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Elsaleo ~世界を巡る風~  作者: 馬鷹
第二章 『種族という壁』
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第十六話




 倒れたグウィードを見てヴィアラが取り出したのはガラスの小瓶。

 地面に座り込んで木に寄りかかってるウィズは何処かで見た記憶があったが、未だ意識が朦朧としていて思い出すことは出来ない。


 マリア達はワラにもすがる思いでその小瓶を見ていたが、そのワラの名が頬を上気させ興奮気味なタウノから告げられた。


「そ、それはエリクサーじゃないですかっ」


 エリクサー。万病に効くとされ、その効力は死者ですら蘇らせると言われている妙薬。

 伝説やおとぎ話、噂などでしか登場しない薬だが、タウノがそれだと思ったのはその色にある。

 複雑な色が絡み合い、それでいて複数の輝きを放つ。伝承や魔道具に詳しい者ならば、一度は聞いたことがあるほど有名な話だった。


「残念だけど、これは違うわね」


 しかし、それを否定したのは未だ迷いの表情を浮かべているヴィアラ。

 そしてグウィードに近付き、全員の顔を見回す。


「これはエリクサーの失敗作。試したところ、枯れた花は復活しなかったらしいわ」


 そう聞いて全員の視線がヴィアラの手にある小瓶に集まるが、その表情は先ほどのヴィアラと同じく迷いが浮かぶ。


 魔道具の失敗作にはいろいろな物があり、その中で一番良いのは効果が薄くなったもの。エリクサーの場合は回復力が高い傷薬になったというものだ。

 だが、それ以外にも何が起こるのか分からないのが失敗作。回復薬が毒物になった、というのもある。


「分かった。飲ませるぞ」


 しかし、例えこの薬でどうなろうと、今のままではどの道死んでしまう。

 それが分かっているからこそ、イーリスはヴィアラから小瓶を受け取り、グウィードの口へと流し込む。


 そして、喉を鳴らし体内に取り込まれると直ぐに効果は現れた。


「ぐうぅあっ、がぁっ」


 グウィードは苦しそうに叫んでもがき、異常なほど汗が噴き出してしまう。マリア達はその状況に驚くものの、直ぐに状態を観察する。


「傷口はッ」

「……回復しています」

「じゃあ、傷口の熱と体温を下げないと。姉さん、タウノさんっ」


 タウノが水を集めイーリスのAAが氷を創ると、それを袋に詰めてグウィードの頭部や包帯の上から傷口を冷やすが、氷は直ぐに溶けて水も温くなってしまう。

 ただ、あまり冷やし過ぎるのも身体に悪い。マリアが慎重に見極めながら二人に指示し続ける。


 グウィードが今苦しんでるのは、死ぬほどの傷を無理やり回復させられているからで、同じようなことはイーリス達も経験済みであり、だからこそ今適応な処置が取れているのだ。


 そして、既に作業は分担化されていて、ヴィアラが氷創りを代わりタウノが水を集める。そしてマリアが見極めながら、イーリスと一緒に氷で冷やす。ちなみにウィズは未だ回復しきっていない。

