第二話 天使との邂逅、そして究極の選択肢
久々更新…全然執筆の時間が無い…愚痴ばっかりですいません
side 夜絆
「えっ?」
「だからもう君は死ぬの。正確にはあと一日と二時間ぐらいで」
「ちょ、ちょっと待て!そんなに早く死ぬのか!?」
「うん」
青年はさらりと俺に死の宣告を言い渡した…もう少しシリアスに言ってほしい
「……あんまり長くは無いと思ったけど明日には死ぬのか……」
「まぁ諦めなよ、君の死は決まってることだしね」
「簡単に自分の人生を諦められる奴がいるかよ!まだやりたいことだって沢山あるんだ!」
「ふーん。でも君の体はもう限界だからね。やりたいことがあっても出来るわけないよ」
「そ、そんな……くそっ!」
俺は湧きあがってくる苛立ちを晴らすために地面に拳をぶつけ、八つ当たりをした
「それにしても君は気にならないのかい?」
「……なにがだよ?」
「君の病気のこと」
「俺の病気?そんなもんどうでもいいだろ…もう死ぬんだろ?」
「まぁまぁ、そう悲観せずに少しは考えてみなよ。君の病気はもしかしたら病気じゃないかもしれないよ」
「……どういうことだよ?」
「この世に治療法はおろか原因も進行を止める方法も無い病気なんてあるわけないじゃないか」
そういえば医者も匙を投げてたいたのを思い出した
「……まだ見つかってない未知の病気だって世の中にはあるだろ・」
「そりゃあね。でも原因も何もかもわからないということは流石に無いよ」
「じゃあなんなんだよ!」
「君のそれは『業』と言われる呪いかもしれない」
「業?」
「うん。業といのはね自分の前の人生、前世で犯した罪の分呪われるという物」
「前世での罪?」
「そうだよ。つまり君は前世では極悪人だったって事だね」
「……そんなの今の俺に関係ないだろ!俺は俺だ!前世のことなんか知ったことじゃない!」
俺はキレて青年の胸倉を掴み、怒鳴り散らす。だが青年は相変わらず笑顔のままだ
「確かにね。君からしたら身の覚えの無いものだ。だけどねそれが業なんだよ。一度犯した罪は何度も生まれ変わり浄化をしていくことで初めて祓えるのさ」
「それじゃあ俺はこれから何度も妙な病気で死ぬことを繰り返すのか!?」
そんな人生に意味はない。だって俺はまだ人生の1/4も生きていないんだ
「たぶんね。君はこれから果てしない時を無駄で無意味な人生を繰り返していくんだよ」
「なんだと!」
今の言葉で完全にキレた俺は青年に向かって拳を振りかざすが…
「だってそうだろ?生きようと努力したところで君は一定の年齢で死ぬ。しかもその時は早い、幸せ一つ掴むのも無理な時間だ。これを無意味な人生といわずなんというんだい?」
「ぐふっ!……く……そ……」
簡単に避けられカウンターの要領で蹴りを食らい吹っ飛ばされる
「でも僕はそんな哀れな君を助けたいと思うんだよ」
「たす……ける?」
「そう。これを見てごらん」
青年が取り出したのは赤色の鉱石。鉱石は透き通っている宝石とはまるで違い、禍々しく澱んでいる様に見える
「これは時玉石っていってね。時を遡る事のできる石なんだよ」
「時を……?」
「そうだよ、でもねこれを使うと恐ろしい代償があるんだ」
「……」
「使用者はねこの世で最も残酷な業を受けるんだ、この世から消滅するって言うね」
「消滅?」
「消滅だよ。簡単に言えば輪廻転生の輪に二度々と入ることが出来なくなるという事さ」
「それって……俺は一度死んだらもう二度と新たな人生を歩めないってことか?」
「うん。でもこれを使えば運命に抗うことも出来るし、君のその無意味な人生を変えることだって出来るよ。僕って優しいな~」
「……」
