの柄に術印を描く。丁度剣を握っていれば常に触れている場所である。


「【庇護を求めしモノを護る雷針よ、我に接近せし敵を射貫け】ライングスルト」


 ニーベルに雷が巻きつき、切っ先から四方を警戒し獲物を探すように雷光が走る。

 以前、ダルマツィオが使ったサンダーボールと同じ効果で、あちらが雷雲を生み出して空中にも配置出来るのに比べれば、レオの使った魔法は持ち運びが容易なこと位しか利点はない。


「いくらお前でも光より速くは動けないだろ」

「……まあ、ね。でも、そんなんで私を止められると思ってるの」


 この魔法は帯電している物がそのまま襲い掛かるというものである。だからこそ、剣がまとう稲妻が全て襲い掛かったとしても、それを耐えて攻撃することは可能だとエルザは判断した。


「なら試してみるか」

「当然」


 不敵に笑うレオを警戒しつつも、エルザはレオの動作を見ながら仕掛けた。

 最初と同じく正面からの接近だったが、今度は直ぐに横に跳ぶと、着地した時の反動を利用してショートソードの一つをレオに向かって投げつける。速度は手加減されていたとしても速く、切り払わなければ致命傷になりかねないほどだ。


 異物の接近によって、レオの剣から雷がショートソードに落ちた。が、勢いが少々遅くなったものの、地面に落ちることなく帯電したままレオに襲い掛かる。当然、レオはそれを切り払う。


「またかっ」


 レオが声を荒げた。エルザの姿は既に先ほどの場所にはおらず、投擲した流れに乗ってその場から離れると、別の場所から残り一つの小剣を投擲していたからだ。

 術印によって剣は再び雷を纏い小剣を襲うが、先ほどと同じようにこれもほとんど意味を成さない。


「ッ」


 そして、再び切り払おうとするレオが接近する何かを感知する。それが何であるかなど、答えは一つしかない。エルザは一度目と二度目の投擲で再び雷が纏う時間を計り、レオの意識が小剣へと向いた瞬間、一気に近付いたのだ。


「素直に吹き飛んだ方が良いよ」

「ぐぅっ」


 左側頭部を思いっきり殴られ、エルザの言葉の意味が分かったレオは特に抗うことなく、むしろ勢いを付けて吹き飛ばされる。それは受ける威力を軽減させることだけが目的ではない。

 理由は飛んできている小剣。もし踏ん張ったり下手にその場で避けようとすると、小剣に当たってしまうからだ。


 エルザは飛んできた小剣を掴むと、先ほど切り払われて地面に落ちていたもう一本も拾い鞘に収める。その立ち姿は傷も汚れも息の乱れも無く、まだ戦闘が始まっていないようにも感じさせた。


「私を止められるほどじゃなかったね」

「っ、そうだな」


 その一方でレオの頭からは一筋の血が流れ、レオは頭を振りながら立ち上がる。

 事前に自ら跳んで衝撃を和らげたとは言え、エルザの威力ある一撃はかなりのもの。今のレオがまともに食らってしまったら、起き上がるのがやっとという状態になるだろう。


 圧倒的な実力の差。ただ、エルザもいつもの的確さが無い。

 心が乱れているからなのか攻撃が雑であり、確実にレオの左側頭部を捉えることが出来なかったのである。一撃で終わらせず、もっと殴りたいと思っているのかもしれないが。


「条件の一つ何だし、シルフィンス使っておいた方がいいんじゃない?」


 その一言はやる気が有れば使わせる暇すら与えず、今直ぐにでも倒せるという意味。挑発ではない。事実であり、それはレオが良く分かっている。

 普段のレオならばわざと使わず、騙しに使うという方法もあるのだが、この模擬戦ではエルザの言う通り条件の一つになっている。使うまで倒されないという可能性もあるが、そこまでボロボロに殴られてしまうだけだろう。