 グウィードも瀕死の状態から回復し、会話をする余裕ができると、タウノは気になっていた事をヴィアラに訊ねた。


「ところで、このエリクサー……の失敗作は、どうやって手に入れたんですか?」

「あぁ、それはここに来る途中に影の薄そうな男の子から貰ったのよ。友人が戦ってるから、そこに行くなら用心の為に持っていってってね」


 それを聞いてウィズは思い至る。あの小瓶は物置で見た物だ、と。そしてそれを預けたのはレオだろう、とも。

 あの物置部屋でレオが興味深そうに、小瓶を眺めていたのを思い出したからだ。


「何でも、今厄介になってる人の物置で見つけたらしいわ。全く人様の物を勝手に使わせる何ていい度胸よね」


 そんな会話を続けるマリア達に近付く影。


「フ、フハハハーー、そうカ、そやつハ、助ガルのか」


 心臓を貫かれて最後の一撃で胸を半分近く開かれ、大量の血液を流し続けるエンザーグだ。

 呂律も回らずに瞳も白く濁った状態で、一歩一歩マリア達に近付いている。


 心臓を貫かれ、胸も開いていながら動いているエンザーグをマリア達は理解できない。特に世界で最強だと思っているグウィードですら、気を失い目覚めていない今の状況では。


 その理解できない現状は、知らず知らずの内に恐怖へと変わる。


「シカモソイヅバッ――」


 少しずつマリア達に近付いていたエンザーグだったが、その歩みは突如空から落ちてきた一筋の光の刃に身体を貫かれ、大地と繋がれてしまう。

 そう、光の刃はあのエンザーグの鱗を呆気なく貫通したのだ。


「まさか、キサマが人間如きに負けるとはな」

「ギ、ギザマ、ハ……」


 声や魔力で相手が誰だか検討が付いてるのだろう。エンザーグは顔を上げ、見えない瞳で上空を仰ぐ。


「喋るな。キサマのような奴にもう用は無い」


 そして、光刃はそのままエンザーグの身体を引き裂いて首を切り落とすと、今度は自らの意思も無くその身体を大地に沈めたのだった。

 人間界最強種、エンザーグドラゴンの最後である。



 ◇



「あ、アナタ何者」


 誰もが言葉を発することが出来ない中、ヴィアラは空に浮いている存在に話しかける。しかし、実際は話しかけた訳ではなく、思わず口から言葉が零れたと言った方が正しい。

 そして、ヴィアラを始めとして、マリア達全員に同じ事が頭から離れなかった。『絶対に勝てない』と。


「俺の名はダナト・グランセット」


 ダナトと名乗った魔族は赤黒い肌に銀色の髪、そして全てを燃やし尽くす火炎のように真っ赤な瞳。姿形だけを見れば人間と変わりなく、身体から溢れている魔力もエンザーグより低い。


 だがエンザーグを刺し止め、身体と首を切り落とした光刃の魔力はかなり高密度で、あれを扱えるということは無意味に魔力を放出しない、エンザーグ以上に戦闘慣れしている実力者だということが分かる。

 そして何より、あの光刃が出現するまで、マリア達は誰一人としてダナトの接近に気付くことが出来なかったのだ。


「キサマ等が巫女とその仲間とやらか」


 鋭く尖らせた目でマリア達を睨みつけたダナトだったが、その目は次第に鋭さを無くし、少し脱力した顔で呆れたように首を横に振る。


「巫女と言えど所詮は飾り物、この程度か」


 しかし何を思ったのか、視線をエンザーグの死体に向けると口角を上げた。


「キサマ等は魔王サマを倒したいそうだが、この程度の奴に手こずるようじゃあ無理だなッ」


 徐に掲げられた掌から詠唱を発する事無く放たれた漆黒の炎は、エンザーグの死体に向かい命中する。

 そして、そこに残ったのは……


「う、そ」


 何も無かった。正確に言うなら微かな鱗の焼け残りだけで、後は全て焼失してしまったのである。

 恐るべきはそれだけ高温の火炎を詠唱も、魔力を込める時間すら無く放ったこと。


 人間には絶対に不可能であり、マリア達の働かない脳が今理解出来るのは『種族』という、乗り越えることの出来ない絶対的な壁の存在。


「フフフ、せいぜい楽しませることだ。キサマ等に出来るのは、無様で滑稽に踊る姿を見せること。出来なければ、舞台にすら上がれぬゴミから掃除せねばならないだろうな」


 ダナトは笑い声を響かせながら何処かへと飛んで行き、後に残ったのは精神が絶望に染まらないよう、必死に感情を押し殺そうと震えながら地面を見つめるマリア達だけだった。




 ◇◇◇




 エンザーグとの戦いが終わり、その後の乱入者の姿も確認したレオは、マリア達が帰ってくる前に別荘に居る必要があるため、少し足早に森を歩いていた。

 その後方からかなりの速さで近寄ってくる人影、ヴィアラの姿がある。


「ちょっと待ちなさいッ」


 一向に止まる気配を見せないレオに剣を投げつけると、乱暴に顔に巻かれた包帯を取っていく。

 そして、包帯の下から覗かせた素顔はエルザだった。


「アイツは何ッ」


 エルザは珍しく取り乱しているようで、怒りか恐怖か身体を震わせている。

 だが、そんなエルザとは対照的に、レオは返ってきた剣を腰に装備すると冷静に言葉を返す。


「俺の知らない奴だな」

「ふざけないで。アンタ元魔王でしょっ、アイツの事を知らないはずないじゃないッ」


 レオを睨む目は鋭いが、瞳は揺れている。


「俺の過去に興味が無いとか言って、あの頃の話を聞いてこなかった割に、今回はずいぶんと熱心だな」

「それとこれとは話が違うでしょっ。あんな、あんな……」


 エルザは今まで『勝てない』と思ったことは一度も無かった。

 確かに、今エルザが全力でグウィードと戦ったとしても『負ける』だろうが、前世で魔王と戦った時に比べればそこに恐怖は生まれず、これからの成長を考えれば『いつかは勝てる』と思える。それは、エンザーグとて同じこと。


