其の伍拾肆「張飛、果敢に挑むのこと」
南東側:二頭 対 鈴々・桃香
南東の戦いが始まった直後
鈴々「てりゃーなのだー!! 」
鈴々は蛇矛を二頭に向かって振り下ろした。
二頭「甘いわ! 」
ガシッ!。
二頭は簡単に蛇矛を掴んだ。
鈴々「掴まれてしまったのだ!? 」
蛇矛が掴まれたことに驚いた鈴々!?
その鈴々に対して二頭は
二頭「飛んでいくがいいわ! 」
ビュンッ!!。
蛇矛を鈴々ごと投げ飛ばした。
鈴々「にゃ〜〜!? 」
投げ飛ばされた鈴々は
ドッコーン!!。
壁にぶち当たってしまった。
桃香「鈴々ちゃん!! 」
崩れた壁のところに桃香が近寄るが
バッコーン!!。
瓦礫が上に上がったかと思うと
鈴々「全然平気なのだ! 」
崩れた壁の中から鈴々が元気よく飛び出してきた。
二頭「お主、小さいくせに頑丈なのだな! 」
二頭が言うと鈴々は
鈴々「鈴々は小さくないのだ!!毎日お兄ちゃんに鍛えてもらったから鈴々は更に強くなったのだ! 」
鈴々は二頭に言い返した。
二頭「確かにお主の体から出ている気は我が知る中でも上位級なのだが、それだけで倒せるほど我は甘くはないぞ! 」
二頭は豪快に宣言した。
鈴々「鈴々だって蛸のおじちゃんには負けないのだー! 」
蛸のおじちゃんというのは二頭の手足があわせて八本だからであろう。鈴々は蛇矛を二頭めがけて突っ込んでいった。
二頭「失礼な!これでも我はまだおじさんと呼ばれる年齢ではないわ! 」
二頭は突っ込んでくる鈴々に対して構える。
このまま突っ込んでくるかと思ったが
ピョンッ!!。
鈴々は突っ込むと見せかけて突っ込みながらジャンプし、更に回転を加えて落下してきた。
鈴々「相手の裏をかくのも戦術の一つだってお兄ちゃんが言っていたのだー! 」
回転した鈴々が二頭めがけて落ちてくる。
このまま決まるかと思われたが、
パシッ!ガシッ!ガシッ!
鈴々「にゃにゃっ!? 」
鈴々の手足と蛇矛は二頭の六本の腕に止められた。
蛇矛を真剣白刃取りした二頭は
二頭「我が秘技をお見舞いしよう! 」
ドグボッ!!。
すると二頭は無防備となった鈴々のお腹に頭突きをおもいっきり喰らわした。
鈴々「ゲホッ! 」
お腹にもろに喰らった鈴々は胃の中のものを吐いてしまった。
二頭「これぞ我が闇の装飾『阿修羅』の六本腕によってできる技、名付けて『修羅壊』だ! 」
二頭は鈴々を掴んでいた腕を放すと鈴々はその場に落ちていった。
バタッ!。
桃香「鈴々ちゃん!? 」
倒れた鈴々に桃香が近付くが
鈴々「桃香お姉ちゃん、来ちゃダメなのだ! 」
鈴々はボロボロになりながらも立ち上がった。
二頭「修羅壊を喰らって立ち上がるとはな、その根性をほめてやろう。だが、二本腕の貴様では我には勝てん!、この大蛇一の怪力を誇る二頭にはな! 」
二頭が言うと鈴々は
鈴々「腕の数で強さは決められないのだー! 」
再び鈴々は蛇矛を持って突っ込んでいった。
二頭「我に同じ攻撃を仕掛けるとは、愚かなことだが我も全力で相手をいたす! 」
すると二頭の三面ある顔が急に移動を始め、別の顔に変化した。
二頭「『阿修羅面・怒り』! 」
二頭の表情が変化したことに気付いた鈴々は
鈴々「にゃにゃっ!?顔が変わっているのだ!? 」
とても驚いていた。
二頭「顔が変わっただけではない! 」
ガシッ!。
二頭は鈴々の蛇矛を簡単に掴むと
二頭「力も上がっているのだ! 」
ブンブンッ!ポイッ!