 戦い方を指定されることを少しばかり不愉快に感じながら、レオは腰に下げたままの鞘を外し右手に持つ。


「【汝らは姿無き演舞者、汝らは音無き演奏者、汝らは声無き演歌者、皇翠なる精風よ汝らの力を貸して欲しい、我が手に納まりしものは汝らの道先にありて】シルフィンス」


 詠唱を終えると鞘を手から離し、何も無い空中で手を握る。すると落下していた鞘が空中でピタリと止まった。今度は力を貸してくれたようである。

 レオは浮かぶ鞘を右手で掴み、左手の雷光発する剣を前にして構える。


「それが精霊魔法ね……やっぱ見えないな」

「今の俺にも見えていない。前世で見た姿を覚えている程度だからな」

「ふーん。で、投げないの?」

「それは俺が決めることだ」


 シルフィンスの真骨頂である遠隔操作を見せなくても、使ったことになるのだろうか。そんな疑問がエルザの脳裏に浮かんだが、一応条件は満たしているのだからと思うことにして、今度は小剣を使わずに背後から突っ込む。


「そこだッ」

「……っ」


 だが、先ほど感知した位置よりも早く、レオが迎撃に動く。その差は一歩踏み込んだかどうかでしかないが、エルザの速度ではかなりの距離になる。

 しかし、完全に虚を衝かれた剣による振り向きながらの一撃を、咄嗟に抜いた小剣で受け止めた。そこはさすがと言える動き。だが、再び纏った雷がそのまま小剣、そしてエルザにまで伝わる。


「痛っ」

「逃がすかッ」


 威力はそこまで無いが、熱と痺れと痛みでエルザは後方に下がった。しかし、それを逃がすレオではなく、右手に持っていた鞘を投げつける。

 エルザは更に方向転換しながら後退。当然、シルフィンスによってレオの手と繋がっている鞘は、その後を追って空中で向きを変えた。


 これでシルフィンスの使い方は見せたことになる。鞘と何度か打ち合いを続けながらエルザがそう考えた瞬間、横一文字に空気を切り裂いて、巨大な真空の刃が襲い掛かってきた。


「ちょっ」


 発生源は当然レオ。左手に持っていた剣を地面に落とし、今は空いた手の平をエルザに向けていた。

 咄嗟に高く跳び上がって避けたエルザだったが、それを追いかけて鞘が宙を昇る。小剣を抜いて受け止めたエルザは、鞘を蹴って少しでも早く地面に戻ろうとする。嫌な予感がしたからだ。


「――】ディンクスロア」


 しかし、打ち合いの時のような抵抗もなく鞘は蹴り飛ばされ、大した反動をつけられないままレオの詠唱が終わり、爆属性中級魔法が放たれる。


 精霊魔法は普通の魔法とは違い、精霊が動かしている。なので思考を割り振る必要がそれほどなく、二つ同時に上位の魔法を比較的簡単に扱うことが出来るのだ。

 もちろんエルザが驚いたのも、そんな事を知らなかったからである。そして、この暑い砂漠の中、広範囲に熱風吹き荒れる魔法を使ったのも理由の一つだった。


「オブスタクルウインドッ」


 エルザは闘気を開放し、術印を描くだけの時間が無い以上、無詠唱で魔法を放つしかない。オブスタクルによって、エルザの背中を地面に引っ張るよう強い風の流れが出来る。咄嗟で魔力を込めすぎたのか、バランスを崩して不恰好で地面に落ちるが、着地はしっかりと行い即座にその場から離れた。


 爆音と爆風と熱風、それらが範囲に巻き起こる。それが収まると少し離れた場所に無傷のエルザ。


「確か精霊って生きてるんだよね。巻き込んでいいの?」

「生きている次元が違うからな。シルフィンスで何かを操っていない時に、精霊が魔法の影響を受けることはほとんどない」


 先ほどエルザが鞘を蹴飛ばしたということは、あの時精霊を使って鞘を掴んでいなかったということである。レオは再び右手を前に出して握り締めると、地面に落ちていた鞘を掴んで宙に浮かせた。