青年は笑顔で自画自賛をする。だが俺は色々と考えていた。運命を変えるって事は幸せなはずの未来を不幸に変えたり、その逆の不幸を幸せにしたりすることも出来るということ。一見いい提案だと思うが、それは他人の人生を歪めてしまうことに繋がる。それに…
「で使い方だけd「断る」へ?」
「いいよ、別にそんなもの使わなくても」
「で、でも自分の人生を変えることが出来るんだよ?」
「……それってさ魅力的に見えるけどさ、自分の今までの人生を全部否定するってことだよな?」
「んー。見方によってはそうかもね」
「なら俺はそんな石使わない。たとえ無駄な人生を歩むことになっても自分で自分を否定したくないんだ。」
「……ふーん、人間の考えることはよくわからないな。でもさ、君がそんな歳で死んだら周りの人はどう思うかな?」
「え?」
「例えば君の両親は自分達を責めるだろうね。自分の息子に対して何もしてやれない後悔と自責の念に囚われてね」
「そ、それは……」
あの優しい父さんと母さんのことだ。そういったものに囚われ、後悔し続ける可能性は十分にある
「もっと言えば兄妹や友人達は仲のいい君が死んだら悲しむだろう。もしかしたら心に傷を負うかもしれないよ?」
「そ、それは言いすぎだろ!俺にそこまでの影響力は無いよ!」
「どうかな?まぁ死んでみたらわかると思うけどね」
「それじゃ確かめようが無いだろ!」
「なら迷っている君に選択肢を上げよう」
「選択肢?」
おそらくこれから言われることは俺の人生の中で一番重要な選択肢だろう
「一つはこのまま業に呑まれ無意味な死を遂げた後、何度もたくさんの人を悲しませる無駄な人生を繰り返す事。二つ目はこの時玉石を使って過去に遡り運命を変えるか、この二つだよ」
「……そんなの選べるかよ!どっちも俺の周りの人の運命を変えたり悲しませるだけじゃないか!」
「そうかな?一つ目はともかく二つ目はまだ可能性があるじゃないか。もし誰かに不幸が訪れたらその不幸を取り払えばいい」
「そんなことできるわけないだろ!」
「できるさ」
青年は真剣な顔つきになり即答した
「人間は可能性の生き物。どんなことでも不可能なことは無いといわれている生物。なら自分の可能性に賭けてみようと言う気にはならないかい?」
「でも!……そんなこと……」
「やれやれ、ここまで聞いてまだ迷うのか。なら君にある能力を与えよう」
「能力?」
「正確には可能性を引き出すだけどね。動かないでよ」
「な、なにをするんだ…?」
青年は俺の額に人差し指をつけ一瞬だが悪魔の様な笑みを浮かべた
「少し痛むからね」
「えっ?あ、あぁぁぁぁ!!!」
指はずぷっと言う音と共に俺の額を液体に沈むかのように貫通し、俺の頭の中を直接触る。俺は痛みと今起きている事のショックで想像を絶するような衝撃を受けていた
「ん~、なかなか見つからないな。…お、あったあった」
青年は何かを探すかのように俺の脳内を掻きまわす
「ここをこうして……よしこれでオッケーだね。お疲れさん」
「あぁぁぁ!!ぁぁ……はぁ、はぁ、な……にを?」
青年は頭の中で何かをした後、指を抜いた
「いったろ可能性を引き出すって。まぁおきたら覚醒してるとは思うから安心しなよ」
「教えろ……!」
「やだよ。君が得る能力は君の人生を大きく左右するものだから。覚醒した時に使い方とかを考えるんだね。それとこれを渡しておくよ」
渡されたのは先程の時玉石。それを青年は俺の右手にギュッと握らせる
「こんな物はいらない!」
「まぁ持っておきなよ。あって損するものじゃないから。それにね君はその石を確実に使う。これは予言じゃない、決められた運命だよ」
「な、それはどういう意味っ!……」
全てを言い終わる前に急に世界が真っ暗になり俺はもう一度気を失った
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