其の肆拾壱「厳顔・黄蓋、酒を欲しがるのこと」
今回は無理矢理呉の三人を登場させました。
一刀達は現在ある村で買い物をするためそれぞれが別行動をしていたのだが
桔梗「店主!その酒と右から二つ目の棚の一段目の左から三番目の酒を貰うからのぅ! 」
桔梗が酒を買いまくっていた。
雛里「あんなにお酒を買って飲み干せるのでしょうか? 」
一刀「甘い物は別腹っていうけど桔梗の場合、酒は別腹なんだろうね 」
無理矢理荷物持ちとして連れこまれた一刀と一刀を心配してついてきた雛里は唖然としていた。ちなみに二人の手にはすでに大量の酒があった。
桔梗「何を言うかお館!雛里!これくらいでは全然足りんわ!まだまだ買うから覚悟するがいいぞ! 」
ちなみに酒代は一刀が払わされていた。
一刀「俺の財布がずいぶん軽くなったよ 」
一刀はうなだれる。
雛里「あわわ〜!!大丈夫ですかご主人様!? 」
しかし桔梗は一刀がうなだれているにもかかわらず次々と酒を購入していた。
桔梗「ややっ!あの酒は!? 」
あるお酒に桔梗が目をつけた。
店主「お客さん目がたかいね、その酒は珍しい酒でウチ以外には滅多に手に入らないんだ 」
店主の話を聞いた桔梗は
桔梗「店主!この酒を貰うでの!支払いはこの男が払いますでな! 」
桔梗は一刀を指さしたが
一刀「悪いけどあの酒を買うお金はないよ 」
酒の買いすぎで一刀の財布にはもはやわずかしか入っていなかった。
桔梗「なんじゃと―!?仕方ない雛里が払ってくれ 」
しかし雛里も
雛里「本を買いましたからお酒を買うお金はありませんよ 」
今度は桔梗がうなだれた。
すると近くから
?「何でもっと金を持ってこんのじゃ! 」
近くで大声が聞こえてきた。
?「祭様がお酒を買いすぎるからいけないんじゃないですか! 」
?「私達だって買いたい物があったのにですよ! 」
話を聞いてみると騒動の原因はこちらと似たようなものだった。
雛里「話の状況がこちらと似ていましゅね 」
一刀「いやむしろあっちは買いたい物が買えなかったからこっちの方がまだましか 」
一刀達が声のする方を見てみると
そこには黒髪の忍者服のようなものを着た周泰 幼平。真名を明命という少女と片眼鏡をかけたキョンシー風な姿の呂蒙 子明。真名を亞莎という少女と叫んでいるのが銀髪の爆乳の持ち主、黄蓋 公覆。真名を祭という女性がいた。
祭(の爆乳)を見た一刀はすぐに悪い癖を発動した。
一刀「お姉さん、そんなに叫んではせっかくの美貌が台無しですよ 」
突然現れた一刀に三人は
祭「なんじゃお主は? 」
明命「誰なのですか? 」
亞莎「? 」
それぞれ反応していると一刀の後ろから突然!