「さて、今度はこっちの番だな」

「そんな暇を与えるわけないでしょ」


 レオは右手を振るって鞘でエルザを襲いながら、再びヴァイジエアエッジの詠唱に入る。それに対して、エルザは小剣で打ち合っていた鞘を両腕で抱きかかえると、そのままレオに向かって突進した。

 煩い鞘の動きを封じ、無防備なレオに接近したかったのだろう。


 だがそれは叶わない。エルザが接近すると、それと同じ速度でレオが後方へと下がったからだ。もちろん、レオがエルザと同じ速度で移動など出来るはずもなく、原因はエルザが抱きかかえている鞘。

 魔法で強化されたレオの身体ならば、鞘と繋がる右手一本だけで身体を支えることが出来る。つまり軽くジャンプすれば、後はエルザが押し出してくれるのだ。


「何それずっこいっ」


 運送させられたエルザの口調は、だいぶ普段通りに戻っていた。それだけ本心からの叫びなのだろう。

 そして、足を止めたエルザに巨大な真空の刃が襲い掛かる。一直線に向かってくる魔法など、エルザにとって避けることは容易い。だがそれに邪魔が入った。


「動けな……ってこれか」


 抱いていた鞘がその場に固定していたのだ。

 エルザはこの後に起こるであろう事を考え、警戒しながら手を離してその場から飛び退く。と、予想通り鞘がエルザに襲い掛かった。


「ッ、重い。それにっ」


 手放せば鞘による妨害が来ることは読んでいたが、小剣で受けた一撃は予想に反して、これで決着をつけると言わんばかりに的確で重い。

 先ほどレオの言葉を逆に考えれば、シルフィンスで操っている今は魔法による影響を受ける可能性があり、死ぬかもしれないのだ。

 精霊がどんなものか今一分かっていないエルザだが、レオが模擬戦でそこまでするとは考え難く、今までよりも厄介な鞘による攻撃を避けつつ、何とかその場から離れていく。


「……」


 その様子を見ていたレオは、不愉快そうに眉を顰めて静かに立っていた。

 そう、シルフィンスによって鞘を動かすはずの右手も動いていなかったのである。だが、現実に鞘は今も宙を舞いエルザを襲っている。それが意味することは一つ。


「これも目的の一つか」


 チラリと視線を物見台へと移す。そこに居るのはマナビトであるサラサ、というよりも彼女に命じたであろうイヴ。彼女は他人が使役している精霊を、マナビトであるサラサが奪えるのか、命令系統はどちらが上なのかを知りたかったのだろう。

 結果は見ての通り。レオは右手を軽く握り締めて動かすが、鞘はその意に反して別の動きを見せている。ただハッキリと言ってしまえば、レオよりも速く重く的確な剣筋はエルザを苦労させていた。


「……実戦ならこのまま任せるんだがな」


 ため息を一つ吐き出したレオは、とりあえずシルフィンスを解く事にした。イヴと同じく、サラサに奪われたシルフィンスがどういった状態なのかを調べる為である。

 その結果、ヴァイジエアエッジを避けても続いていたエルザと鞘の打ち合いは、鞘は力なく地面に落ちることで決着がつく。どうやらサラサは完全にレオの魔法を乗っ取ったのではなく、操作権を奪っただけだということが分かった。


 レオはエルザに下げられる前の位置まで戻り手放した剣を拾う。そして術印がまだ残っていることを確認すると、再び魔法を発動させた。再び剣に雷が纏い、剣先から周囲を警戒するように放電している。


「シルフィンスも使ったし横槍が入っちゃったし、そろそろ終わりにしよっか」


 今度は最初から両手に小剣を持って近付いてきたエルザも、鞘を動かしていたのがレオではないと気付いていたようだ。


「そうだな。次で決めるか」

「……で、またそれ? レオの事だし何か考えてるのかな?」

「さて、な」


 そして、レオと軽く言葉を交わした後、軽くその場で何度かジャンプしたかと思うと、投げるモーションに入らず肘から先のスナップだけで一本目を投擲。着地した瞬間にその場を離れた。