 だが、ダナトと対峙した時にはそう思えず、『絶対に勝てない』と思ってしまった。

 前世で魔王であったレオと対峙した時ですら、そう思わなかったエルザがである。


「魔王だから知ってるはず……その理屈だと、国王は全ての国民を把握してなきゃならないな」


 どこか呆れた様子のレオの言い方に、エルザは反論する事無く俯いて地面を見る。自分でも分かってはいるのだ、これがただの八つ当たりでしかないことに。

 そんないつもと勝手の違うエルザを見て、レオはため息を一つ零す。


「一つ言っておくが、アイツはお前達が倒した俺より弱いぞ」


 そんなあり得ない言葉を聞いて、エルザは勢い良く顔を上げてレオを見つめるが、その表情は明らかに相手の実力が分からないレオを馬鹿にしている。

 そして、何か言おうと口を開きかけるが、それをレオに止められた。


「アイツの全力を見てないから正確には判らないが、それでも先の時点でお前がここまで弱気になるほどじゃない。つまり、お前がそこまで弱気な理由は、相手にあるんじゃなくお前自身にある」

「何言ってるの?」


 エルザが驚いて目を見開き不満げな顔をするのは、相手が強いから恐れてるのであって、自分がただの弱気で弱腰だとは思っていないからである。

 ただ、一応レオの話を聞くことにしたらしく続きを促す。


「理由としては『前世から自分で思っている以上に力が落ちていた』『全力で戦う機会が少ない』『戦闘後で疲れていた』などあるが、最大の理由は……あの頃は全盛のエルザに負けない実力者が他に三人居たということだ」


 その理由を聞いて思わずエルザは息を呑んだ。何故なら、その様なことは一度も考えたことが無かったからである。


「昔のお前は他の巫女をかなり信頼していた。それは自分で意識する、しない以前の問題で、当たり前として認識していたはずだ。戦闘中の流れ、お前が飛び込む時に一切迷いがなかったからな」


 そう言われれば「確かに」としかエルザは言えなかった。

 他の巫女と組んでいた時は戦いで迷うことはなく、魔法によるサポートは大地、大海の巫女に任せ、大陽は中衛としてバランスを取り、エルザはただ攻めることだけを考えていれば良かったのだ。


 先ほどのエンザーグとの戦いでの突撃。あの時も迷いは無かったが、それと同じかそれ以上の信頼感。

 しかも、あの時はマリア達というよりは、歴戦の戦士であるグウィードを信頼したのであって、ダナトが現れた時にそのグウィードは生死の境だったのである。


「お前、自分が世界で一番強いって思ってただろ」


 思っていた。だが、それは当然のこと。

 今と違って巫女が最強の代名詞だった時代で、そう自負する四人が集まったのが本来の魔王討伐メンバー。

 もちろん仲が良い悪いはあるが、それを戦闘に持ち込むようなことはしない。集団戦でそんな事をするようでは、最強を自負できないからである。


「他の三人……いや二人も同じだな。それは、直接戦った俺が良く分かってる」


 そして、相手の実力も認めることで、結束や信頼感が生まれ迷いの無い行動に移れるのだ。


 確かにあの時代の巫女が集まれば、敵は居ないと言い切れるだろうし、ダナトと戦っても倒せたかもしれない。

 しかし、今は今。もうあの時代ではないのだ。


「エルザ、お前は誰だ?」


 レオのいきなりの問いかけに、エルザは直ぐ答えることが出来なかった。質問の意図が分からないからだ。


「私は、エルザ・アニエッリ」


 だから、困惑の表情で名前だけをポツリと呟くように返した。


「そう、お前はエルザ・アニエッリ。元大空の巫女で、魔王だった俺を倒した」

「でもそれは、私一人の力じゃ――」

「確かにあの時はお前だけだけでなく、心許せる力強い仲間がいた。……で、今のマリア達は当時の仲間より弱く心許ない。だから、信頼が置けずにダナトに恐怖した」

「ッ、違うっ、そんな事は……」


 エルザはレオを睨みつけようとするが、反論する前に再び地面に視線を落としてしまう。

 マリア達を信頼してない訳ではない。エルザはそこだけは確信を持って反論できるが、レオの言う通り戦力として見た場合、マリア達だけじゃ心許ないのは事実だったからだ。


「エルザ、お前がここから逃げたいと思うのならそうすればいい」


 その一言にエルザは視線を上げた。

 逃げるなど全く考えていなかった……だが、一度の考えが浮かぶと、甘美な言葉に聞こえてくる。

 しかし、エルザは逃げ出すような事はしたくなかった。


「今、何を考えてる?」


 また話の飛んだ質問。

 そして、今回の質問もエルザには意図が読み取れない。

 ただ答えを出そうと、今何を考えているのかを考えるが、そんな事はエルザ自身にも分からなかった。むしろ色々と頭の中がこんがらがって、考えが纏まらない状態だ。


「何を言ってるんだって顔だな。……結論から言うと、お前はバカだ」

「なっ」


 単純で明快なその一言はエルザの纏まらない考えなど切り裂いて、頭の奥底にまで突き刺さった。

 ショックを受けて口を半開きなままのエルザとは対照的に、レオは真剣な表情を崩していない。


「そう、お前はバカだ。だからこそ色々と考えずに思ったとおりに行動しろ。もし、さっき言ったように逃げ出したいのなら、そうすれば良い」


 真剣なレオにつられるように、エルザも表情を引き締めてレオを見返す。


「だけどな、俺はお前が逃げるとは思えない。確かに相手の実力と心理状態を考えれば逃げるのが正解だろう、今のままじゃ勝てる見込みが無いからな。それでも、お前はそういう事を考えるよりも、感情で動くだろ? このままマリア達を見捨てることは出来ない、と」


