SwordMagicWorldプロローグ終
PCを芝の上に座らせて自分の部屋を後にする
リビングにパタパタとスリッパの音を立てながら階段を下りていく
そしてリビングのドアを開けると鍋の火をかけっぱなしにして
テーブルの上にノートPCをおいて『SMW』をやっている夏美の姿があった
「やぁ! ネトゲで本名を丸々使ってる子!」
「うっせーな・・・・飯はどうしたんだよ?」
夏美にニヤニヤされながら言われて
俺は少し顔を赤くした
ピューと音が鍋から聞こえて、夏美は少し急いで台所に向かっていった
「ふぅー・・・セーフ」
夏美が鍋の中を確認していると
鍋の中身のにおいが漂ってきた
(においからして・・・カレーか)
俺は負のオーラを出しながら笑いながら思った
自分の命が保てるか、三途の川を渡るかの選択肢しかなくなった
料理で万が一のために非常用の救急箱を棚からとり
テーブルの下にササっと隠した
たんたんと台所から手つきのいい音が聞こえてきた
(死なないように祈っておこう)
俺はソファにあったTVリモコンを手に取った
そしてピッとTVの電源をいれる
チャンネルを変えていると音楽番組が放映されていた
見てみると俺の好きな『綾瀬薫』の新曲が紹介されていた
紹介が終わると俺は満足してTVの電源を消す
そしてソファに寝転び幸せ気分を感じていた
「聞くけどよ・・・なんでお前が『SMW』をやってるんだ?
言いたくなかったら言わなくても良いけど」
夏美は包丁を持っている手をピタッと止めた
「なんでって・・・まぁいいわ 教えるわよ」
夏美は2人分の皿を出し、ご飯を盛り付ける
最後にとろとろの温かいルーをなめらかにご飯にかける
そして、テーブルに皿をコトっとおく
俺はソファからはねおき、テーブルのイスに腰掛ける
夏美も俺の前のイスに腰掛ける
重苦しく夏美が口をあける
「私が『SMW』を始めたのはね・・・たまたまネットで検索してでてきた
スクリーンショット(SS)のサイトがあって見てからかな」
説明しておこう
SSとはゲーム内の景色やキャラクター(PC)をカメラのように撮り、画像をパソコンの中に保存しているもの。
そのSSの目的はモンスターの種類の確認や自分のスキルチェック、単なる景色の鑑賞などと多くある
そのSSを集めたサイトを夏美は見たのだった
「そのSSに・・・・さっちゃんの姿があったの」
「!?」 部屋の中は一気にシリアスな空気になった
俺は驚いて目を見開いていた
「あいつが・・・なんで『SMW』に・・・しかも死んでいる奴が・・・なぜ!?」
「分からないわ・・だけど・・あれは確かにさっちゃんだったの・・」
「なんだよそれ・・・アイツが・・・『SMW』にいるのかよ・・・」
「だから私は『SMW』をしてるの 分かった?」
「あぁわかった・・・だけどどこにいるんだよあいつは・・」
俺は夏美に真剣な目で言う
「今日、涼がINしたエリア・・『夏の万緑の里』で最近みられたのよ」
「俺が・・・INしたエリアだったのか・・」
「うん♪ さっさとご飯でも食べよ♪」
夏美は平然とうっとりしてカレーを食べている
俺もおそるおそるたべようとするがスプーンを持っている手が動かない
(大丈夫だ・・・ちゃんと救急箱を置いてるんだ)
そして覚悟してカレーをパクっと食う
(ふむふむ・・カレーのスパイスが効いていて、この味わい、ちょうどいいご飯の硬さといい・・・・・・・)
「ゴク・・・・あれ? 美味しい・・・」
俺の口から自然と素直な言葉がこぼれた
なぜか美味しくてぱくぱくと食べていた
気づいた頃には皿が真っ白になっていた
食べ終わって真っ白になった皿を自分で台所に持っていく
「お前・・・いつの間に料理が・・・?」
俺は夏美の方を向きながら疑うような目で見る
夏美は少し顔を赤く染め、顔を背けた
そして少し経つと俺の方を向き、左手の人差し指を立てた
「それは・・涼のためよ!」
夏美はへっへーんという効果音がでるぐらい勝ち誇ったような顔をする
「え? 俺のため?」
「そ、そうよ! 涼の食生活が悪いからよ」
(う・・・そう言われると・・否定できない・・!)
最近涼は帰り道でコンビニとかで買ったカップ麺やレトルト食品ばっか食べていたからだった
「まぁこういう時ぐらいきちんとしたご飯とりなさいよ!」
こうして俺はなぜかどやされた
「涼もさっちゃんを『SMW』で探しなさいよ」
「分かった・・」
俺はこの時決心した。
そう、幽霊探しをしようと。