二頭はハンマー投げの要領で鈴々を投げ飛ばした。
鈴々「にゃーー!? 」
ドカカッ!!。
またも鈴々は壁にぶつかってしまった。
二頭「この力は表情を変えるだけで様々な力を持つ、今のは武力を誇る『怒り』、最初が技術を誇る『笑い』、そして最後の一つが残虐を誇る『冷血』なのだ! 」
二頭が能力の説明を言った後、
桃香「鈴々ちゃん!? 」
桃香が鈴々の飛ばされた方に近寄るが
ガタタッ!。
瓦礫が崩れたかと思うと
鈴々「まだ…なのだ…! 」
瓦礫の中から傷だらけの鈴々が出てきた。そして鈴々は
鈴々「桃香お姉ちゃんは邪魔だからどこかに行くのだ! 」
ビシッ!。
桃香「な…何を言ってるの鈴々ちゃん!? 」
義妹である鈴々の言葉を聞いた桃香は鈴々の言う意味が分からなかったが
鈴々「はっきり言って桃香お姉ちゃんは足手まといだからとっとと行くのだ! 」
ビシッ!。
鈴々の言葉を聞いた桃香は
桃香「鈴々ちゃん…嘘だよね!? 」
しかし鈴々は
鈴々「さっさと行くのだ!!! 」
ビビシッ!!。
鈴々の怒鳴り声を聞いた桃香は
桃香「鈴々ちゃん…ごめんね! 」
涙を流しながら走っていった。
この一部始終を見ていた二頭は
二頭「お主、優しき者だな!あえてきつい言葉を言って仲間の安全を確保するとは 」
すると鈴々は
鈴々「もう鈴々は大好きな人が傷付くのを見るのは嫌なのだ! 」
そして鈴々は二頭に向かっていった。
その頃、桃香は
桃香「ひっく…鈴々ちゃん… 」
柱の陰で泣いていた。
桃香は始めから分かっていた。
鈴々が自分を逃がすためにわざときつい言葉を言ったことを
それ故に桃香は自分の無力さに涙を流していた。
桃香「私にご主人様みたいな力があれば… 」
桃香は一刀の力を羨ましがっていた。
自分にもみんなを守れる力があればと
しかし桃香は
桃香「そういえばご主人様って昔は弱かったんだっけ 」
桃香は以前鈴々から聞かされた話を思い出していた。
まだ愛紗達が一刀達と再会する前
一刀のことを知らない桃香は愛紗達に一刀の話を聞いていた。
桃香「一刀さんってそんなに変態なんですか!? 」
鈴々「そうなのだ!いつも女の子のお尻と胸しか見てないのだ! 」
朱里「はわわ〜!!否定できないのが残念です〜!? 」
何の話をしているのやら
鈴々「でもすごく優しいから鈴々はお兄ちゃんのことが大好きなのだ!だけど愛紗は鈴々の数倍お兄ちゃんが好きなのだ! 」
これを聞いた愛紗は飲んでいた水を噴き出した。
愛紗「何を言っているのだ鈴々!!/// 」
愛紗は顔を赤くして反論する。
朱里「はわわ〜!!顔を赤くして言われても説得力がありません! 」
愛紗「朱里まで何を言うかー!!! 」
朱里「はわわ〜!! 」
愛紗と朱里の追いかけっこが始まった。
桃香「そんなにみんなに愛されている一刀さんってすごい人なんだね 」
桃香が言うと
鈴々「お兄ちゃんはすごいだけではないのだ、時には強くなるのだ! 」
桃香「どういうこと? 」
桃香が聞いてみると
鈴々「前に鈴々達がいない時に賊が攻めてきた時にお兄ちゃんはたった一人で数人の賊の足止めをしたのだ! 」(其の弐拾陸参照)
鈴々の話を聞いた桃香は
桃香「すごいんだな〜一刀さんって、私も一刀さんみたいに強くなろっ! 」
桃香はこの時強くなると心に誓ったのだが、次の日には忘れていた。
話を思い出した桃香は
桃香「何やってるんだろう私? 」
スッ!。
桃香は立ち上がった。
その頃、鈴々は
鈴々「にゃにゃー!? 」
ドカカッ!!。
何度も壁にぶん投げられていた。
二頭「何度も何度も立ち向かうとはその心意気は誉めてやるが、そろそろ限界であろう? 」
しかし鈴々は
鈴々「まだ…なのだ… 」
すでに鈴々に反撃する力はない、桃香を逃がすための時間稼ぎをしているのだ。しかし、鈴々にも体力の限界がきていた。
二頭「ならばあの世に送ってやる! 」
二頭はボロボロの鈴々に向かってくる!
