其の弐拾陸「北郷一刀、帰還するのこと」
今回の話は自分でも展開が早すぎたと反省しています。
セキトが愛紗達と出会っていた頃、残っていた朱里達がいる村では
朱里「思い出しました! 」
さっきまで黙っていた朱里が突然叫んだ。
詠「いきなり騒いでどうしたのよ! 」
詠が言うと朱里は
朱里「ご主人様と天空さんが戦った後にご主人様についていた臭いを思いだしまして 」
その言葉を聞いた月が聞く
月「それで一体何の臭いなんですか? 」
朱里は答える。
朱里「実はあれはシビレヨツバ(架空の植物)という強力なしびれ薬なんです 」
三人『しびれ薬だって!? 』
三人(月、詠、璃々)は驚いた。
詠「それであの馬鹿チ〇コが急に動かなくなったわけね! 」
璃々「てんくうはひきょうもの〜 」
月「酷すぎます! 」
三人はそれぞれ怒っていた。
しかし、話をしていた四人に悪いことが起きてしまった。
ドドドーッ!!。
月「この音は一体何の音でしょうか? 」
外から聞こえてくる音に月が気づいて窓の外を見てみると
賊「今のうちに村を攻めちまえー! 」
大量の賊が村に攻めて来ているではないか!
詠「これは一体どういうことよ!? 」
この出来事にさすがの軍師である二人にも予想できなかった。
なにせ村の中でも戦える人数はあきらかに賊を下回っているので反撃するのは無理なのだ。それに今は愛紗達がいないので四人にできることは急いで逃げるしかないのだが時間がない。
賊が村に入るには村の手前にある川を挟んだ橋を渡らなくてならない。幸いにも川は激流のため川を進むことはできないのだが、村から出るにも橋を渡らなくてはいけないので変わらないのだ。橋を斬るにも時間がない。
賊「村には今、雑魚しかいないからおもいっきり攻めてやれ! 」
賊達が橋の手前に来た時、茂みから何かが飛び出して賊の前に立ち塞がった。
賊の前に出てきたのは誰なのかと四人が見てみるとそこには
一刀「む…村には一歩たりとも入らせねーぞ賊共! 」
そこにいたのは両手に剣を持ちながら足が震える一刀だった。
朱里・月『ご主人様! 』
詠「馬鹿チ〇コ! 」
璃々「ごしゅじんさま〜 」
一刀の急な登場に四人は驚いた。
ちなみに一刀はさっきの場所から村までの近道を通っていたため賊達より早く村に着いたのだった。
そんな一刀に向かって賊が言う。
賊「なんだテメー。俺達の邪魔をするつもりかよ?しかもそんな震えた足でよ! 」
賊の言う通り一刀の足はブルブル震えていた。
そんな一刀を見て賊達は馬鹿にしたように大笑いを始めたが一刀は
一刀「おまえらみたいな屑相手には足が震えた方がちょうどいいんだよ! 」
この一刀の言葉に賊がキレた。
賊「舐めんじゃねぇぞこの野郎! 」
ドゴッ!!。
賊は一刀を殴るが一刀はその場所から動かなかった。
賊「この野郎!早くそこを退きやがれ! 」
賊は無抵抗な一刀に対して殴る、蹴るを繰り返したが一刀はその場所から一歩も動かなかった。
賊「何してやがるんだ!剣を使え! 」
一人の賊が言うと賊達は一斉に剣を抜き始め、一刀に襲いかかった。
ズバッ!!。ザクッ!!。
一刀は頭や心臓を狙いから外れるように体を動かすも見る見るうちに一刀の体は全身傷だらけになっていった。
それをみていた四人は
朱里「はわわ〜!!ご主人様が危険です! 」
朱里が慌てて飛び出そうとすると
詠「朱里!行っちゃ駄目だよ! 」
詠が扉の前に立ち塞がった。
朱里「そこを退いてください詠さん! 」
すると詠は