ゴチンッ!!。★彡
雛里が辞典の角で一刀の頭を叩いた。叩かれた一刀は地面に倒れた。
雛里「ご主人様!!いい加減その悪い癖を直してください! 」
雛里に叩かれた一刀は
一刀「すみましぇん 」
震えながら謝った。
桔梗「お館の悪い癖も大変じゃのう 」
そこに桔梗が現れた。
祭「そのような女に弱い男を策殿から聞いたことがあるな、確か名は… 」
祭が考えていると
亞莎「祭様!北郷一刀ですよ!冥琳様がおっしゃってました 」
それを聞いた一刀は起き上がる。
一刀「もしかして君達は呉の人なの? 」
一刀に聞かれた三人は
祭・明命・亞莎『そうじゃ・そうなのです・そうですけど 』
同時に答えた。
祭「そんなことより明命!亞莎!金を出さんか! 」
話が戻ると二人は
明命「だから少ししかありませんって! 」
亞莎「祭様がお酒を買いすぎるからいけないんですよ! 」
そして二人は持ち金を祭に見せ付けるが
祭「嫌じゃ!嫌じゃ!どうしても儂はあの酒を飲みたいんじゃ! 」
子供かよあんたは
祭が指さした先には先程桔梗が欲しがっていた酒があった。
桔梗「何を言うか!あの酒を一番に飲むのは儂じゃ! 」
桔梗が祭につっかかると
祭「儂が先じゃ! 」
桔梗「いいや儂じゃ! 」
二人の言い争いが始まった。
どちらもお金がないのに
このままでは店を破壊させられると感じた店主はあることに気が付いた。
店主「あのぅ、お二人の連れの方のお金を両方合わせれば足りますけども 」
確かに店主の言う通り一刀と明命・亞莎の財布の中身を合わせれば買える金額だった。
二人はしばらく黙っていると、二人は納得したようだ。
そして
一刀「俺の財布が軽くなっちまったよ… 」
明命「お猫様に差し上げる煮干しが買えないのです… 」
亞莎「しばらく胡麻団子が食べられません… 」
あの後、結局三人の持ち金を合わせて酒を買わされた落ち込む三人を雛里が必死に慰める。
一方、酒を購入した(?)二人は
桔梗「さて、酒を買ったことだし早速飲むかのう♪ 」
桔梗が酒に手をのばそうとすると
祭「待てっ! 」
桔梗の手は祭に止められた。
桔梗「その手を放してくれんか黄蓋殿! 」
桔梗は祭を睨みつける。
祭「それはできぬ事じゃぞ厳顔殿! 」
祭も負けじと桔梗を睨みつけた。
桔梗「あの中で一番多く金を出したのはお館じゃぞ!じゃからこの酒を一番に飲む権利はわしにあるはずじゃ! 」
祭「こちらは二人も出したのじゃから一番に飲む権利はわしにあるはずじゃ! 」
二人はどちらが先に飲むかでもめ始めた。
雛里「あわわ〜!!みなさん、止めなくていいのでしゅか!? 」
しかし三人は
一刀「どうせ殴り合いだろうから気が済むまで放っておけばいいさ 」
明命「確かに一刀さんの言う通りですので 」
亞莎「それにあの喧嘩を私達が止める事はできませんし 」
三人は喧嘩する二人を放っておくことにした。
確かにこれが普通の喧嘩なら殴り合いだっただろう。しかし、この二人の場合は違っていた。
桔梗「酒を賭けて勝負じゃ黄蓋殿! 」
ジャキンッ!!。
桔梗はどこから出したのか自分の背丈ほどある武器・豪天砲を取り出した。
祭「望むところじゃ厳顔殿! 」
祭も負けじと武器である多幻双弓を取り出した。
この時、いち早く危険を感じた一刀は
一刀「みんな!伏せるんだ! 」
一刀が雛里達に言った直後、
桔梗「喰らえっ! 」
ドカンッ!!。
祭「くたばらんかい! 」
シュシュシュッ!!。
二人は同時に撃ち合いを始めた。
しばらくして伏せた一刀達が目を開けて見てみると
そこはもう戦場のごとくであった。
周りには豪天砲の弾や多幻双弓の矢があちこちにあって家屋や店の破壊など相当な被害が出ていたが
これで死者が出ていないのが奇跡であった。
一刀「あれが桔梗の武器かよ!?バズーカみたいなもんじゃんか! 」
一刀は桔梗の武器を見たことがないのでとても驚いていた。
明命「でもあの弾を打ち返す祭様もすごいです!? 」
雛里「あわわ〜!!ご主人様が言ってくれなかったら危ないところでした! 」