しかし
桃香「やめなさい! 」
ピタッ!。
突然の声に二頭は止まってしまった。
二頭が声のする方を見てみると
桃香「それ以上は…私が許しません!… 」
両足を震えた桃香が剣を持って構えていた。
二頭「誰かと思ったら逃げ出した腰抜か!仲間がつくってくれた逃げるための好機を無駄にするとは愚かだな! 」
二頭が言うと桃香は
桃香「私だって逃げちゃいけない時くらいわかってます! 」
ビクンッ!。
この時、桃香の持つ宝剣・靖王伝家が光ったような気がした。
二頭「我に戦いを挑むとは愚かだ! 」
バッ!。
二頭は桃香の所に行こうとするが
ガシッ!!。
二頭「なっ!? 」
鈴々「行かせないのだ! 」
鈴々が二頭の足にしがみついていた。
二頭「このっ!離さんか!! 」
二頭は暴れまくるが鈴々は離れなかった。
鈴々「桃香お姉ちゃん!今なのだ! 」
鈴々の言葉を聞いた桃香は
桃香「わかったよ鈴々ちゃん!ヤー!! 」
剣を抜いて二頭に向かっていった。
二頭「おのれこしゃくな!阿修羅白刃取り! 」
二頭は六本腕で剣を受け止めようとするが
バシンッ!!。
二頭「なっ…何!? 」
桃香の勇気を聞いた靖王伝家の聖なる力に弾かれてしまった。
桃香「たぁー!! 」
ブンッ!。 ズバッ!。
二頭「ぐわぁー!? 」
桃香の宝剣の力に二頭は倒れていった。
バタッ!。
鈴々「すっごいのだ桃香おね… 」
バタッ!。
二頭が倒れた後に鈴々も倒れてしまった。
桃香「鈴々ちゃん大丈夫!? 」
慌てた桃香が鈴々に近付くと
鈴々「にゃはっ!鈴々はとっても疲れたからちょっと休むのだ。桃香お姉ちゃんはすごいのだ! 」
桃香「私なんてすごくないよ!すごいのは鈴々ちゃんだよ、こんなボロボロになるまで戦うなんてすごいよ! 」
桃香の目には涙が流れていた。
鈴々「にゃはっ!桃香お姉ちゃんは泣き虫なのだ♪ 」
それから二人は鈴々が動けるまでゆっくりと休んだ。
南東側:二頭 対 鈴々・桃香
勝者 鈴々・桃香
二頭の闇の装飾
『阿修羅』
装着者を三面六手の姿にでき、力も上がる。顔の表情で強さが変わる。
怒り面=力が上昇
笑い面=頭脳上昇
冷血面=残虐性上昇
・修羅壊
相手の武器・腕・脚を掴んで身動きをとれなくし、とどめとして腹に頭突きを喰らわす技