詠「ボクだってホントは行きたいさ!でも行ったらあいつの足手まといになる。だから行かない方がいいんだよ! 」
この詠の態度はいつものように一刀を嫌っているわけではない!一刀のことを思っているからこそこういう態度をとるのだ。
月「詠ちゃん… 」
璃々「詠お姉ちゃん… 」
二人は詠の態度を見るしかなかった。
朱里「わかりました!詠さんの言う通りです。今行けば私達は足手まといにしかなりませんから 」
朱里も納得したようだ。
その頃、一刀は
今にも体が倒れてしまいそうだが何とか立っていた。
その一刀の態度に苛ついた賊は
賊「このしぶとい野郎が!いい加減に倒れやがれっての! 」
一刀が倒れないことにしびれをきらした賊は剣を持って一刀の頭に剣を振りかざそうとする。
賊「これでくたばりやがれ―!! 」
賊の下ろした剣が一刀に振りかかった時だ。
賊「グボッ!! 」
後ろの方にいたはずの賊の一人が前に飛んで来た。
賊達は一斉に後ろを見てみるとそこにいたのは
愛紗「我が名は関羽!黒髪の山賊狩りだ! 」
鈴々「鈴々は張飛なのだ!そして猛豚将軍なのだ! 」
星「常山の昇り龍、趙雲参る! 」
翠「西涼の錦馬超!ただいま見参! 」
紫苑「元楽成城城主、黄忠参ります! 」
恋「…恋は天下無双の呂布 」
離れていたはずの北郷軍の六将軍がそこにいた。
朱里「愛紗さん!、鈴々ちゃん! 」
月「星さん!、翠さん! 」
詠「恋! 」
璃々「お母さん! 」
六人の登場に四人は驚いた。
一刀「愛紗…みんな… 」
ボロボロの一刀も答える。
セキト『よく頑張ったじゃねぇか!えらいぞ! 』
だが、これに一番驚いたのは賊達であった。
賊「なんであいつらがここに!?天空様が足止めしているはずじゃ!? 」
そんな賊達に翠が答える。
翠「あんたらの頭だったら今頃のびてるさ! 」
愛紗「我らを騙し、ご主人様を傷つけた貴様らを許してはおけん! 」
全員『覚悟しろ! 』
その後は圧倒的だった。
来るはずのない敵が来たことにより賊達は慌て、見る見るうちに賊は退治されていった。
一刀「よかった。みんなが来てくれて… 」
バタッ!。
そこまで言うと一刀は倒れた。
一刀が倒れたことにより一刀にみんなが集まった。
鈴々「お兄ちゃん!しっかりするのだ! 」
朱里「はわわ〜!!ご主人様―! 」
月「へぅ〜!ご主人様 」
みんなが一刀に集まるなか愛紗は
愛紗「ご主人様!!死なないで下さい!わたしはまだあなたに謝らなくてはいけないことが沢山あるのですよ! 」
しかし一刀の目は閉じたままだった。
愛紗「ご主人様ー!! 」
愛紗は目を開けない一刀に対して涙を流しながら泣き叫んだ。 すると
一刀「スゥースゥー 」
一刀は寝ていた。
これを知った愛紗は
愛紗「ご主人様のバカ 」
と小声で言うのだった。
それから一刀は三日間眠り続け、起きたときにはみんなに涙を流され、もみくちゃにされた。ちなみに傷の方はまだ痛むものの日頃、愛紗達にボコボコにされているおかげで治りは普通より早かった。
そしてまだ怪我が治っていない一刀は一人、心配する愛紗達の目をぬすんで石の上に座りながら考え事をしていた。
一刀「(俺がもう少し強ければ天空なんかに負けなかったかもしれないな。そしたら愛紗達に悲しい思いをさせなかったかもしれない) 」
ちなみに星が忘れていたこととは天空は実は各地で御遣いを名乗る悪人だということである。
一刀が考え事をしていると誰かが近付いてきた。
一刀「誰だ? 」
一刀が顔を見上げるとそこにいたのは
左慈「無様だな北郷一刀! 」
一刀「お前は確か鏡泥棒!? 」