亞莎「感謝いたします 」
四人はあまりの二人の力のすごさに驚いていた。しかし二人は戦いをやめようとはしなかった。それどころか…
桔梗「お主のように派手にやり合える者と出会うとは紫苑以来じゃのう。違う場で出会っておったらよき友人になっていたかもしれん! 」
祭「それはこちらも同じ、こんなにやれるのは策殿以来じゃ! 」
二人は互いの腕をほめあっていた。が…
祭「じゃが、あの酒を一番に飲むのはこの儂じゃ! 」
桔梗「それだけは儂もゆずれん!いくぞ黄蓋殿! 」
二人は再び撃ち合いを始めた。
そんな時、二人の流れ弾が雛里達に襲いかかってきた。
雛里「あわわ〜!! 」
明命「ダメです!避けられません! 」
亞莎「冥琳様―!! 」
三人はあきらめて目を閉じると一刀が三人の前に立ち塞がった。
一刀「やれるかどうか分からないけど一か八かだ! 」
一刀は刀を抜くと回転するように両手で刀を回し始めた。
一刀「北郷流五の型『旋風剣』! 」
一刀は回転した刀で弾と矢を受け止めると
弾と矢は一刀を避けて横にそれていった。
雛里「あわわ〜!!ご主人様すごいでしゅ! 」
明命「あの弾と矢をはじき落とすなんて… 」
亞莎「冥琳様が言っていた通りすごい人です 」
三人が驚くなか、一刀は
一刀「いい加減に二人を止めないと大変なことになってしまうな! 」
一刀は撃ち合う二人に近付くと大きく息を吸い込む
雛里「!? 」
この様子を見た雛里は驚くと
雛里「二人共!耳をしっかり塞いでください! 」
雛里に言われて明命と亞莎が耳を塞いだ瞬間!
一刀「いい加減にしろ―!!! 」
一刀の怒鳴り声が村中に響きわたった。
これには撃ち合いをしていた桔梗と祭も手を止めると一刀は二人に向かって言う。
一刀「村に莫大な被害を出して少しは反省しろ! 」
一刀だって大声で被害を出したではないかと突っ込みたい二人だが突っ込むと嫌な気がするのであえて突っ込まなかった。
一刀「大体喧嘩の原因であるこの酒があるからいけないんだ! 」
そう言うと一刀は酒の蓋を開けて一気に飲みまくった。
桔梗「お館!何をするのですか!? 」
祭「儂の酒に何をするんじゃ!? 」
酒好きの二人が驚いているうちに一刀は酒を飲み干した。
〈注意!一刀はまだ十七歳ですので飲酒は二十歳になってからにしましょう〉
酒を全て飲み干した一刀は酔っ払いながら二人に説教を始めた。
一刀「大体桔梗はもう少しおしとやかにしろっての!ヒック!黄蓋さんも年上なんだから周泰と呂蒙に迷惑かけちゃ駄目でしょ! 」
この時二人は思った。
桔梗「(今後一切お館には酒を飲まさないでおこう!) 」
祭「(まるで冥琳に叱られているみたいじゃ!) 」
しばらくして
周りの店に被害を出したことを反省した二人は今まで買った酒を差し上げるという事で許してもらった。
一刀は酔いつぶれて寝てしまい桔梗の背に背負われていた。
そして三人と別れて一刀達は去って行った。
それからしばらくして呉の町では
冥琳「祭殿!また仕事をサボってお酒を飲んでいましたね!!! 」
冥琳が祭を叱ろうとすると祭は素直に
祭「すまんのじゃ!これからすぐに仕事をするから許してくれ! 」
祭は仕事に向かっていった。これを見た冥琳は不思議に思った。
冥琳「(変だな?いつもならば叱ってもすぐ仕事には行かなかったはずだが) 」
祭はあれ以来説教がトラウマになってしまった。
これを呉で知るのは明命と亞莎であった。
その頃、一刀は
一刀「頭が痛いよー! 」
完全な二日酔いで頭を痛がっていた。
愛紗「当たり前です!喧嘩を止めるためとはいえ酒を一度に飲み干せば頭が痛くなります! 」
愛紗の声が一刀の頭の中に響いた。
一刀「もう酒はこりごりだー! 」
追伸、やっぱりお酒は二十歳を過ぎてからにしましょう。
凪の技講座
五の型『旋風剣』
気を通した刀を両手で回転するように回し相手の遠距離武器を防ぐ防御技。
応用技で回した刀を相手に投げつける『旋風手裏剣』がある。
凪「ただし、この技で防げるのは遠距離技だけで近距離技は防ぐことが出来ません 」