其の伍拾伍「関羽、一刀を殴るのこと」
南側(正門):愛紗 対 一頭
ガキンッ!!。
愛紗と一頭は激しく戦っていた。
愛紗「ハァー!! 」
愛紗が青龍偃月刀で斬りかかる!
一頭「フンッ! 」
ガキンッ!。
愛紗の攻撃を一頭は鉄扇で防いだ。
一頭「喰らえっ! 」
一頭が鉄扇で殴りにかかると
愛紗「なんの! 」
ガキンッ!。
愛紗は一頭の攻撃を防いだ。
先ほどから攻防の繰り返しであった。
一頭「あなたやるわね!平民にするのがもったいないわよ、命ごいするなら私の仲間として助けてあげてもいいわよ 」
一頭が言うと愛紗は
愛紗「ふざけるな!!誰が貴様らのような民を痛めつける奴の仲間になるものか!! 」
愛紗の返事を聞いた一頭は
一頭「この世は弱肉強食、強くなければ生き残れない、この国は負けたのよ! 」
ブンッ!。
一頭の鉄扇が愛紗を捉える。
しかし、
ガキンッ!。
愛紗は一頭の攻撃を防ぐと
愛紗「北郷軍一の家臣関羽をなめるなー!! 」
青龍偃月刀を一頭に向けて斬りつけてきた。
一頭「ちっ!? 」
一頭は避けようとするが
ピッ!!。
完全には避けきれず頬に一撃を喰らってしまった。
愛紗「(あの一撃を避けるとは流石は大蛇の中でも強い奴だな) 」
愛紗が一頭のすごさに感心していると
一頭「き・さ・ま… 」
一頭が話しかけてきた。
一頭「よくも私の美しい顔を傷付けてくれたな!!! 」
一頭の頬には愛紗が斬りつけた傷跡ができていた。
一頭はひどく怒っている。
一頭「私の美しい顔を傷付けた罰だ!手加減せずに殺してやるよ!!! 」
一頭は構えをとる。
愛紗も一頭の殺気を感じて構えた。
愛紗「(あいつの力がさっきよりも上がっている!?) 」
そして一頭は鉄扇を構える。
一頭「見せてやるよ私の闇の装飾『水操りの乙女』の力をね! 」
すると一頭の鉄扇から…
ピュッー!。
水が噴射してきた。
愛紗「貴様!私を馬鹿にしているのか!水芸なぞ見せて何をする気だ! 」
愛紗が言い終わると一頭は
一頭「この能力を知らないで好き放題言いやがって、この力を見て驚くなよっ! 」
パサッ!。
一頭は愛紗に向けて鉄扇についた水を飛ばす。
すると飛ばされた水滴が
キランッ!
突然、鎌のようになり愛紗に襲いかかる!
愛紗「何なのだこれは!? 」
スパッ!。ズバッ!。
突然のことに驚いた愛紗は襲ってくる鎌を全て避けることができなかった。
傷だらけになった愛紗を見て一頭は
一頭「フフッ!よくお似合いよ♪ 」
冷やかしに笑うのであった。
一頭「私の能力はね、水を自由に操ることができるのよ!こんな風にね! 」
一頭は両手を上に上げると両手には巨大な水の塊ができていた。
一頭「喰らいなっ! 」
ブンッ!。
一頭は水の塊を愛紗に向かって投げた。
愛紗「くっ!? 」
サッ!。
傷だらけの愛紗は辛うじて水の塊を避けることができた。
ドッコーーン!!。
愛紗が先程まで立っていた場所には大きな穴ができていた。
愛紗「(危なかった!?もし喰らっていたら命がなくなっていたな!?) 」
愛紗は驚いていたが直ぐ様、青龍偃月刀の柄を握り締めると
愛紗「ならば、接近あるのみだ! 」
ダッ!!。
一頭に接近するために近付いていった。
一頭「この馬鹿が! 」
ブンッ!。
一頭は鉄扇についた水滴を鎌に変化させて愛紗に投げるが
愛紗「私に同じ手が通用すると思うな! 」
カカカッ!。
愛紗は一刀の技である『旋風剣』の要領で青龍偃月刀を回転しながら突き進んでいった。
一頭「こしゃくな真似を!だったら… 」
一頭は鉄扇で自分の顔を隠すと
愛紗「もらったー! 」
愛紗が飛びかかってきた。
青龍偃月刀は一頭に向かって振り下ろされるが
ピタッ!!。
突然、青龍偃月刀の動きが止まった。
いや、愛紗が止めていたのである。何故ならば…
一頭「やっぱり主君馬鹿にはこの手が一番ね! 」
一頭の顔が一刀になっていたからだ!。
しかも顔だけでなく体や声まで同じなのだ。
一頭「人は大事な人には攻撃できないっていうからなこの手にかかる奴はごまんといるのさ! 」
一頭は鉄扇を愛紗に叩き付けようとする。
しかしその速度は遅く、兵士でも避けれるスピードだが
バシンッ!。
愛紗は避けることなく叩かれてしまった。
一頭「フフッ!さっきまでの威勢はどうしたんだい? 」
バシッバシッ!。
一頭は愛紗を鉄扇で叩きまくる。
愛紗「くっ!? 」
サッ!。
たまらず愛紗は一頭から離れた。