忘れている人もいると思うがこいつの名前は左慈。一刀がこの世界に来るきっかけとなる鏡を盗んだ奴である。(其の壱参照)
左慈「今の貴様を倒したところで対したことはないからな。はっきり言ってやるよ北郷、お前は弱いんだよ!悔しかったら強くなりな時の城で待ってやるぜ! 」
そう言って左慈は消えていった。
左慈にはっきりと弱いと言われた一刀は
一刀「(あいつの言う通りだ。このままではいけない!) 」
みんなを守るためには自分が強くならなくてはと考える一刀であった。そこで一刀は
一刀「貂〜蝉〜 」
と小声で言うと遠くの彼方から土煙がおこった。
貂蝉「ぶるわぁぁーー!!。ご主人様お久しぶりねぇ♪ 」
腰をクネクネさえしなければいい奴なんだがなと一刀は言いたいがそんなことは今はどうでもいいのではっきりと言った。
一刀「貂蝉!お前確か前に願いを叶えてくれるって言ってたよな(其の弐拾壱参照) 」
すると貂蝉は
貂蝉「もちろんよ♪ご主人様のためなら何だって叶えてあげるわん♪ 」
大分気色悪いが一刀は言ってみる。
一刀「俺を元の世界に戻してくれ! 」
そんな一刀に貂蝉が聞く
貂蝉「そんなこともちろん出来るけど帰ってどうする気よ? 」
一刀は言う。
一刀「俺の爺ちゃんに鍛えてもらうそして強くなってみんなを守るんだ。守られる側でなく、守る側としてね! 」
すると貂蝉は
貂蝉「わかったわん!また戻ってくると言うのならいいわよん♪ 」
どうやらわかってくれたようだ。
貂蝉「戻るときはいつだって構わないわ!ただし三ヶ月が限界よそれを過ぎると戻ってこれなくなるから気をつけてね! 」
元の世界に戻れる時間は三ヶ月、その時間内にすることを一刀はもう決めていた。
貂蝉「じゃあ、いくわよ! 」
すると貂蝉は手でわっかをつくると呪文らしきものを唱える。
貂蝉「…ヨレカラヒマイ・ヨラビト・ノシイガエタコ・ニケカビヨガワ! 」
貂蝉が呪文を唱えて閉じていた目を開いた。すると突然元の世界へと帰る扉が開かれた。
貂蝉「この扉を通れば帰れるけどあの娘達にお別れしなくてもいいの? 」
すると一刀は
一刀「言えば別れが辛くなるしさ、それにまた戻るから大じょ… 」
一刀が言いかけたところで後ろから声が聞こえてきた。
愛紗「ご主人様! 」
声の主は愛紗だった。愛紗は一刀に近づくと
愛紗「私を置いてどこに行く気ですか! 」
愛紗は涙を流しながら言う。
愛紗「行くのでしたら私も連れていっ… 」
愛紗が最後まで言おうとすると急に一刀に肩を掴まれそして一刀は
チュッ♪♪。
愛紗の唇にキスをした。
一刀「愛紗!約束するよ、三ヶ月したら必ず戻ってくるからさ 」
そう言って一刀は扉を通っていった。
残された愛紗に出来ることは
愛紗「ご主人様、約束破ったら承知しませんからね! 」
笑顔で一刀を送っていくことであった。
時の城
城の主である左慈が歩いていると
于吉「左慈、いいのでしょうか?あんなことを言って 」
すると左慈は
左慈「構いやしねぇよ!奴が強くなればなるほど俺も楽しくなるってもんさ 」
楽しそうにする左慈を見た于吉は
于吉「(左慈のあんな笑顔を見たのはいつぶりでしょうかね?北郷一刀、楽しみにしてますよ) 」
于吉も一刀に興味がわくのであった。
こうして一刀は元の世界に戻っていった三ヶ月後の再会のために、みんなを守るほど強くなるために
さて、今回でこの小説の前半に当たる部分が終りました。次話から後半に入ります。舞台は一刀が消えた三ヶ月後、真・恋姫のキャラ達も登場していきます。