 そう、このままマリア達を見捨てて逃げることをエルザはしたくなかった。

 巫女だ何だということを抜きにして、これからも戦い続けなければならない親友を見捨てることだけは。


「俺が知ってるのは今のエルザ・アニエッリだけだが、お前はいつも感情で動いてバカやって……だから、お前は思ったとおりに動けばいい。それに、エルザが小難しい事が理解出来るとは思えないし、その後をサポートするのが俺の役割だ」

「レオ……」


 つまりレオが言いたかったことはこれだったのだ。

 レオが考えてエルザが動く、もしくはエルザが動いてレオがサポートする。今までもそうやって数々の騒動を起こしてきたのだから。


 今回、マリア達に付いて行く事を決めたのはエルザで、その為の作戦ESSを練ったのものもエルザだったことから分かるだろうが、何もエルザは作戦を練れないバカではない。

 ただ、エルザ以上にレオがそういった謀が好きであり、また得意なのだ。


「もう一度聞く。エルザ、お前は誰だ?」


 先ほどと同じ質問をもう一度訊ねるレオだが、先ほどとは何か雰囲気が違う。

 それは、顔を上げてレオに対して真正面から見返すエルザの存在。


「私はエルザ……そう、エルザ・アニエッリよ。時代が求めた勇者、世間が求めたヒロイン、そして民衆が求めた主人公っ。でもたまには挫けちゃう、だって女の子ですもの」


 声高らかに演じてみせているいつも通りのエルザに戻ったが、今回はいつも以上にふざけているようにも見える。

 それは、レオと違ってシリアスを余り見せないエルザが、今回見せてしまったことの照れ隠しなのだろう。


 それが分かっているからこそ、レオも話を変える手助けをする。多少、怨みが篭っていることは否定出来ないが。


「そうか。で、その勇者様は折れて返ってきた剣をどう弁償してくれるんだ?」

「……あ」


 実はレオがエルザに貸したロングソードは、エンザーグとの戦いの最中に折られてしまっていたのだ。

 それは、ヴィアラであったエルザがシールドから跳び出し、囮として空中から襲い掛かったとき。


 一応、襲い掛かってきた尻尾はエアーショットを行い、頭上を通過することで避けられるはずだったが、エンザーグがグウィードを狙ったことで高度が下がり、尻尾がエルザに当たりそうになったのだ。

 その時、咄嗟に持っていたロングソードを盾にして、防ぐというよりも受け流すように角度を調節した為、身体に傷を負うことは無かったが、その結果レオから借りていた剣が折れてしまったのだった。


「そ、それは、え~とエンザーグも倒せたってことで、グウィードさんの命も助かった事だし……あっ、そうだ、マリア達の祝勝会の準備をしなきゃー」

「あ、こら待てエルザっ」


 待てと言われて待つはずがないという事は分かっている。

 やはりと言うか、エルザはそのまま木々を上手く避けながらほぼ全力で駆け抜け、その場に留まったままのレオとの距離を広げると、既に顔の判別が出来ないほどに離れてしまう。


 だが、急に立ち止まったかと思うと、レオの方へと振り返った。


「レーーオーーー、ありがとーーーーーっ」


 そして、大声でそれだけ言うと、直ぐに背を向けて今度は振り返る事無く走り去る。

 そんなエルザを追いかける事無く見送ったレオは、深いため息を吐き出すと先ほどのエルザ同様、地面へと視線を落とす。


「ありがとう、か。……嘘も方便だな」


 嘘も方便。そう、先ほどレオが言った『ダナトの方が弱い』発言は嘘だった。というよりも、現状では分からないと言った方が正しい。

 だからこそ『全力を見てないから正確には判らない』と予防線を張っている。ダナトが全力を出した結果、強い可能性もあるのだから。


 そして、レオがエルザの巫女だった頃や今の心境を言うときは、あえて断定して話していた。

 それはどちらとも決めかねずにエルザの心が揺らいだ場合、そう言われればと思わせる必要があったから。


 ふとレオが空を見上げれば、そこにはこれからの世情を映すような灰色の空。むしろ晴れていた朝方から考えれば、一雨来そうな下り坂。

 レオは先ほどの戦闘の影響からか、動物達の気配のしない森を軽くなった鞘に手を当てながら、少し急ぎ足でエルザの後を追うのだった。






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