 闘気で強化しているとはいえ全力で投げていない一投は、レオでも容易に切り払える速度。ただ、この後で先ほどと同じ速度の一撃が来ても、レオはより速く感じてしまうだろう。


 案の定、一本目を切り払った後で、二本目の小剣が襲い掛かってきた。速度は最初の時と同じ。そうしたのは、ライングスルトの充電時間を計りやすくする為だった。


「ハァッ」


 前と同じく接近する二本目の小剣に雷が襲い掛かる。だが、レオは背後から接近する何かを感じ、小剣に意識を向けることなく、雷を纏い始めた剣を振り向きながら投げつけた。

 実はライングスルトは迎撃攻撃用ではなく、接近する物の方角を判断する為に使用していたのである。しかも剣先から放電されてからではなく、剣を伝う雷の動きで接近する物体の動きを把握していたのだ。


 接近するエルザから先手を取るには、剣よりも長い間合いと考えたのだろう。

 だが、視線が定まり剣の向かう先を確認すると、そこにいたのはエルザではなく小剣が納まっていた鞘。エルザは鞘を囮として使い、レオから見て鞘の右後方を走っていたのだ。


 レオが投げた剣の位置は正確だったものの、小さな鞘に当たることなくすれ違ってしまう。


「……っ」


 二人の視線が交わり、それだけで互いの気持ちが伝わる。レオが武器を手放したとしても、どちらも勝敗を確信してはいなかった。


 レオは振り返った勢いを着地させた右足に伝え、砂地を確りと蹴り上げてその場から離れる。そして、前方に伸ばした右手を握り締めた。シルフィンスはライングスルトと一緒に掛け直してあり、投げた剣とレオの右手が繋がる。


「――ッ」


 そして、右手を手前に引きながら薙ぐ。

 だが、エルザはそれを完全に予想していた、右手には最後の一本の鞘。レオが何の考えもなしに剣を手放す訳がない、というある意味信頼の証でもある。


 レオもエルザが対処する可能性を考えていたのか、受け止められたことに驚かず踏み込む。シルフィンスは解除し、純粋に右手を握り締めた。

 エルザも剣を受け止める気は無かったのか、払い落とした衝撃で鞘を簡単に手放し、こちらもレオと同じく右手を握り締める。


「ハアアアアァァァーーーッ」

「このッ」


 両者の拳、どちらもそれぞれの顔面を狙っていた。対象との距離はレオの方が近い。

 そして、レオの一撃はエルザの頬を捉える……が、それよりも速いエルザの拳が、踏み込んだレオの顎に叩き込まれる。更にエルザは顔を捻って拳を逸らせると、より深く踏み込んでレオを思いっきり吹き飛ばした。


 レオは背中で砂を掻き分けながら吹き飛ばされる。幸いな事に砂に埋もれることは無かったが、顔に受けた一撃の他に何度も地面に叩きつけ回転させられては、レオが立ち上がることは困難だろう。

 エルザは力を込めて立ち上がろうとするレオに近付く。


「その一発で前回の手抜きとかの件はチャラでいいよ」

「……ぐっ、ずいぶんと、手酷い一発だな」

「お腹だと三日はご飯が食べられないだろうから、マシな方でしょ」


 何とか立ち上がろうとするレオだが、上半身を起こすのがやっとで視線も少々定まっていない状態。それが演技でない事をエルザは見抜き、勝ち誇って胸を張る。


「それは、感謝すればいい、のか……っ、次は勝つ」

「ふふっ、良いよ受けて立とうじゃない。模擬戦でも別の勝負でも、勝つのは私だからね」


 エルザの言葉に挑発的な笑みを返し、レオは再び砂漠に身体を倒れ込ませる。対して晴れ晴れとした笑顔を浮かべるエルザは、右拳を高々と掲げて勝利を示す。久し振りに行われた二人の全力による戦いは、エルザの勝利に終わったのだった。






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