愛紗「ハァハァ!(悔しいが奴の言う通り私にはご主人様を斬りつけることができない!) 」
愛紗は青龍偃月刀を杖がわりにして体を支えていた。
一頭「フンッ!そんなボロボロの体でまだ歯向かう気か?諦めが悪いな!さっさと守りたい奴に殺されな! 」
ブンッ!。
一頭は水滴の鎌を飛ばしまくってきた。
愛紗「くっ!? 」
ズバズバッ!!。
愛紗は攻撃を防ぐことなく喰らってしまった。
しかしそれでも愛紗は倒れなかった。
一頭「しぶとい奴め! 」
ゴゴゴッ!。
一刀の顔をした一頭は両手を上に上げて大きな水の塊を作り出す。
愛紗「(どうすればいいのだ?私にはご主人様を斬りつけることが出来ない!?) 」
ここにきて愛紗の一刀に対する忠誠心が仇となってしまった。
愛紗「(んっ?ご主人様といえば確か…) 」
愛紗が何かを思い出していると
最初よりでかい一頭の水の塊ができてしまった。
一頭「くたばりな! 」
一頭が塊を愛紗に投げようとすると
愛紗「ご主人様!!! 」
ピタッ!。
愛紗の怒鳴り声で一頭の動きが止まった。それに驚いた一頭は塊を消してしまった。
一頭「急に叫びだして何のつもりだい!? 」
一刀の顔をした一頭が聞くと愛紗は
愛紗「また女の子を口説いていましたね!!! 」
?
一頭にはわけが分からなかった。
愛紗「そんなご主人様にはお仕置きです!!! 」
ダッ!。
愛紗は一頭に怒りながら近付いていった。
一頭「フンッ!いくら叫んでいても守りたい人に攻撃できるはずが… 」
一頭は安心していたが
ドコッ!。★彡
愛紗の渾身の右ストレートが一頭に炸裂した。
ぶっ飛ばされた一頭は
一頭「何でこの私に攻撃することができるんだい!? 」
とても驚いていた。しかし愛紗は
愛紗「これは攻撃ではなくお仕置きですので!!! 」
何故こうなったのかというと原因は一頭の完璧すぎる変装にあった。
一頭が一刀に似すぎたせいで一刀の事を考えていた愛紗は今までたまっていた一刀に対する怒りが一気に爆発したのだ。
これは一頭にとって計算外であった。
何故なら今まで一頭が戦ってきた相手は守りたい人を攻撃できなかったからである。
一頭「(まさかこんな奴がいたとは!?) 」
一頭は驚くが驚いている時間はなかった。
愛紗「ご主人様!!! 」
ブンッ!。
愛紗は一刀の顔をした一頭を殴りにかかる!。
一頭「くそっ!? 」
スッ!。
たまらず一頭は元の姿に戻った。
愛紗「! 」
愛紗も正気に戻ったが
グッ!。
愛紗は青龍偃月刀を握り締めた。
愛紗「貴様ならば斬りつけられる! 」
一頭「なっ!? 」
一頭はとっさに鉄扇で愛紗の攻撃を防ごうとするが
バキンッ!!。
ズバッ!。
愛紗は力任せに鉄扇ごと一頭を切り裂いた!。
一頭「ぐはっ! 」
バタッ!。
そして一頭はその場に倒れた。
愛紗「やりましたよご主人様… 」
バタッ!。
そして戦いで傷付いた愛紗も倒れてしまった。
愛紗「(すまないなみんな、少し休んだらすぐにでも駆け付けてやる!) 」
スゥースゥー。
愛紗は少しの間、休むのであった。
南側(正門):愛紗 対 一頭
勝者 愛紗
さて、各自で戦いが始まる中、一匹の隼が門に向かって飛んでいた。
チョウ「大蛇の言う事なんて信じられないがもしもという事もある! 」
隼の正体はチョウであった。
一頭に騙し討ちされた後(其の肆拾伍参照)チョウは体が全快していないにもかかわらず門の方に向かっていたのだ。
チョウは上空から飛んで門の外側に回り込むと門の中に入っていった。
するとそこには
ザクザクッ!。
小さな猫達が穴を掘っていた。
美似「ここから兄のにおいがするのにゃ!みんにゃ、頑張って掘るのにゃ! 」
ミケ・トラ・シャム『オーーにゃ! 』
猫達の正体は美似達であった。
美似達は一刀に会いたいがためににおいを追ってやって来たのだ。
チョウ「何をしてるんだい? 」
チョウが隼から人の姿になって聞いてみると
美似「兄がここに埋まっているから助けてるのにゃ! 」
美似が話をしていると
ミケ「大王しゃま、兄様の腕が出てきたのにゃ! 」
ミケの言葉を聞いて美似が穴を見てみると
確かに穴の中に一刀の腕が埋まっていた。
チョウ「(かわいそうに、きっと零頭に殺られたのだな) 」
チョウが諦めていると
ピクッ!。
腕が動き出したではないか!。
一頭の能力
『水操りの乙女』
水を自由自在に操る能力。水滴を鎌に変えたり、水の塊で相手を押し潰したり、姿を変えることが出来る。